株式会社キャンバス(4575 Growth)
金メダルシナリオ確定

2022/12/01

フォローアップレポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

ステージ2をスキップして臨床第3相試験へ
キャンバスは、免疫チェックポイント阻害抗体が効きにくい「すい臓がん」のなかでも、極めて予後の悪い3次治療を対象とした抗がん剤CBP501の臨床第2相試験(Ph2)のステージ1部分(4群×各9例)の結果速報とそれに基づく判断を公表した(11月28日)。内容は、かねてより期待されてきた「金メダルシナリオ」に沿ったもので、3剤併用群のうち2つの群で、主要評価項目(3カ月無増悪期間)達成が、9例中4例で実現され、ステージ2を実施する必要は無くなった。ただ、2剤併用群のうちの一つの群でも、主要評価項目達成例が3例出現し、ステージ2が必要となるか否か注目されていたが、主要評価項目以外の副次的評価項目のデータの検討、臨床試験実施施設医師らによって構成された安全性監視委員会の意見、キャンバスの科学顧問会議への諮問の結果を踏まえ、キャンバスでは、3例の主要評価項目を達成した2剤併用群についてもステージ2を実施せず、Ph2試験を早期終了することを決定した。

臨床第3相試験の規模と費用
今般の決定により、キャンバスは、Ph2ステージ2を実施することなく、3剤併用群を中心としたPh3に進む。キャンバスでは、「Ph3のプロトコールや設計は、かねてから継続しているアライアンス活動など開発資金確保のための諸活動と連携しつつ、引き続き入手されるPh2データをもとに検討する。」と表明している。ステージ1の結果を踏まえると、ステージ1で主要評価項目達成例4例だけでなく、奏効例が複数例出現した3剤併用群(3-1群)と医師選択療法群の2群によるPh3となるか、あるいは主要評価項目達成例が3例出現した2剤併用群(2-1群)も加えた3群の2つが有力視されると考える。ベストシナリオは2群比較試験であり、統計的優位性と安全性確認の双方から、各群100~125例の規模が想定され、この場合の Ph3の費用は44~55億円程度と見積もられる。スケジュールとしては、2022年内に準備を始め、2023年初夏に治験申請、年央に患者登録開始が見込まれ、2024年内に治験完了、2025年新薬申請(NDA)という従来からの金メダルシナリオに沿った進捗を期待できる。

来年の初夏に次の楽しみ
第17回新株予約権の行使は順調に進行し、11月4日で行使を完了した。調達金額も、当初予定額20億円を超える金額で着地した。キャンバスは、この一部を使って、Ph3の準備(1.6億円)とPh3の入り口部分の実行(8.17億円)を賄う計画であるが、Ph3全体の費用(44~55億円)はカバーできないため、提携による開発資金の確保が課題となっている。今般キャンバスが、「Ph3のプロトコールや設計は、かねてから継続しているアライアンス活動など開発資金確保のための諸活動と連携しつつ、引き続き入手されるPh2データをもとに検討する。」と表明していることから、既に、提携候補とPh3の治験デザイン等の意向をやりとりしているものと推察される。また、2023年初夏にもPh3のIND(治験申請)を予定していることから、その頃には、提携とPh3のデザインが固まり、公表される可能性ありと考えられる。ステージ1の詳細データも、来年のASCO2023(6/2~6、シカゴ)にて公表されると考えられ、こちらも注目される。

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