7月相場は転換点を迎える可能性
7月相場入りとなった今週の国内株市場ですが、日経平均は週初の3日(月)に大幅上昇となったものの、その後は売りに押される場面が増え、6日(木)には節目の33,000円台を下回る場面も見せています。
テクニカル分析的には、今のところ25日移動平均線がサポートとして機能しているため、相場自体は崩れていませんが、上値については、天井サインとされる「包み足」が出現した6月19日の高値(33,772円)を超えきれない状況となっているため、膠着感を強めている印象です。週末7日(金)の米6月雇用統計等で「次の動き」がどのように出てくるかが注目されます。
とはいえ、ファンダメンタルズ面で見た日本株は先高観をまだ維持していると思われます。週初3日(月)の株価上昇の推進力となったのは、この日に発表された日銀短観でした。業況判断(DI)が軒並み改善されたのをはじめ、設備投資計画が上ぶれしたこと、物価見通しも鈍化し、想定為替レート(1ドル=131.55円)と現在の水準よりもかなり円高に設定されていることなど、企業の景況感が大きく改善している印象となりました。
今月の半ばからは決算シーズンを迎えることを踏まえれば明るい材料と言え、しばらく日本株を支えることになりそうです。
その一方で、注意が必要なのは米国の方かもしれません。例年6月の米国株市場のパフォーマンスは冴えないことが多いことで知られているのですが、今年6月の米国株のパフォーマンスはかなり強い動きとなりました。その背景には、同月に発表された経済指標が好調なものが多く、景況感の改善期待やインフレ懸念の後退が挙げられます。
ただし、こうした流れが7月以降も続かない可能性があります。米国の債券市場に目を向けると、10年債利回りよりも2年債利回りも高くなる「逆イールド」と呼ばれる状況が進行しています。この逆イールドは、一般的に「将来の景気悪化と利下げを(債券)市場が織り込んでいる状況」とされているため、逆イールドの発生は景気後退入りの予兆とされています。過去の相場においても逆イールドの発生後にもれなく景気後退局面入りしています。つまり、米国では株式市場と債券市場とで見ている景色が異なっているわけです。
また、楽観を織り込んでいるとされる株式市場も、「早ければ年内にも利下げ」から、「年内にあと2回の利上げ」といった具合に、米金融政策の見通しの前提が変化しているため、今後の株価の上値が重たくなる展開も想定されます。日本の輸出企業にとって追い風とされる円安(ドル高)も、グローバルで活動する米国企業にとっては業績下押し圧力となります。
こうした懸念を払拭するには、景況感の改善やインフレ懸念後退を織り込んで上昇している「株式市場の現実」に、「実際の現実」がキャッチアップしていく必要があります。そのチェックポイントとして、企業の決算が相次ぎ、FOMCも控える7月半ば以降が、相場の転換点として注目されることになりそうです。
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