日本調理機<2961> 一括案件の減少と費用増により22年9月期会社計画は減益見込み

2021/11/12

集団給食施設向けが主力の業務用総合厨房機器の老舗メーカー
一括案件の減少と費用増により22年9月期会社計画は減益見込み

業種: 金属製品
アナリスト: 藤野 敬太

◆ 集団給食施設向けで強みを発揮する業務用総合厨房機器メーカー
日本調理機(以下、同社)は、集団給食施設等向けの業務用総合厨房機器メーカーである。1947年創業の老舗で、1962年に都内初の給食センターの案件を手掛けるなど、大量かつ均一に調理を行う集団給食施設の分野を得意としたメーカーであり、全国に展開している。

同社の事業は、業務用厨房機器の製造・販売及び保守修理の単一セグメントだが、売上高は機器設備関連の売上である機器売上と、機器の修理・保守や食器等の備品の売上である修理備品売上に分類されている(図表1)。機器売上が全売上高の8割超を占めている。修理備品売上は導入した機器の稼働状況と連動する傾向にあり、20/9期は新型コロナウイルス禍に伴う休校等による給食センターの稼働低下が影響して減収となっている。

◆ 厨房づくりをトータルにカバー
同社は総合厨房メーカーであり、コンサルティング、設計、製造、販売、アフターメンテナンスという、顧客の厨房づくりに関する一連のプロセスをトータルにカバーする体制を構築している。

最大の特徴は、コンサルティングを無償サービスとして提供していることである。厨房における作業動線や作業効率等の最適化を考慮し、厨房を運営するランニングコストの低減を図る提案を行うことで、顧客への提供価値を上げている。コンサルティングは、関連部門のスタッフのほか、管理栄養士やHACCP注1コーディネーター等のスペシャリストも加えたチームコンサルティングの形式をとっている。

コンサルティングサービスを無償としているため、同社の収益源は製品の販売とアフターメンテナンスに依ることになる。同社は顧客にとって最適な厨房づくりの提案を重視しているため、自社製品の販売を優先することはしていない。自社製品による売上は全体の約3割程度である。

こうした点から、同社の事業は、厨房機器メーカーであると同時に、コンサルティング機能を持つ商社という側面も持ち合わせていると言える。

◆ 顧客
1962年に都内初の給食センターを手掛けるといった実績もあり、同社の顧客は学校給食施設が多く、同社の売上高の6割程度を占めている。他には、病院給食施設、社員食堂、ホテルの厨房や外食企業のセントラルキッチンといった、1度に多くの食事を作る、比較的規模が大きい施設を主な対象としている。

◆ 販売
同社の案件には、以下の2つのタイプがある。

(1) 施設の新築に伴う厨房設備一式を納入する案件、または、既設の厨房全体の機器を更新する案件を指す「一括案件」。
(2) 厨房内の機器の一部を入れ替える案件を指す「一括抜き案件」。機器の修理・保守、備品の納品も含む。

一括案件は、設計から販売(検収)まで数年かかるものもあるが、機器納入後の検収が完了して売上計上となるため、一括案件の多寡及び案件規模の大小が、全体の売上の増減に影響を与えやすい傾向がある。

営業の対象は全国で、東京23区を対象とする本社営業部のほか、6支店32営業所の営業網を構築している。

販売形態は顧客と直接契約する直接販売が多いが、顧客都合により、ゼネコンやサブコン、特約店や販売協力店、地元企業といった中間業者を経由する間接販売もある。直近3年間の売上高の約6割が直接販売によるものである。

◆ 製品
同社の主力製品は、食器洗浄機、消毒保管機注2、回転釜注3、炊飯器、スチームコンベクションオーブン注4等である。学校給食施設向けが多いことから、大量に均一に調理または作業するのに適した大型製品を得意としている。また、コンサルティングを重視していることから、同社の製品は顧客の要望に合わせたカスタマイズ製品が中心となっている。なお、給食施設に使われる製品のうち、冷蔵・冷凍関連の製品は製造していない。

大型のカスタマイズ製品が多いことから、受注生産が基本である。製造拠点は栃木工場と大分工場の2カ所である。平常時は、消毒保管機とスチームコンベクションオーブンを大分工場が、それ以外を栃木工場がそれぞれ主体となって生産しているが、災害発生等の緊急時は、相互にバックアップできるようになっている。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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