GCC経営™分析レポート:スターシーズ株式会社(東証スタンダード 証券コード:3083)
アパレル企業からエネルギー×デジタルインフラ企業への転換

2025/09/22

ベーシックレポート
ジェイ・フェニックス・リサーチ(株)
宮下修 宮下明久 小松麟

脱アパレルへ。電力・AI・暗号資産事業の将来性に注目

スターシーズ株式会社(以下、スターシーズ)は、低迷するアパレル事業から脱却し、系統用蓄電池事業を中核とするエネルギーインフラ企業への大転換を進めている。2025年6月の持株会社体制移行により、新設デジタル子会社で新規事業を展開する。系統用蓄電池事業の中核パートナーであるShanghaiRobestec Energy社は、中国・上海の世界的蓄電池メーカーで、全世界で3GWh超のエネルギー貯蔵システムの運用実績を誇る。独自のAll-in-One型蓄電池システムは、高い運用効率の実現が期待される。系統用蓄電池事業は、2MW/8MWhの大規模蓄電所を全国50カ所に展開し、電力需給調整市場での充放電サービスで収益を獲得する。和歌山県で2基が着工済みで2026年1月稼働予定。1基あたり年間約5億円、高収益性が期待され5基体制で年間売上23億円を見込む。さらにGPU/AIインフラ事業では、大手通信キャリアとの連携を協議しており、実現すれば大きな成⾧が期待。資源エネルギー庁「系統用蓄電池の現状と課題」(2024年5月29日)の資料をベースに系統用蓄電池市場だけで投資額は少なくとも10年で1兆円規模と予想。これらの市場規模の拡大をベースにスターシーズも大きな成⾧が期待される。なお、財務基盤強化策として、スターシーズは2025年9月の第三者割当増資で調達した資金のうち約10億円を仮想通貨購入に充当することを正式発表した。

事業転換の本格化と収益化への道筋~事業開始2ヶ月で上方修正へ

2025年から2026年にかけて、スターシーズの事業転換の最重要局面を迎える。2025年6月の持株会社体制移行で事業別経営責任が明確化。社⾧によれば実行あるのみ。系統用蓄電池事業は需給調整市場参入で初年度黒字化を目指すとされている。2026年度末には5基体制で年間23億円の売上高を目指す。9月11日開示で液冷式蓄電池・高効率PCS・受変電設備一体型システムを構築、野村屋ホールディングスから約2MW/8MWh受注済み。2027年までに50カ所100MW展開で75億円売上見込む。既に述べたGPU事業での大手通信キャリアとの契約が実現されるかが重要。アパレル事業では、同業他社の買収も視野に入れており、実現すれば事業拡大と収益改善の同時達成を目指す。9月18日に通期業績予想を上方修正。売上高は6,000百万円から7,580百万円(26.3%増)、営業利益は200百万円から360百万円(80.0%増)へ大幅引き上げ。系統用蓄電池事業の好調が主因で、事業転換が早くも成果を示し始めた。

シナリオに基づけば、2-3年で株価が10倍の計算結果も※2

JPRの分析モデル上、2036年2月期までの創出される株主価値1,969億円を希薄化後9,756,800株で割ると20,171円となる。現実的には2029-30年の企業価値を2-3年後に織り込む想定でJPR独自の理論値として6,000円~1万円台が試算可能。2025年9月の新株予約権は最大26.9億円の成⾧資金を調達し、蓄電池事業とGPU事業の本格展開により企業価値向上が期待。行使価格817円~980円の段階設定で株価上昇に連動して調達額も増加する好循環が期待。調達資金の一部10億円を仮想通貨に配分することは高リターンによる追加的な成⾧原資確保の可能性もあるが、高いリスクも存在※3。新株予約権による資金調達が蓄電池16.8億円とデジタル事業への戦略投資を可能にし、現在の株価を大きく上回る企業価値への成⾧基盤となることが期待される。段階的な権利行使により急激な希薄化を回避しつつ、事業拡大に応じた機動的な資金確保が可能。(本予測はJPR独自の分析に基づく試算であり、実際の業績は大きく異なる可能性があり、過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。予測は、多数の不確実な前提条件に基づく理論値であり、実際の株価を示すものではありません。特に仮想通貨投資については元本全額毀損のリスクがあり、投資判断は慎重に行ってください。)

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