湖北工業<6524> 車載用コンデンサの需要増と海底ケーブル用光デバイスの拡大で成長を見込む

2022/01/07

アルミ電解コンデンサ用リード端子事業と光通信用光部品・デバイス事業を展開
車載用コンデンサの需要増と海底ケーブル用光デバイスの拡大で成長を見込む

業種: 電気機器
アナリスト: 鎌田 良彦

◆ アルミ電解コンデンサ用リード端子事業と光部品・デバイス事業を展開
湖北工業(以下、同社)グループは、同社と子会社5社からなり、アルミ電解コンデンサの電極部品であるリード端子の製造・販売を行う「リード端子事業」と、光ファイバ通信網用の光部品・デバイスの製造・販売を行う「光部品・デバイス事業」を行っている。セグメント区分もこの2事業からなる。

20/12期の売上高は、リード端子事業が5,536百万円で売上高構成比49.5%、光部品・デバイス事業が5,640百万円で同50.5%とほぼ半々の売上構成となっている(図表1)。

◆ リード端子事業
アルミ電解コンデンサは、電気エネルギーを蓄えたり、一定の周波数の電流だけを流すといった機能を持つ電子部品で、小型・軽量で静電容量が大きいという特徴がある。生活家電、情報通信機器といった電子機器や車載用電子回路等で使用されている。

リード端子は、アルミ電解コンデンサの電極部品として、鉄、銅、アルミ、錫といった異なる金属材料を溶接・プレスして製造され、1つのアルミ電解コンデンサに2個使われる。

同社グループでは20/12期に約400億個(アルミ電解コンデンサ200億個分)のリード端子を生産しており、個数ベースの世界生産シェアは約40%と同社では推定している。

リード端子の売上高の約9割は日本ケミコン(6997東証一部)やニチコン(6996東証一部)等の日系アルミ電解コンデンサメーカー向けで、残りの約1割が台湾、中国メーカー向けとなっている。また、日系アルミ電解コンデンサメーカーに対する同社グループ製品の納入シェアは、80~90%に達している模様である。

リード端子事業は1959年の創業以来の事業であり、創業当初から主要アルミ電解コンデンサメーカーの工場拠点に近い立地での生産を行ってきた。日系アルミ電解コンデンサメーカーのASEAN地域、中国等への進出に呼応して、マレーシア、中国に子会社を設立し、生産・販売を行っている。

同社の他、マレーシアのKOHOKU ELECTRONICS (M) SDN. BHD.、中国の蘇州瑚北光電子有限公司と東莞瑚北電子有限公司の4拠点で国内外の顧客向けに製造・販売を行っている。シンガポールのKOHOKU ELECTRONICS (S) PTE. LTD.は光部品・デバイスを含めた同社グループ製品の海外向け販売を行っている。

◆ 光部品・デバイス事業
光部品・デバイス事業では、光ファイバ通信の機器や光送信・受信等を行う光モジュールに使用される光部品と光デバイスの製造・販売を行っている。

光部品は、同社のコア技術であるスラリーキャスト法により製造された精密形状の石英ガラス製品を使い、複数の光ファイバの末端を高精度で束ねて整列させ、光の伝送損失を防ぐ等のアセンブル製品を、光モジュール向けに提供している。特に高い精度と耐久性が要求される5G無線通信の基地局等で利用されている。

スラリーキャスト法は、石英ガラス粉体と副資材を調合してスラリー注1状にしたものを型に流し込んで成形し焼結するという製法で、切削加工等では製造が難しい形状の精密石英ガラスの製造が可能になる。

光デバイスは、15年2月にFDK(6955東証二部)からスリランカの子会社(現KOHOKU LANKA (PVT) LTD.)を含めて譲渡を受けた光デバイス事業が主体となっている。

一方向からの光のみを通す光アイソレータや、特定波長の光を分別する光フィルタ等のデバイスを、主に海底ケーブル用に製造・販売している。海底ケーブルは水深6,000m以上の深海で25年以上利用されるため、使用部品は高い信頼性と耐久性(100万時間当たりの故障率が0.01%以下)が要求される。

主要販売先として開示されているAlcatel Submarine Networks UK Ltd.は、海底ケーブルの中継器や海底ケーブルの製造から敷設までを一貫して行うNOKIA傘下の英国企業で、同社向けの海底ケーブル用の光アイソレータや光フィルタ等の光デバイスの売上高が、最近では大幅に伸びている(図表2)

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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