オカムラ食品工業(2938)国内養殖設備への投資を継続し、養殖量の拡大を図る

2023/10/02

サーモンの養殖を行う養殖事業や魚卵等を加工販売する加工事業などを行う
国内養殖設備への投資を継続し、養殖量の拡大を図る

業種:食料品
アナリスト:佐々木 加奈

生食用サーモントラウトの養殖、加工、販売などを行う
オカムラ食品工業(以下、同社)グループは、「海の恵みを絶やすことなく世界中の人々に届け続ける。」をミッションとして、生食用サーモントラウト注1(以下、サーモン)の養殖、加工、販売、その他の水産品の加工、販売などを行っている。
同社グループは、同社と連結子会社9社(図表1)、その他非連結子会社及び関連会社5社で構成されている。同社が国内加工事業、子会社が養殖事業、海外加工事業、海外卸売事業を行っている。
海外加工事業が23/6期売上高(セグメント間の内部売上高を除く)の33.1%、国内加工事業が28.1%、海外卸売事業が24.4%、養殖事業が14.4%を占めている(図表2)。地域別の売上高は日本が64.2%、シンガポールが11.3%、その他アジアが14.4%、その他(ヨーロッパ)が10.1%である。

養殖事業
子会社であるMusholm A/S がデンマークで年間約3,500 トンのサーモンを養殖している( 稚魚から成魚へ育成して販売までを担当、LoejstrupDambrug A/S は孵化から稚魚の育成までを担当)。サーモンの養殖では世界的なリーダーであるノルウェー産との差別化のために、卵を持たせる養殖を行っており、卵はイクラ及びイクラ加工用原料としてヨーロッパ諸国に販売している。身の部分の一部は国内加工事業で加工用原料として使用する他、ヨーロッパ諸国へスモークサーモンの加工用原料として販売している。
日本国内では、日本サーモンファームが青森県に6 カ所展開する養殖場(海面養殖場、中間養殖場を含む)でサーモンの養殖を行っている(23/6 期の生産実績は約1,606 トン)。養殖の流れは、①卵の仕入(11 月~12 月)、②孵化(11~翌2 月)、③中間養殖場での淡水養殖(3 月~11 月)、④海水馴致(海水に慣れさせる作業11 月~12 月)、⑤海面養殖場での養殖(11 月~翌4 月)、⑥水揚げ(4 月~6 月)、⑦出荷(6 月~8 月)となる。同社は、デンマークの子会社の大規模生産ノウハウである、給餌用バージ船注2 からの自動給餌や生簀の24 時間モニタリングなどを活用し、孵化から成魚への育成まで一気通貫の生産体制を構築している。
国内での養殖には、河川を使用するための水利権や海面養殖を行うための区画漁業権(水面を区画して養殖業を行う権利)が必要となるが、同社グループは青森の地元漁協の組合員として区画漁業権を取得している(水利権は河川管理者から取得)。

国内加工事業
魚卵や成魚を顧客の要望に沿って加工し、販売を行う事業である。同社は、ファームが養殖したサーモン及び数の子、たらこの加工を行っている。第二工場ではイクラと筋子の加工を行っている。販売先は、主に国内スーパーマーケットや外食店で、近年はアジア地域の大手回転寿司チェーンに向けた輸出が増加している。

海外加工事業
ミャンマー及びベトナムの加工拠点において水産加工品を製造している。ミャンマーは経済特区内に子会社の運営する工場があり、主にサーモンを加工した寿司ネタを生産している。ベトナムでは大手水産加工工場とパートナー契約を結び、サーモン原料の寿司ネタやサバを原料とした焼き魚や煮魚製品(自社ブランド「オカムラKitchen」シリーズを含む)などの加工を行っている。
製品は、日本国内消費向けに輸出する他、シンガポールやマレーシアなどの販売拠点にも出荷している。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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