ここからのドル円相場~ドル高・円安かドル安・円高か
ここからのドル円相場~ドル高・円安かドル安・円高か
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- ドル円は先週、約10カ月ぶりのドル高・円安レベルに到達、今後の相場の方向性について考える。
- ドル円は下降型三角保ち合いを形成、テクニカル分析ではこの先ドル安・円高方向の動きを示唆。
- ただ高市政権のリフレ的な政策運営はドル高・円安の材料、三角保ち合いは参考程度の動きか。
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ドル円は先週、約10カ月ぶりのドル高・円安レベルに到達、今後の相場の方向性について考える
ドル円は11月20日の取引時間中に、一時1ドル=157円89銭水準をつけ、約10カ月ぶりのドル高・円安レベルに達しました。その後は、政府・日銀による為替介入への警戒感や、米金融当局者の発言を受けた12月の米利下げ観測などを背景に、ドル売り・円買いが徐々に優勢となり、昨日は155円80銭水準までドル安・円高が進みました。そこで、今回のレポートでは、テクニカル分析などを参考に、今後のドル円相場の方向性について考えます。
ドル円は、2023年12月28日安値(取引時間中、以下同じ)の140円25銭水準と、2024年9月16日安値の139円58銭水準、そして2025年4月22日安値の139円89銭水準を結んだ、おおよそ140円のラインが、ドルの下値支持線となっています。一方、2024年7月3日高値の161円95銭水準と、2025年1月10日高値の158円87銭水準を結んだラインが、ドルの上値抵抗線となっています(図表1)。
ドル円は下降型三角保ち合いを形成、テクニカル分析ではこの先ドル安・円高方向の動きを示唆
図表1のように、下値支持線と上値抵抗線が三角形のようになる状態を、テクニカル分析では「三角保ち合い(さんかくもちあい)」といいます。また、今回のように、下値支持線が水平で、上値抵抗線が右肩下がりとなる形状を、「ディセンディング・トライアングル(下降型の三角保ち合い)」といい、下値が一定水準で下げ止まるなか、上値が徐々に切り下がっていく局面で、よくみられる形状です。
ディセンディング・トライアングルの一般的な解釈に従って、この先のドル円相場を展望すると、ドル円はしばらく下値支持線と上値抵抗線の間での推移が続くも、次第にドルの上値が重くなり、三角形の頂点付近で(2026年末頃)、下値支持線を下抜け、ドル安・円高が加速するということになります。もちろん、実際のドル円相場が、必ずしもテクニカル分析通りに推移するとは限りません。
ただ高市政権のリフレ的な政策運営はドル高・円安の材料、三角保ち合いは参考程度の動きか
弊社は、米連邦準備制度理事会(FRB)による25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げ時期について、従来の12月から2026年1月に変更しましたが、追加利下げはあと1回で、米景気の持ち直しにより、その後は据え置きとの見方は維持しています。また、日銀の25bpの利上げ時期について、2026年1月と7月の予想は変わらず、国内経済は高市早苗政権の総合経済対策で、一定程度、支えられるとみています。
これら日米の金融政策と経済見通しを踏まえると(図表2)、ドル円がドル安・円高方向に大きく振れるリスクは比較的限定されており、むしろ高市政権の積極財政と緩和的な金融環境を志向する「リフレ」的な政策運営が、ドル高・円安方向の強い材料になると考えられます。実際、足元のドル円は、すでに上値抵抗線を上抜けており、ディセンディング・トライアングルは参考程度にみておいた方が良いと思われます。
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- (2025年11月26日)
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