ファインズ<5125> 営業人員増強による顧客基盤拡大と動画制作単価の向上で成長を目指す
動画制作を起点に中小企業のDXを支援するVideoクラウド事業が主力
営業人員増強による顧客基盤拡大と動画制作単価の向上で成長を目指す
業種:情報・通信業
アナリスト: 鎌田 良彦
◆ 動画制作を起点に中小企業のマーケティングDXを支援
ファインズ(以下、同社)は、中小企業及び個人事業主向けに、動画を活用した顧客のマーケティングDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するVideoクラウド事業と、店舗向け予約・顧客管理システムの提供により店舗DXを支援する店舗クラウド事業を行っている。Videoクラウド事業では、製品・サービスのPRや人材採用のための会社紹介等の動画を制作し、同社の動画配信プラットフォームで配信し、動画視聴データに基づくマーケティング支援等のコンサルティングも行っている。
22/6期のセグメント別売上高は、Videoクラウド事業が2,369百万円(売上高構成比91.3%)、店舗クラウド事業が226百万円(同8.7%)とVideoクラウド事業が太宗を占めている(図表1)。
◆ Videoクラウド事業
Videoクラウド事業では、動画制作サービス、動画配信プラットフォームサービス、DXコンサルティングの3つのサービスを提供している。22/6期のVideoクラウド事業の売上高構成比は、動画制作サービスが85.5%、動画配信プラットフォームサービス(利用料)が1.6%、DXコンサルティングが12.9%であった。
動画制作サービスでは、長さが3分程度までの動画を制作している。動画の利用目的は、企業のブランディング及び商品・サービスのPRと人材採用のための会社紹介が凡そ半々となっている。動画制作サービスの累計取引社数は、22年7月末で7,735社となっている。
制作する動画は、再生開始から終了まで一方通行で情報を提供する通常の動画に加え、動画の途中にあるタッチポイントを触ることでより深い情報を得ることができたり、ストーリーを選択することが可能なインタラクティブ動画やVR注1(360°)動画もある。
19年11月にサービスを開始した有料動画配信プラットフォームであるVideoクラウドでは、制作した動画を顧客のホームページやランディングページに配信している。Videoクラウドのアカウント数は、22/6期末で1,446アカウントとなっている。
Videoクラウドの利用料金は、月額5,000円のライトプラン、同10,000円のスタンダードプラン、同35,000円のプレミアムプランの3つがある。ライトプランでは、制作動画をViewer機能で視聴できるほか、動画の視聴データの分析ができる。スタンダードプランでは、動画にタッチポイントを設置できるインタラクティブ動画の利用ができる。プレミアムプランでは、ストーリー分岐ができる動画やVR(360°)動画の利用に加えてや数量化されたデータやユーザーの興味・関心に関してのデータ等の定性的なデータの取得が可能になる。利用プラン数ではライトプランが多い。
DXコンサルティングでは、動画視聴データ活用のコンサルティングやサイト制作、デジタルマーケティングの支援等のコンサルティングを行っている。25人規模のDXコンサルタントが従事しており、22/6期には、オプションサービスであるDXコンサルティングの付帯率は約13%だった。
◆ 店舗クラウド事業
店舗クラウド事業では、店舗の予約・顧客管理システムの「TSUNAGU」と「いつあき」を運営している。TSUNAGUは、来店したユーザー情報の台帳管理機能やメルマガ配信機能を持ち、24時間の予約対応が可能なシステムである。いつあきは、シンプルに予約のみを行うシステムとなっている。売上高は、契約時の初期制作費用と月額利用料からなる。両システムとも、来店型ビジネスに対応したものであるため、新型コロナウイス感染症拡大の影響で新規契約が低調に推移した。このため、今後は、新規顧客の開拓は行わず、既存顧客の機能追加等への対応のみを行う計画である。