学びエイド(184A)参考書のデジタル化に伴う解説動画制作と動画配信システム構築で成長を目指す

2024/05/31

予備校講師等が制作した1コマ5分程度の講義動画を学習塾等に配信
参考書のデジタル化に伴う解説動画制作と動画配信システム構築で成長を目指す

業種:情報・通信業
アナリスト:鎌田良彦

◆ 予備校講師等が制作した短い講義動画を学習塾等に配信
学びエイド(以下、同社)は、予備校講師等としての実績があり、同社が「鉄人講師」として認定した講師が制作に関わった1コマ5分程度の講義動画を、個人及び学習塾に配信し、教科書会社や参考書出版社等には教科書や参考書等の解説動画と配信システムを提供している。

同社は、教育デジタル事業の単一セグメントであるが、①個人向けに「学びエイド」と同社直営の学習塾の運営、②学習塾向けに「学びエイドマスター」と「学びエイドマスターforSchool」、③教科書会社や参考書出版社等の教育関連企業向けに「学びエイドforEnterprise」を提供している。主要サービスは学習塾向けと企業向けのサービスで、23/4期には学びエイドマスター、学びエイドマスターforSchool、学びエイドforEnterpriseの3つのサービスで売上高の98%を占めた(図表1)。なお、個人向けのサービスはその他に含まれる。

◆ 学びエイドと学習塾
個人向けの学びエイドでは、中学・高校の学習範囲を対象に1コマ5分程度の講義動画であるマイクロ講義を提供している。マイクロ講義とは、講義を短く区切ることで、わからない箇所だけを繰り返し視聴でき、キーワード検索で必要な講義をピンポイントで視聴できる等、生徒が能動的・効率的に学習できる講義形式と同社では定義している。

同社では、学びエイドは電子辞書のような使い方を想定しており、講義動画では講師は顔出しをせず、説明のための画像と音声による講義になっている。マイクロ講義は、生徒にとっては必要な個所を短時間に効率的に学習できるメリットがあり、制作する同社には、1コマ当たりの動画制作費用が少なく、動画の修正・訂正を低コストで行える等のメリットがある。

学びエイドでは、1日3コマまでのマイクロ講義を無償で視聴できる一般会員と、有料のプレミアム会員がある。プレミアム会員は、中学・高校の学習範囲をカバーする62,000コマ以上のマイクロ講義が定額で見放題となる。料金は、年払いの場合、月額898円となっている。

同社が埼玉県さいたま市で運営する学習塾のTHE DOORでは、学びエイドマスターを用いた指導を行っている。同塾は、学びエイドマスターのショールームや、テストマーケティングの役割を担っている。

◆ 学びエイドマスターと学びエイドマスターforSchool
学びエイドマスターは、小規模から中規模の学習塾向けに、学びエイドのマイクロ講義の配信サービスに加え、学習塾専用の講義動画制作、塾運営を効率化する管理機能(入退室管理、月謝管理、学習管理、成績管理、お知らせ・連絡機能等)を提供するサービスである。24年3月末の契約教室数は400教室以上となっている。

利用料金は、サービス導入時の初期導入費用と月額料金からなる。月額料金は、1教室当たり定額の基本費用と1生徒当たり定額の生徒アカウント費用からなる。

学びエイドマスターforSchoolは、中規模から全国展開する大手学習塾本部向けのサービスで、学びエイドを含む講義動画の選択や配信システムについて顧客ごとにカスタマイズしたサービスになっており、システム開発の請負も行っている。主要顧客としては、武田塾を運営するA.ver(東京都文京区)、個別指導学習塾のスクールIEを運営するやる気スイッチグループ(東京都中央区)等がある。

学びエイド、学びエイドマスター、学びエイドマスターforSchoolで使用する講義動画の著作権は、鉄人講師が保有しており、同社は鉄人講師からの使用許諾を得て利用している。鉄人講師に対しては、講義動画を利用して得られた売上高の約5%を著作権料として、提供した動画本数に応じて配分している。

◆ 学びエイドforEnterprise
学びエイドforEnterpriseは、主に参考書出版社向けに、紙媒体の参考書に添付したQRコードをスマートフォンやタブレットで読み込んで表示させる解説動画の制作や、解説動画を視聴するためのシステムを開発・提供するサービスである。

解説動画の制作は、鉄人講師に加え、鉄人講師として認定される前段階の登録講師が担当する。解説動画は必ずしも1コマ5分に限られるものではなく、その内容は出版社が決定し、動画の著作権も出版社に帰属する。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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