減税モードからステルス増税へのシフト
~石破政権、国民の批判に耐えられるか~
【ストラテジーブレティン(380号)】
国会会期末となり東京都議選、参議院選の争いの時期に突入したが、1か月前には思ってもみなかった政治情勢の急変が起きている。二つの側面から事態が変化した。第一は国民民主党の圧倒的人気が萎え、自民党の復調と内閣支持率が上昇したことである。国民民主党の人気急落は、SNS上で批判・拒否感が強かった山尾志桜里氏を公認候補に指名したこと等オウンゴールという面が大きい。また令和のコメ騒動が自民党に有利に作用している。登場した小泉新農相による随意契約による備蓄米放出、店頭価格急低下が、自民党支持率の急回復に繋がった。
減税からコメへ、政策争点のシフト
第二のより重要な変化は、政策の争点が減税からずれてしまったことである。昨年の衆院選挙以来、国民民主党の手取りを増やす減税路線を軸に政策論争が展開されてきたが、コメの値上がりと小泉新農相による備蓄米放出で、減税に対する熱量が打ち消された。そればかりか、高負担路線が密かに進行し始めている。今国会で突然成立した年金改革法は高負担・財政健全化路線そのものと言える。具体的内容は、①国民年金の不足(就職氷河期の人々に対する給付を保証するために)を厚生年金資金で補填、②遺族年金の減額、③パート労働者への厚生年金の適用(家計と企業負担増)など、負担増給付減の法案であり、将来給付に欠損が生じた場合に消費税増税が正当化されることになる。
進行するステルス増税、高負担路線に回帰
また少子化対策の一環として2026年4月からスタートする「子ども・子育て支援制度」も、保険料を引き上げるステルス増税とみられる。独身者に対する不公平感から「独身税」と俗称されている。年収に対して2028年度には平均で0.2%の社会保険負担増になるが、それは年間社会保険料の5%増額と計算されており、消費税0.8%増税に相当するとの指摘がある。
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