エフビー介護サービス<9220> 既進出地域でのドミナント強化と首都圏進出で成長を目指す

2022/04/11

信越、北関東の5県で福祉用具事業と介護事業をドミナント展開
既進出地域でのドミナント強化と首都圏進出で成長を目指す

業種: サービス業
アナリスト:鎌田 良彦

◆ 信越、北関東の5県で福祉用具事業と介護事業をドミナント展開
エフビー介護サービス(以下、同社)グループは、同社と子会社2社からなり、信越(長野県、新潟県)、北関東(群馬県、栃木県、埼玉県)の5県で、福祉用具のレンタルを中心とする福祉用具事業と、居宅介護から施設介護まで様々な介護サービスを行う介護事業をドミナント展開している。売上高の約8割が介護報酬に基づいており、残りは利用者負担分の売上となっている。

同社グループのセグメントは福祉用具事業と介護事業からなる。21/3期の売上高は、福祉用具事業が3,761百万円(売上構成比40.2%)、介護事業が5,590百万円(同59.8%)となっている(図表1)。

◆ 福祉用具事業
福祉用具事業は、福祉用具貸与・販売・住宅改修と居宅介護支援の2つからなる。

1) 福祉用具貸与・販売・住宅改修
福祉用具貸与は、要介護認定を受けた利用者に対して、自宅での自立した日常生活を送れるように、車いす、特殊寝台、手すり、スロープ、歩行器等の13品目の福祉用具を、介護保険を適用して貸与するサービスである。

同社では事業を展開する5県に、22年1月末で14の営業所と、自社所有のレンタル品を消毒、洗浄、修理して再レンタルまで保管する2つの商品管理センターを擁し、ケアマネジャーや病院等への営業を通じて、利用者に福祉用具をレンタルしている(図表2)。福祉用具レンタルの利用者数は、21年3月末で20,786人、12月末で21,809人であった。

住宅改修は、介護保険を利用して手すりの設置や段差解消等の工事を行うものである。

2) 居宅介護支援
居宅介護支援は、同社のケアマネジャー(介護支援専門員)が、要介護者のケアプラン(居宅サービス計画)を作成し、ケアプランに基づいて介護サービスを提供する事業所等との連絡・調整等を行うものである。22年1月末で5県に19の居宅介護支援事業所を設置してサービスを提供している。

◆ 介護事業
介護事業は、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、グループホーム、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、デイサービス(通所介護)、訪問介護、訪問看護、介護保険外サービスからなり、幅広い介護サービスを提供している(図表3)。

介護サービスの利用者数は、21年3月末で2,283人、12月末で2,247人であった。このうち、後述する介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホームの施設利用者は21年3月末で663人(入居率97.3%)、12月末で686人(同98.2%)であった。

1) 介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、地方自治体の公募による事業認可を受けた施設で、介護保険制度上は、特定施設入居生活介護に分類される。介護、看護スタッフが常駐し、専属のケアマネジャーがケアプランを作成し、日常生活における介護サービスが24時間受けられる。22年1月末で6施設を運営している。

2) 住宅型有料老人ホーム
要介護者や介護認定のない高齢者を受け入れている施設で、食事の提供、掃除、洗濯等の生活援助や介護相談、レクリエーションが受けられる。介護が必要な場合は、外部の訪問介護やデイサービス等の介護サービスを利用する。22年1月末で15の施設を運営している。

同社では、住宅型有料老人ホームと、後述するデイサービスや小規模多機能型居宅介護施設を併設することで、デイサービスを身近に利用したり、利用者が在宅介護に限界を感じた場合に住宅型有料老人ホームへの住み替えを可能にしている。

3) グループホーム
グループホームは、認知症対応型共同生活介護として介護保険制度の地域密着型サービスに位置づけられ、介護認定で要支援2以上の認知症の人を対象に、少人数での共同生活の形態で介護サービスを提供するものである。22年1月末で15の施設を運営している。

4) 小規模多機能型居宅介護
06年4月の介護保険制度改正によって創設された地域密着型サービスで、事業所への「通い」を中心に、事業所スタッフによる「訪問」や家族が留守の場合等は事業所への「泊まり」の3つのサービスを組合せて提供する、居宅介護サービスである。

介護保険法により1事業所当たりの登録定員は29名以下となっており、22年1月末で13の事業所を運営している。

5) 看護小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護は、退院直後や終末期等、医療的ケアが必要な人の在宅生活をささえるために、小規模多機能型居宅介護に「訪問看護」の機能を加え、介護と看護を一体的に提供する地域密着型サービスである。

1事業所当たりの登録定員数は、小規模多機能型居宅介護と同様に29名以下であり、22年1月末で1事業所を運営している。

6) デイサービス(通所介護)
デイサービスとは介護保険サービスの「通所介護」の通称で、登録された利用者は自宅で生活をしながら、施設スタッフによる車での送迎で施設に通い、健康チェック、体操や食事、レクリエーション、入浴等のサービスが受けられる。22年1月末で13の施設を運営している。

7) 訪問介護
訪問介護は、「介護職員初任者研修」以上の資格を持つ訪問介護員が、利用者の自宅や住宅型有料老人ホーム等の高齢者向け住宅等を訪問して、入浴、排せつ、食事等の介助等の「身体介護」と調理、選択、掃除等の「生活援助」を提供するものである。22年1月末で6つの事業所を運営している。

8) 訪問看護
訪問看護は、看護師等の医療従事者が自宅を訪問し、点滴やリハビリといった医療処置を含めたケアや生活援助を行うものである。自宅で最期を迎えたいという利用者の希望に沿った看護も行っている。22年1月末で2つの事業所を運営している。

9) 介護保険外サービス
子会社のルルパが、長野県内の同社の有料老人ホーム、デイサービス、同社外の介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、障がい者支援施設等10カ所向けに食事提供業務を行っている。

子会社のスマイル薬局は、同社の介護施設や在宅サービス利用者を始めとした地域住民への処方箋調剤サービスを行っている。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

このページのトップへ