月並みだがGW前のポジション調整にはご用心
先週は日米ともに株価は比較的小動きでした。
米国では週頭(17日)にニューヨーク連銀の4月の製造業景況指数が大幅上昇したことから株価を押し上げましたが、20日のフィラデルフィア連銀の4月の製造業景況指数(20日)は悪化したことやコンファレンスボードの3月の景気先行指数(20日)は前年同期比▲7.8%と景気後退を示唆する内容であったことから警戒が強まりました。週を通して主力企業の1-3月期決算は強弱が入り混じっており、方向感の乏しい展開が続きました。
日本株も18日には年初来高値を更新したもののその後は利益確定の売りから小動きにとどまっています。
国内では、ポジティブなニュースとしては、19日に公表された3月の訪日客数が181.7万人とコロナ後(2020年2月以降)では最高となり、ピーク(2019年7月)の約6割の水準にまで回復しました。一方で20日発表の貿易統計では、輸出が金額ベースでは+4.3%であったものの数量指数は▲8.1%とかねてから指摘していた通り大きく減少しました。また貿易収支は20カ月連続の赤字でした。21日発表の3月の消費者物価指数は前年同月比+3.1%と2月から横ばい、また市場予想(+3.1%)と同じでした。ただし、コアコア(生鮮食品とエネルギーを除く)は+3.8%と2月(+3.5%)から上昇しており、まだ値上げトレンドが続いていること示しました。
今週は27-28日に日銀金融政策決定会合が予定されておりますが、植田新総裁は長短金利操作の継続を明確に表明しており、変更はないものと予想されています。5月2-3日に米FOMCが、4日にECB理事会が予定されており、どちらも+0.25%の利上げが見込まれるだけにゴールデンウィーク(GW)の間に投機筋による円売りが加速するリスクもありそうです。
今週から来週にかけては、28日:米PCE物価指数(3月)、30日:中国製造業PMI(4月・国家統計局)、1日:米ISM製造業景況指数(4月)、2日:米雇用動態調査(3月)、3日:米ISM非製造業景況指数(4月)、5日:米雇用統計(4月)と重要指標が続きます。合わせて、国内の3月期決算企業の決算発表が続きます。直近のアナリストコンセンサスでは新年度(24/3期)に関して小幅ながら下方に修正する動きもあり、企業が慎重姿勢を強める可能性を意識していると思われます。
月並みではあるが、今週はGW前ということもあり、動きにくい展開が続きそうです。GW前のポジション調整による売りにはやや用心したいと思います。
この記事を書いている人
藤根 靖昊(ふじね やすあき)
- 東京理科大学 大学院総合科学 技術経営研究科修了。
- 国内証券(調査部)、米国企業調査会社Dan&Bradstreet(Japan)を経て、スミスバーニー証券入社。化学業界を皮切りに総合商社、情報サービス、アパレル、小売など幅広いセクターを経験。スミスバーニー証券入社後は、コンピュータ・ソフトウエアのアナリストとして機関投資家から高い評価を得る(米Institutional Investorsランキングにおいて2000年に第1位)。
- 2000年3月独立系証券リサーチ会社TIWを起業。代表を務める傍ら、レポート監修、バリュエーション手法の開発、ストラテジストとして日本株市場のレポートを執筆。