来週の金融市場見通し(2025年6月16日~2025年6月20日)
■来週の見通し
イスラエルがイランの核関連施設などを攻撃したことを受け、地政学リスクが高まっています。他方、5月の米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を上回り、景気減速への懸念が和らぎましたが、5月の米消費者物価指数(CPI)の伸びなどが市場予想を下回ったことから、トランプ関税による物価上昇懸念がやや後退し、米連邦準備理事会(FRB)が9月にも利下げを決定するとの見方が広がっています。来週は米関税政策に加え、中東情勢、日米の金融政策なども確認しながらの神経質な動きになりそうです。
◆株価 :日米の金融政策に注目
今週の日本株は、一進一退の動きとなりました。米中関税協議で両国が一定の合意に達したことが好感され、日経平均株価は一時38,500円を上回る場面がありました。ただ週末は、トランプ大統領が自動車関税の引上げに言及したことや中東情勢の緊迫化を受けて、投資家心理が悪化し、売りが優勢となりました。
来週は、日米の金融政策に関する会合が注目されます。日銀は政策金利を維持するとみられますが、植田総裁が足元の物価上昇を受けて、利上げに前向きな姿勢を示すと株価を下押しする恐れがあります。米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利が維持されるとみられますが、参加者の政策金利や経済見通しが注目されます。予想よりも政策金利見通しが高い場合や、成長率や雇用の見通しが悪い場合、市場は嫌気するとみられます。
◆長期金利 :神経質な動き
今週は、前半は前週末の米雇用統計を受けて米景気の減速懸念が後退し、米長期金利が上昇したことや、自民・公明両党が現金給付を参院選公約に盛り込むとの報道を受け、財政悪化への懸念から国内の長期金利は一時1.48%まで上昇しました。その後は、超長期債の発行減額の観測や米物価指標の下振れ、また中東情勢への警戒などから低下し、週末には一時1.4%を割り込みました。
来週は、神経質な動きが続きそうです。財政拡張への警戒は国内金利の押上げ材料です。もっとも、中東情勢が一段と緊迫化すると、金利が押し下げられる可能性があります。日銀金融政策決定会合、FOMCは現状維持の見込みです。日銀会合では、公表される2026年4月以降の国債購入計画で、減額ペースが縮小されるかが注目されます。
◆Jリート :やや上値は重いか
今週のJリート市場は、東証REIT指数(配当なし)1,750ポイント付近での戻り売りをこなして上昇し、節目の1,750ポイントを上回って引けました。今週末の分配金利回りは4.924%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)でした。
来週は、日米長期金利や日米、米中間の通商協議の動向をにらみながら、やや上値の重い展開になることを想定しています。中東情勢が再び緊迫化していることやトランプ大統領が自動車関税の引き上げを示唆している点は懸念材料です。とはいえ、日米長期金利が低下していることや日銀が利上げに慎重な姿勢を示していることは安心材料です。また、5%程度の予想分配金利回りに着目した一定の買いが引き続きJリートを下支えすることが期待されます。
◆為替:日米関税協議の行方に注目
今週のドル円は、前週末に発表された5月の米雇用統計が米労働市場の底堅さを示唆したことから、週半ばにかけ、145円台まで上昇しました。しかしその後は、5月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想比で下振れたことなどから米長期金利が低下し、ドル円は143円台に下落しました。
来週のドル円は、レンジ内で方向感の乏しい展開が続きそうです。米中関税協議で両国が一定の合意に達したとの報道を受け、市場には相応の安心感はあるものの、米関税政策への警戒感と米景気後退懸念は根強い状況です。また、日米両政府は15日から行われる主要7か国首脳会議(G7)での日米首脳会談を視野に関税協議について合意ができるよう調整を続けており、その結果によってはドル円は大きく上下に振れる可能性があります。
◆米国株 :FOMCに注目
今週の米国株は、底堅い動きになりました。米中関税協議で両国が一定の合意に達したことが好感されました。半導体株は、同協議を受けて、米国が中国への半導体規制を緩和するとの期待が高まったことや台湾半導体大手台湾半導体大手TSMCの5月の売上高が前年同月比で大きく上昇したことが好感され、堅調な動きとなりました。
来週は、FOMCが注目されます。FOMCでは、政策金利が維持されるとみられますが、参加者の政策金利や経済見通しが注目されます。予想よりも政策金利見通しが高い場合や、成長率や雇用の見通しが悪い場合、市場は嫌気することが予想されます。パウエル議長の記者会見の発言も株価を動かす可能性があります。トランプ大統領の関税政策や中東情勢に加え、17日発表の米小売売上高などの経済指標も注目されます。
■来週の注目点
全国・消費者物価指数(5月) 6月20日(金)発表
4月の全国・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比3.5%上昇と前月(同3.2%上昇)から伸びが拡大しました。公立高校の授業料無償化により教育費は下落したものの、食料品の値上げや政府による電気・ガス代の補助縮小が物価を押し上げました。
5月のコアCPIは一段と伸びが拡大することが予想されます。電気・ガス代の補助金が一旦終了することなどによりエネルギー価格が上昇するほか、食料品価格の値上げが続くと見込まれます。政府は備蓄米の放出などによりコメ価格の抑制を図っていますが、5月時点での影響は限定的とみられます。
米小売売上高(5月) 6月17日(火)発表
4月の米国の小売売上高は前月比0.1%増と、小幅な増加にとどまりました。関税引き上げによる前倒し購入の反動減があったほか、米国の関税政策を受けた消費者マインドの悪化が個人消費を抑制した可能性があります。
5月の小売売上高は、前月比0.6%の減少が見込まれます。関税引き上げによる前倒し購入の動きが顕著であった自動車は減少が続くと予想されますが、それ以外については、堅調な所得環境などを支えに、底堅い動きが続くとみられます。
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