来週の金融市場見通し(2025年11月17日~2025年11月21日)

2025/11/14

■来週の見通し

トランプ米大統領は12日、米国史上最長となった政府閉鎖を終わらせる法案に署名し、史上最長の閉鎖は43日目に終了しました。ただ、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策の判断材料として重視する10月の雇用統計と消費者物価指数(CPI)は公表されない見通しです。国内では、日銀の中川審議委員が講演で今後も利上げを続ける考えを示しました。来週は、2025年7-9月期の実質国内総生産(GDP)などの経済指標に加え、日銀、FRB高官の発言なども確認しながら方向感を探ることになりそうです。

 

◆株価 :エヌビディア決算や経済指標に注目

今週の日本株は、一進一退の動きとなりました。米政府機関の一部閉鎖の解除が株価を押し上げる場面もありましたが、複数の米地区連銀総裁の今後の利下げに慎重な姿勢を受けた米利下げ期待の後退が、株価の下押し圧力となりました。

来週は、エヌビディア決算や日米の経済指標発表が注目されます。20日に予定されているエヌビディアの決算発表を受けて、ソフトバンクグループなどの人工知能(AI)関連株の値動きは激しくなりそうです。日本の7~9月期のGDPは、マイナス成長に陥るとの見方が有力ですが、予想に反してプラス成長になると、株式市場は好感しそうです。また、政府機関閉鎖解除を受けて、重要な米経済指標発表が再開すると、市場を大きく動かす可能性があります。

 

◆長期金利 :居所を探る

今週の長期金利は、10月1日から閉鎖が続いていた米政府機関が近く再開される見通しとなったことから投資家の運用リスクを選好する動きが強まり、安全資産とされる債券が売られ、上昇して始まりました。その後一旦低下しましたが、高市政権が拡張的な財政政策に傾くとの見方から週末には、1.705%と17年半ぶりの水準まで上昇しました。

来週は、高市政権の経済・財政政策を踏まえて財政悪化への懸念が根強く、長期金利は下がりにくい状況が続きそうです。他方、日銀の中川審議委員は、今後も利上げを続ける考えを示しましたが、高市政権内からは日銀による早期の利上げに慎重論が出始めている模様です。来週は、日銀の小枝審議委員の発言や20年国債入札なども確認しながら、居所を探ることになりそうです。

 

◆Jリート :底堅い展開か

今週のJリート市場は、米連邦準備理事会(FRB)の12月会合での利下げ観測が後退し株式市場の上値が重い中、東証REIT指数(配当なし)2,000ポイントを超える水準では根強い戻り売りが見られたものの、底堅く推移しました。今週末の分配金利回りは4.512%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。

来週は、日米の金融政策や長期金利の動向、株式市場の値動きなどをにらみつつ、底堅い展開を想定しています。引き続き東証REIT指数(配当なし)2,000ポイントを上回る水準で一定の戻り売りが出ることが見込まれるものの、値下がりした局面では下値を拾う買いや4%台半ばの分配金利回りに着目した買いも期待されることから下値も限定的になると見込んでいます。

 

◆為替:上値の重い展開か

今週のドル円相場はドル高・円安が進行しました。米政府機関の閉鎖が解除されたことで、ドルを買い戻す動きが広がったほか、米地区連銀総裁の発言などを受けた米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待の後退を背景に、一時は1ドル=155円台と、約9か月ぶりのドル高・円安水準に達しました。その後は、日本政府による為替介入への警戒感が強まり、やや値を戻しました。

来週のドル円相場は上値の重い展開が予想されます。一段と円安が進行する局面では、政府による為替介入の警戒感が強まるため、ドル高・円安の進行余地は限られるとみられます。ただし、FRBの利下げ期待が一段と後退した場合や、日本の財政悪化懸念が意識された場合には、円売り圧力が強まるリスクがあります。

 

◆米国株 :米経済指標に注目

今週の米国株は、一進一退の動きとなりました。政府機関の一部閉鎖の解除が株価を押し上げる場面もありましたが、複数の米地区連銀総裁の今後の利下げに慎重な姿勢を受けた米利下げ期待の後退が、株価の下押し圧力となりました。

来週は、米経済指標発表が注目されます。政府機関閉鎖の解除を受けて、早ければ来週から発表が遅延していた重要な経済指標の発表が再開する可能性があります。経済指標の発表を受けて、投資家の経済への見方や金融政策の見通しが変化すると、株価の変動が大きくなる可能性があります。また、20日に予定されているエヌビディアの決算発表も注目です。決算発表後に同社の株価が大きく変動すると、株式市場全体の変動も大きくなる可能性があり、警戒が必要です。

 

来週の注目点

GDP統計(25/7-9月期、1次速報)11月17日(月)発表

2025年4-6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前期比年率+2.2%と、5四半期連続のプラス成長となりました。設備投資や個人消費などの内需が底堅く推移したほか、輸出もアジア向けを中心に増加しました。

7-9月期については、マイナス成長に転じる見込みです。実質賃金が低迷するなかで個人消費が低迷するほか、米国の関税政策の影響で財輸出が大きく減少すると予想されます。

ユーロ圏製造業PMI(11月、速報値)11月21日(金)発表

10月のユーロ圏製造業購買担当者景況指数(PMI)は50.0と、2か月ぶりに上昇しました。サービス業のPMIは改善が続く一方、輸出が力強さを欠くなかで、製造業は好不調の境目となる50近辺での推移が続いています。

11月の製造業PMIは弱含むことが予想されます。ドイツの財政拡大が製造業の景況感の追い風になる一方、政治不安が続くフランスの景況感の低迷が見込まれます。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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