rakumo<4060> 20 年12 月期以降は利益創出の局面となろう
グループウェア上で作動するクラウド型業務支援サービス「rakumo」を提供
20 年12 月期以降は利益創出の局面となろう
業種: 情報・通信業
アナリスト:藤野 敬太
◆ 法人向け業務支援を行うクラウドサービス「rakumo」を提供
rakumo(以下、同社)は、クラウド環境で作動する業務支援ツール「rakumo」を提供している。「rakumo」は、他社のグループウェア注1 の上で作動し、ユーザーが必要とする機能や利便性を追加する、グループウェアの機能拡張ツールである。Google が提供する「G Suite」と、salesforce.com が提供する「Sales Cloud」というグローバルで普及しているグループウェアに対応しているが、両方に対応できているツールは他に見られない。
同社の事業は、IT ビジネスソリューション事業の単一セグメントだが、(1) 「rakumo」のライセンス提供を主とするSaaS 注2 サービス、(2)SaaS サービスの開始や追加の際の導入支援等を行うソリューションサービス、(3)IT オフショア開発サービスの3 つのサービスを展開している。SaaS サービスが全売上高の約8 割を占める。
◆ 「rakumo」
「rakumo」は、顧客企業の共通業務を対象とした支援ツールであり、業種や職種に関係なく使われている。導入しやすいコストを実現するため、基盤サービスとして広く普及しているGoogleやsaleforce.comが提供するクラウドプラットフォームサービスを利用する形態をとっている。
現在、Googleの「G Suite」に対応する6つのサービス、salesforce.comの「Sales Cloud」に対応する2つのサービスの合計8つのサービスを提供している(図表2)。
「rakumo」のサービス間の連携もさることながら、「G Suite」、「Sales Cloud」との製品間連携も可能であり、一度の入力ですべてのシステムで情報がアップデートできるといった利便性も特徴となっている。
低価格であることも特徴である。どのサービスも1ID当たり月額数百円で利用できる。さらに、「rakumoカレンダー」、「rakumoコンタクト」、「rakumoワークフロー」、「rakumoボード」をセットした「rakumo Basicパック」だと月額390円で、上記4サービスに「rakumoケイヒ」と「rakumoキンタイ」を加えた「rakumo Suiteパック」だと月額780円でそれぞれ利用でき、価格訴求力を強めている。
顧客企業は、「rakumo」を利用する際はID利用料を支払う。顧客企業の使用期間及びユーザー数に応じて課金するサブスクリプションモデルを採用しており、継続利用を促している。現在、月間契約更新率は約99%と高い水 準を維持している
◆ 販売は代理店経由が多い
「rakumo」シリーズは直接販売または代理店経由で販売されている。詳細の開示はないが、代理店経由の方が多いと推察される。
通信会社や情報処理サービス会社、システム開発会社、電子機器製造販売会社等の100 社以上が代理店となっているが、上位3 社で全売上高の約4 割を占めている(図表3)。代理店経由での販売は大企業向けが多い。
一方、直接販売は、ネットマーケティングをベースに集客を行っている。
「rakumo」シリーズは順調に契約数を増やし、20 年6 月末時点でのユニークユーザー数は39.0 万人となっている(図表4)。顧客企業数は1,939 社で、1 社当たりユニークユーザー数は17 年12 月末以降200 人を超えており、20 年6 月末時点では201.1 人となった(図表5)。また、1 社当たり販売額(月額)注3 は19 年で35,098 円となり、それまでの4 年間で年率10.1%のペースで増加してきた(図表6)。
◆ ソリューションサービス
「rakumo」をはじめとするグループウェアの導入支援や業務支援を行うサービスである。一部、SaaSサービスでのライセンス販売に関連した他社のハードウェア製品の販売も行うことがある。
収益が発生するのはサービス提供時の一回限りだが、SaaSサービスでのライセンス販売のために提供されるサービスであるため、SaaSサービスと連動する傾向がある。
◆ ITオフショア開発サービス
ITオフショア開発サービスは18年4月にAOI Systems Vietnam Co., Ltd.の全株式を取得したことで加わったサービスである。連結子会社化後、rakumo Company Limited(ベトナム)に商号変更して現在に至っている。
顧客ごとに特定のエンジニアを確保して専属チームを編成する「ラボ型」のシステム開発の形態をとっている。一定期間継続的に開発業務を行うため、中長期契約が基本であり、SaaSサービスのような継続課金モデルに近い収益モデルとなっている。