オンコリスバイオファーマ株式会社(4588 Growth)
承認申請に向けたラストスパートと脳神経領域でピボタル試験開始予定

2025/10/01

フォローアップ・レポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

テロメライシン® 承認申請に向けてラストスパート
オンコリスバイオファーマの主力開発品(OBP-301)は、テロメライシンという遺伝子を改変した腫瘍溶解ウイルスである。オンコリスバイオファーマ独力での製品化に向けて、国内においては食道がんに絞って、臨床開発を推進しており、2025年内に、承認申請目指して全速力で準備が進められており、現時点ではラストスパートの段階にある。既に2025年8月までに、「臨床」・「非臨床」・「品質」・「GCTP」・「信頼性」の5つのすべてに分野で「総合評価」相談に入った。また9月30日に国内オーファン申請も行った。「臨床」の分野では、課題であった放射線単独療法との比較もクリアし、当局から「確認書」が得られる見込みが高まっている。また、再生医療等製品の製造販売業の許可済で、サプライチェーンの準備も進展している。今後、「臨床」・「非臨床」・「品質」の3つの分野で当局から「確認書」が得られ、他の2分野でも一定の目処がつけば、申請可能と見られ、予定通り2025年内の承認申請に到達できると考えられる。

承認・上市後も視野に入れた資金調達
2025年内に承認申請を行った場合、順調にいけば、2026年半ばに承認され、その後2カ月程度、原価構造や画期性の精査などが行われ、2026年後半には、薬価収載及び販売開始に至る予定である。そして、オンコリスバイオファーマでは、販売開始後も視野入れ、①安定供給体制を万全にすること(国内輸送・国際輸送での温度管理体制のシステム構築、加えて在庫切れを回避するため販売後3年間で10ロットほどの製造)、②テロメライシン®適応拡大(食道がん化学放射線(CRT)併用療法や肛門・直腸がん放射線(RT)併用療法)のための試験や「食道がん局所療法研究会」の運営、③市販後の臨床試験や全例調査の準備を始めている。これらの費用を賄うため、オンコリスバイオファーマは、第21回新株予約権を発行し、約27億円の資金を調達することとした。「創薬ベンチャー」から「製薬会社」へ進化し、より一層、企業価値を高めるために必要なファイナンスと位置付けられる。

脳神経変性疾患薬OBP-601 複数のピボタル試験が開始予定
OBP-601は選択的スプライシングを制御しLINE-1の生成を抑制するLINE-1阻害剤である。既に、2024年10-12月期には、導出先のトランスポゾン社によって、PSPやC9-ALSといった神経変性疾患でのPhase2a試験で有効性/安全性が確認された。トランスポゾン社ではPSPを対象としたPhase3(ピボタル試験)のために資金調達とパートナリングの模索中で、2025年10-12月期には開始の予定である。また、 ヒ―リーALSプラットフォームを活用してC9-ALS以外のALSも含んだALS全般を対象とした大規模なPhase2/3(ピボタル試験)を2025年10-12月期中に開始する予定である。さらに、アルツハイマー病創薬財団から約500万ドルの資金を得て、アルツハイマー病を対象としたPhase2試験を2025年内に開始する予定である。複数のピボタル試験の開始により、トランスポゾン社からオンコリスバイオファーマへのマイルストーンが発生する見込みである。また、これまでの成果やアルツハイマー病への対象拡大で、トランスポゾン社への注目が一層高まっており、CNS領域を物色している大手製薬会社のM&Aやライセンス契約等の対象となることも考えられる。これらのコーポレートアクション発生の場合、オンコリスバイオファーマへ想定外のマイルストーンが発生する可能性があることにも留意しておきたい。

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