さくらインターネット(3778) 増収効果が大きく営業利益率改善

2024/11/21

田中 邦裕 社長

さくらインターネット株式会社(3778)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

情報・通信

代表者

田中 邦裕

所在地

大阪府大阪市北区大深町6-38 グラングリーン大阪 北館JAM BASE 3F

決算月

3月

HP

https://www.sakura.ad.jp/corporate/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

5,450円

39,999,742株

217,998百万円

7.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

4.00円

0.1%

39.71円

137.2倍

255.82円

21.3倍

*株価は11/11終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式および株式給付信託(J-ESOP)の保有株式を控除。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2021年3月(実)

22,168

1,372

1,099

758

20.79

3.00

2022年3月(実)

20,019

763

649

275

7.55

3.00

2023年3月(実)

20,622

1,093

965

666

18.29

3.50

2024年3月(実)

21,826

884

764

651

18.26

3.50

2025年3月(予)

29,000

2,600

2,450

1,550

39.71

4.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。

 

 

さくらインターネット(株)の2025年3月期上期の概要と2025年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年3月期上期決算概要
3.2025年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 25/3期上期は前年同期比28.3%増収、419.4%営業増益。生成AI向けGPUクラウドサービスの提供開始やクラウドサービスの成長により大幅な増収となった。成長戦略の実践に向けた人材投資やGPUクラウドサービス向けの投資を積極的に行った。クラウドサービスの機能開発強化の一層の加速や販売促進に向けた人材採用・マーケティング強化等の投資の積極的な実施等による費用の増加はあったものの、増収効果が大きく営業利益率は改善した。 
  • 25/3期は前期比32.9%増収、193.9%営業増益を計画する。期初予想は9月に上方修正。グループ会社売上が好調に推移した。プラン見直しや販売施策が奏功したことに加え、クラウドインフラストラクチャーの順調な伸長等によりクラウドサービスが予想以上に好調に推移したことによるもの。利益面では、売上高が上回ることに加え、GPUクラウドサービスによる電力費の増加が想定を下回る見込みであること等によるもの。追加投資の影響等については引き続き精査中。配当は修正なく、前期比0.50円/株増配の4.00円/株の期末配当を予定。 
  • GPUクラウドサービスの提供が本格的に始まり、上期は期初の会社予想も大きく上回って大幅な増収増益となった。もっとも、生成AI向けGPUクラウドサービスの提供は始まったばかり、今上期では2Qから本格的に売上計上されている。また、上期は前年同期比29億28百万円の増収に対して営業利益は同10億46百万円上乗せされている。GPUクラウドサービスは採算性も良いと推測され、利益率の向上にも貢献しそうだ。加えて国内企業初のガバメントクラウドに認定される見通し。上期には防衛装備庁と役務請負契約を締結しており、正式認定に向けて順調に進んでいるようだ。GPUクラウドの今後の市場の成長余地も加味すると、収益拡大のポテンシャルはかなり大きい。 

     

     

1.会社概要

東京(西新宿、東新宿、代官山:フロア単位の賃借)、大阪(堂島:フロア単位の賃借)、北海道(石狩:土地建物保有)の3エリアで運営しているデータセンターを活かし、クラウド・インターネットインフラサービスを提供している。24年1月よりGPUクラウドサービスを提供開始。また、条件付きながら国内唯一のガバメントクラウド認定企業である。インフラを自社で保有する事で高収益を追求、稼働率を上げ固定費リスクを軽減している。

 

【ビジョン】

「やりたいこと」を「できる」に変える
高い熱量を持って挑戦するすべての人たちが、自分のやりたいことを叶えられるような社会をインターネットとともにつくる。それが、さくらインターネットの目指す姿です。インターネットには人と社会を幸せにする力があると信じて、「やりたいこと」を「できる」に変えるアプローチを広く届けていきます。お客さまをはじめ、社員、地域のみなさまなど、つながりのあるすべての人のために、未来のあるべき姿を思い描くことを大切にしています。

 

ビジョンの実現に向けて
インターネットの普及によって社会は急速に発展を遂げ、そのスピードは今後ますます加速していくことが予想される。変化の激しい時代でありながらも、多くの人がやりたいことを叶えられるような社会をインターネットとともにつくっていくために同社が注力しているテーマは以下の通り。

 

Ⅰ.ESとCSの実現
ES:エンプロイーサクセス。社員の成功やありたい姿を実現するための取り組み、および考え方
CS:カスタマーサクセス。顧客を成功にみちびくための取り組み、および考え方

 

ESの方針
人材の成長と成功を導く「5つの柱
1.人材育成と学び合う文化づくり
2.心と体の健康
3.多様な人材の活躍促進
4.チャレンジとリーダーシップによって新しい価値を育む文化づくり
5.フレキシブルな働き方

 

3つのバリュー ~チームで共創を生むための行動指針~

肯定ファースト
本質的なコミュニケーションをするための土台として、まずは相手の話を肯定的・受容的に受け止めた上で、提案や議論することを大切にしています。
リード&フォロー
チームの成功のためには、ビジョンや目標を掲げ先頭に立ち、リーダーシップを発揮する人と、全力でサポートし、フォロワーシップを発揮する人の両方が必要です。時にはリーダーとして、時にはフォロワーとして、一人ひとりが自律して行動できることを大切にしています。
伝わるまで話そう
人間関係のトラブルの多くはお互いの合意のない期待から生まれると言われています。相手に伝わるまで話すこと、わかるまで聞くことを通して、お互いの期待を明確化し、すれ違いを起こさないことを大切にしています。

 

CSの方針

ビジョンを語り合う関係性
さくらインターネットが一番大切にしているのは、お客さまとともにビジョンを語り合い、思いを共有する関係性です。お互いに気兼ねなく話せる信頼関係を築くことができて初めて、本当にやりたいことへの挑戦ができるのだと思います。ただサービスを提供するだけでは終わらず、変化し続ける事業に対して、やりたいことを一緒にやりましょうと声を掛け合う。そして掴んだ成功をお客さまと一緒に喜ぶことが、当社のカスタマーサクセスです。
人と人のつながりを太く結ぶ
お客さまと長期的なお付き合いをしていくためには、人と人とのつながりが欠かせないと考えています。サービスの使い方を学び合う勉強会は、まさに距離を近づけるための場です。今までは聞きづらかったようなことを聞きやすくして、わたしたちからも一歩踏み込んだサービスを提案させていただく。そして、良い知らせも悪い知らせも一緒に向き合っていける状態をつくり、連続的な支援によってお客さまの大きな成功を生み出していきます。

 

Ⅱ.クラウドビジネスへの集中
デジタル庁設立に象徴されるような国の取り組みをはじめ、地方自治体や民間企業においてもDX推進を掲げるデジタル時代が到来している。この大きなビジネスチャンスに踏み出していくには、会社のあり方を大きく変革することが必要だと考えた。それが「クラウドビジネスへの集中」。
物理基盤からクラウドが主体となる事業構造へと変革し、クラウドサービスの機能強化、ソフトウェアサービスの開発などに注力している。さらに、サーバーに詳しいこれまでの顧客層から裾野を広げ、デジタルを熟知されていない一般の方や企業にもサービスの提供範囲を広げていき、誰もがインターネットで「やりたいこと」を「できる」に変えられるよう支援する。

 

Ⅲ.さらに成長するための重点テーマ
さくらインターネットが社会の変化に対応してデジタルを主軸とした課題解決を提供できるよう、注力するテーマを設定。

デジタル化
デジタル化は効率化という文脈で語られることが多いですが、生活、ビジネス、社会のあり方そのものを変える力があります。デジタルを主軸にしながら、日本が抱える低成長などの課題を解決していくことが、わたしたちの命題です。
スタートアップ
高い熱量をもちながら、精神的にも、考え的にも、新しい人が世界の常識を壊して、よりよい世の中にしてくれると信じています。さくら自身もスタートアップとして始まったので、事業で得られた知見や資金を次世代のスタートアップに投資して挑戦を応援します。
地方創生
リモートワーク前提の働き方に転換するとともにオフィスを東京に集中させず、全国各地に拠点を構えて地域の人材を雇用しています。また、その土地ならではのデジタル化がより活発になるよう、地域の方々との交流を通じて取り組んでいきます。
教育
誰でもITを活用できるように、そして活発なコミュニティが生まれるように。社員に限らず、これからクラウド化に取り組む一般企業の方、ITの学びを深めたい学校の先生、次世代を担う子どもたちなど、広範囲に渡る教育体制の構築を目指していきます。

 

 

【事業内容】

事業は、クラウドサービス(クラウドインフラストラクチャー、クラウドアプリケーション)、物理基盤サービス、及びドメイン取得サービス、SSL取得サービス(独自ドメインによるサーバー証明書の取得代行)、子会社事業等のその他サービスに分かれ、24/3期の売上構成比は、クラウドサービス58.5%(うち、クラウドインフラストラクチャー40.4%、クラウドアプリケーション18.1%)、物理基盤サービス16.4%、その他サービス25.0%。また25/3期から新たにGPUクラウドサービスが加わる。

 

クラウドサービス
幅広いサービスラインアップを提供して培ってきた同社の技術力・ノウハウを活用し、顧客の利用シーンや成長フェーズにあわせた新たなクラウドサービスの開発を加速させている。
クラウドインフラストラクチャー
仮想化技術により、物理サーバー上に複数の仮想サーバーを構築し、そのひとつひとつが専用サーバーのように利用できるサービス。基本的に仮想サーバー1台毎の単体契約となるサービス(「さくらのVPS」)と、契約の中で複数台サーバーの申し込みとそのネットワーク設定を可能とし、日割や時間割での課金が可能なサービス(「さくらのクラウド」)等を提供。
クラウドアプリケーション
同社が所有する物理サーバーと豊富な機能をメンテナンス不要で複数の顧客が共同で利用するサービス(「さくらのレンタルサーバ」)をはじめとした自社やパートナー企業と開発したSaaSサービス等を提供。

 

物理基盤サービス
同社が運営するデータセンター内に、顧客所有の通信機器類を自由に設置できるスペースと、インターネット接続に必要な回線や電源などを貸与するハウジングサービス、及び同社が所有する物理サーバーを専用で利用できる専用サーバサービスがある。

 

GPUクラウドサービス
24年1月からサービスの提供を始めた。25/3期から独立したサービスカテゴリーとして加わる。高性能なGPUを利用可能な生成AI向けクラウドサービス「高火力シリーズ」を提供。大企業やAIメガベンチャー、研究機関だけでなく、AIアプリケーション開発者や機械学習のスポット利用者など多様なニーズに応える。

 

その他サービス
ゲヒルン(株)のセキュリティサービス、アイティーエム(株)の大規模法人向けMSP(マネージメント・サービス・プロバイダ:サーバーやネットワークの監視運用保守を請負う)、ビットスター(株)の小中規模法人向けMSP、プラナスソリューションズ(株)のハイパフォーマンスコンピューティング領域のインテグレーション、IzumoBASE(株)のストレージ仮想化サービス等の収益が含まれている。

2.2025年3月期上期決算概要

2-1 連結業績

 

24/3期 上期

構成比

25/3期 上期

構成比

前年同期比

会社予想

予想比

売上高

10,343

100.0%

13,271

100.0%

+28.3%

13,200

+0.5%

売上総利益

2,639

25.5%

4,349

32.8%

+64.8%

販管費

2,389

23.1%

3,053

23.0%

+27.8%

営業利益

249

2.4%

1,295

9.8%

+419.4%

1,100

+17.8%

経常利益

172

1.7%

1,102

8.3%

+538.2%

950

+16.0%

親会社株主帰属利益

175

1.7%

710

5.4%

+305.4%

600

+18.3%

* 単位:百万円、会社予想は9月時点の予想。

 

28.3%増収、419.4%営業増益、GPUクラウドサービス加わり、会社予想も大きく上回る
売上高は前年同期比28.3%増の132.7億円。生成AI向けGPUクラウドサービスの提供開始やクラウドサービスの成長により大幅な増収となった。
営業利益は同419.4%増の12.9億円。成長戦略の実践に向けた人材投資やGPUクラウドサービス向けの投資を積極的に行った。クラウドサービスの機能開発強化の一層の加速や販売促進に向けた人材採用・マーケティング強化等の投資の積極的な実施等による費用の増加はあったものの、増収効果が大きく営業利益率は前年同期2.4%から9.8%へ大幅に改善した。
売上高・各段階利益は9月に上方修正されたが、その予想も上回った。

 

重点施策への取り組み状況サマリー

重点施策

アクション・成果

成長戦略の実践

幅広いターゲットに向けGPUクラウドサービスを拡充

認知度向上を追い風にクラウドサービスの販路拡大

生成AI向けクラウドサービス第2弾のコンテナーシリーズ「高火力DOK(ドック)」に「NVIDIA H100」をラインアップ(8月)

防衛装備庁と約7.5億円の役務請負契約を締結(7月)、ガバメントクラウド認定事業者として地方自治体向けのフォローアップを積極的に実施。認知度の向上により民間企業からの問い合わせが増加

「さくらのクラウド」のセールスパートナーの登録企業は9月末で50社と想定を上回った。また、クラウドサービスの検定制度「さくらのクラウド検定」を開催するなどエコシステム構築に向けた取り組みを加速

成長戦略を支える

基盤強化

採用活動は好調に進捗し体制強化を加速

旺盛なAI需要に応え、デジタルインフラの強化に注力

今期中200名規模の増員を目指し、単体では採用の進捗率61%(122名※年度内予定を含む)と好調。優秀人材の採用に注力し、外資系大手IT企業出身者等の高スキル人材も獲得。新たな文化・価値を形成し、変化と成長を加速

生成AI向け基盤への旺盛な需要に応えるため、GPU基盤調達に対する合計154.9億円の追加投資を決定(9月、10月)。迅速なサービス提供に向け、今期中に第1期コンテナ型データセンターを竣工予定

エクイニクス・ジャパンと戦略的パートナーシップを開始。GPU基盤をタイムリーに提供するとともに、将来的にアジア地域におけるクラウドビジネスの拡大を目指す

 

サービス別売上高

 

24/3期 上期

構成比

25/3期 上期

構成比

前年同期比

クラウドサービス

6,248

60.4%

6,813

51.3%

+9.0%

内訳

クラウドインフラストラクチャー

4,303

41.6%

4,716

35.5%

+9.6%

クラウドアプリケーション

1,945

18.8%

2,096

15.8%

+7.8%

物理基盤サービス

1,787

17.3%

1,867

14.1%

+4.5%

GPUクラウドサービス

2,018

15.2%

その他

2,306

22.3%

2,572

19.4%

+11.5%

合計

10,343

100.0%

13,271

100.0%

+28.3%

* 単位:百万円

 

営業利益の変動要因

 

(同社説明資料より)

 

 

財政状態

 

24年3月

24年9月

 

24年3月

24年9月

流動資産

10,574

38,515

流動負債

10,598

20,925

有形固定資産

16,656

20,403

固定負債

10,304

13,370

無形固定資産

505

688

株主資本

8,989

27,702

投資その他

2,488

2,649

純資産

9,321

27,961

固定資産

19,650

23,741

負債・純資産合計

30,224

62,257

* 単位:百万円

 

* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

上期末の総資産は前期末との比較で320.3億円増の622.5億円。主な要因は、公募増資による新株発行に伴う現預金の増加、GPUクラウドサービス等向けのサービス機材調達による有形固定資産の増加等によるもの。負債は133.9億円増の342.9億円。主な要因は、サービス機材に係る借入金の増加等によるもの。純資産は186.4億円増の279.6億円。主な要因は、公募増資による新株発行に伴う資本金、資本剰余金の増加等によるもの。自己資本比率は44.6%(前期末30.2%)。

 

キャッシュ・フロー

 

24/3期 上期

25/3期 上期

前年同期比

営業CF(A)

1,377

487

-889

-64.6%

投資CF(B)

-775

317

+1,092

フリーCF(A+B)

601

804

+203

+33.8%

財務CF

-927

23,581

+24,509

現金等残高

4,483

29,648

+25,165

+561.3%

* 単位:百万円

 

* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

25/3期上期末の現金及び現金同等物は、前年同期末比251.6億円増加し、296.4億円となった。
営業CFは、グループ会社の大口案件用たな卸資産の増加により収入が減少した。
投資CFは、GPUクラウドサービス用機材等に対する助成金の入金により支出から収入になった。
財務CFは、株式の発行による収入とグループ会社の大口案件用借入により大幅な収入となった。

 

設備投資・人員
投資は通期予算181億円に対して95億円。内訳はデータセンター3億円(通期予算56億円)、サーバー、ネットワーク機器86億円(同117億円)、その他(システム、事務所関連等)4億円(同7億円)。サーバー、ネットワーク機器の実績内訳は、クラウドサービス5億円、物理基盤サービス1億円、GPUクラウドサービス79億円(圧縮記帳前の金額)、その他0億円。
人員については、上期末のグループ従業員数が927名と前期末との比較で88名増加した。エンジニアが36名、営業・販促・新規企画は22名、管理は6名、グループ会社は24名それぞれ増加した。

2-2 第2四半期(7-9月)連結業績

 

24/3 1Q

2Q

3Q

4Q

25/3 1Q

2Q

前四半期比

売上高

5,105

5,237

5,315

6,167

5,935

7,335

+23.6%

売上総利益

1,285

1,353

1,385

1,710

1,698

2,650

+56.0%

営業利益

104

145

199

435

231

1,064

+359.1%

経常利益

73

99

147

444

95

1,006

+957.6%

四半期純利益

108

66

128

347

41

668

+1,501.9%

EBITDA

852

901

955

1,363

1,032

2,212

売上総利益率

25.2%

25.8%

26.1%

27.7%

28.6%

36.1%

営業利益率

2.0%

2.8%

3.7%

7.1%

3.9%

14.5%

* 単位:百万円

 

前四半期比23.6%の増収、同359.1%の営業増益
2Qの売上高は前四半期比23.6%増の73.3億円。営業利益は同359.1%増の10.6億円。
また、サブスクリプション型売上の主要KPIとして、22/3期からARR(Annual Recurring Revenue:各期月末のMRR(Monthly Recurring Revenue)継続課金による月次収益を12倍して算出)を開示している。25/3期2QのARRは133.6億円となり、前年同期(122.2億円)との比較で9.3%増加した。
かつては売上の拡大を第一義として、設備投資や人員増強に力を入れてきたが、現在はカスタマーサクセス(Customer Success)・エンプロイーサクセス(Employee Success)を最優先とする経営方針に転換しており、ユーザーに長く利用してもらうため、短期的な売上というよりは、LTV(Life Time Value)をいかに高めていくかに力を入れており、この一環として、ARRが重視されるようになった。

 

サービス別売上高

 

24/3期

25/3期

前四半期比

1Q

2Q

3Q

4Q

1Q

2Q

クラウドサービス

3,096

3,152

3,204

3,320

3,375

3,437

+1.8%

クラウドインフラストラクチャー

2,125

2,177

2,238

2,282

2,354

2,362

+0.4%

クラウドアプリケーション

971

974

965

1,038

1,021

1,075

+5.2%

物理基盤サービス

881

906

901

900

932

935

+0.3%

GPUクラウドサービス

201

427

1,591

+272.4%

その他サービス

1,127

1,179

1,209

1,745

1,200

1,371

+14.3% 

* 単位:百万円

 

売上原価の内訳

 

24/3 1Q

2Q

3Q

4Q

25/3 1Q

2Q

賃料

334

331

331

326

325

323

減価償却費・リース料

1,011

1,018

994

1,085

1,080

1,303

労務費

928

945

979

1,019

1,025

1,082

通信費

374

369

375

403

405

388

電力費

259

252

231

243

266

342

修繕費

169

204

230

225

218

214

販売商品原価等

449

434

448

573

495

607

その他

292

328

338

578

419

423

* 単位:百万円

 

 

3.2025年3月期業績予想

3-1 連結業績予想

 

24/3期 実績

構成比

25/3期 予想

構成比

前期比

期初予想

売上高

21,826

100.0%

29,000

100.0%

+32.9%

28,000

営業利益

884

4.1%

2,600

9.0%

+193.9%

2,000

経常利益

764

3.5%

2,450

8.4%

+220.6%

1,960

親会社株主帰属利益

651

3.0%

1,550

5.3%

+137.8%

1,250

* 単位:百万円

 

25/3期は前期比32.9%の増収、同193.9%の営業増益を計画
25/3期は、売上高が前期比32.9%増の290億円、営業利益は同193.9%増の26億円を計画する。期初予想の280億円、20億円から9月に上方修正されている。グループ会社売上が好調に推移した。また、クラウドアプリケーションにおける「さくらのレンタルサーバ」サービスの価格改定を含むプラン見直しや販売施策が奏功した。加えて、クラウドインフラストラクチャーの順調な伸長等によりクラウドサービスが予想以上に好調に推移したことによるもの。利益面では、売上高が上回ることに加え、GPUクラウドサービスによる電力費の増加が想定を下回る見込みであること等によるもの。
旺盛なAI開発需要を背景にGPUクラウドサービスにかかるGPU基盤の早期整備に向けて追加投資を行っている。こうした中、高い成長の達成に向けて人材採用や営業・マーケティングの強化を図っている。その影響等については引き続き精査中である。
配当は修正なく、前期比0.50円/株増配の4.00円/株の期末配当を予定。

 

3-2 成長戦略の実践

生成AI向けGPUクラウドサービス
幅広いターゲットを取り込むため、より小規模なユースケースや予算規模の顧客層向けのサービスラインアップを拡充

 

生成AI向けGPUクラウドサービス「高火力シリーズ」

 

(同社説明資料より)

 

取り組み内容

 

高性能なGPUを利用可能な生成AI向け クラウドサービス「高火力シリーズ」 は再生可能エネルギー電源100%の CO2排出量ゼロを実現する石狩データセンターで提供

大企業やAIメガベンチャー、研究機関だけでなく、AIアプリケーション開発者や機械学習のスポット利用者など、計算資源を提供し多様なニーズに応えるラインアップの拡充を図る

 

ガバメントクラウドへの取り組み
ガバメントクラウド正式認定に向け順調に前進、国産クラウドとして中央省庁案件の受注等、新たな実績を積み上げる
26/3期末の正式認定に向け順調に前進
各官公庁や自治体出身の人材をチームに迎え、営業体制を強化
多くの公共機関が同時期に移行するため、ITリソースや自治体職員の逼迫が懸念されるが、勉強会やイベントでの情報発信を積極的に行い、国やデジタル庁の方針、周辺のガイドラインを踏まえた提案が行える体制を整備
「さくらのクラウド」の技術水準向上や、既存事業・業務プロセスの変革に資する高スキル人材を確保
外資系大手IT企業などから経験豊富なエンジニアが複数名入社。26/3期末までの「さくらのクラウド」のガバメントクラウド正式認定にむけ、技術要件充足のための開発を推進

 

防衛装備庁と約7.5億円の役務請負契約締結
防衛装備庁と「サプライチェーン調査に必要な役務の提供等」についての役務請負契約を締結(7月)
• 防衛産業による装備品等の安定的な製造等を確保するため、防衛産業のサプライチェーンについて、安定的な製造等に係るリスクを把握し、必要な対応を図ることが目的
• 防衛省が実施するサプライチェーン調査に使用するクラウドインフラとして、IaaS型パブリッククラウド「さくらのクラウド」が採用

 

検定制度・パートナー制度施策
啓蒙活動・教育支援を通じて顧客のDXを推進、パートナー・検定制度を開始し、エコシステム構築に向けた取り組みを加速

 

 

(同社説明資料より)

 

取り組み内容

さくらのクラウド検定を開始

デジタル技術や同社クラウドサービスの知識を測る検定制度「さくらのクラウド検定」を開始。資格制度を通じて、クラウドサービスの知識・スキルを習得したパートナー・クラウドエンジニアを増やし、将来の顧客開拓につなげる

多数のセールスパートナーを獲得

今期50社を超えるセールスパートナーを獲得、拡販だけでなくパートナーサクセスを前提としたオンボーディングや「さくらのクラウド」の技術/営業について教育支援を実施している。また、利用件数56万を突破した「さくらのレンタルサーバ」は法人向けのサービスラインアップをそろえ、オプションサービスの拡充と取次店制度を導入し既存サービスの販売拡大と強化に取り組む

認知拡大で想起集合入りを目指す

当社社員が講師を務めるウェビナーやユーザー会を積極的に開催、展示会ブースにも立ち、市場や顧客のニーズ、需要を確実に捉える取り組みを推進

 

 

3-3 成長戦略を支える基盤強化

生成AI向けGPU基盤の拡充
8月に約2,000基の収益化達成。引き合い増加により更なる追加投資を決定
当初予定を大きく上回る計算資源の需要に対応し、計画前倒しで合計154.9億円の追加投資を決定
24年9月 「NVIDIA H100 Tensor コア GPU」800基、24年10月「NVIDIA H200 Tensor コア GPU」1,072基、「NVIDIA H100 Tensor コア GPU」40基の追加投資を決議、旺盛な生成AI開発需要に応える

 

(同社説明資料より)

 

データセンターへの投資を加速
短納期・高収容・電源の高密度化を備えたコンテナ型データセンターを今期中に竣工

 

(同社説明資料より)

取り組み内容

GPUクラウドの迅速なサービス提供に向けて、 コンテナ型データセンターを構築中

短期間で決断、着工を可能にしたポイント

・石狩データセンターにおける増床予定地の確保・受電用変電設備能力の余力

・自社データセンターの構築・運営における長年の経験・ノウハウ・

・データセンターアドバイザリーサービスで提供する同社の最新技術の知見

採用冷却方式

・コールドプレート水冷(DLC)※1方式を採用

・コールドプレート水冷だけではカバーできない部分はInRow空調※2を併用

今後も、石狩データセンターの敷地内にコンテナ型データセンターを構築予定(第2期:2025年、第3期:2026年)

※1 サーバー外部から冷却液を供給、GPUにコールドプレートを接触させて冷却する(Direct Liquid Cooling)、※2 空調機を使用する空調方式

 

事業変革を支える人材の獲得
今期200人規模の採用を計画、上半期で 122名(年度内入社予定含む)を獲得(進捗率61%)
成長戦略の推進を加速するため、8割をリーディングプレイヤー以上で採用

 

リーディングプレイヤー:高い専門性と実行力をもち、事業・組織全体の成長・変革をけん引する人材
ハイレイヤー層:専門性と実行力をもち、担当領域をリードする人材

 

(同社説明資料より)

 

3-4 ESG経営への取り組み

チャレンジ(イノベーションの種)の連鎖をつくる
コミュニケーション施設「Blooming Camp(ブルーミングキャンプ)」を大阪に開所、オープンイノベーションの創出を目的とし、本社も同施設内に移転(9月)

「『みどり』と『イノベーション』の融合拠点」の実現をめざすグラングリーン大阪で、人材や資本が集まる立地特性を生かし、新たな事業創出を支援

本施設に集まる多様な人々のコミュニケーションの「場」と「機会」を創出し、関西ひいては日本社会のイノベーションに寄与

 

(同社説明資料より)

 

人的資本経営への取り組み

(同社説明資料より)

 

次世代起業家の挑戦を支え、オープンイノベーションの取り組みを各地から

(同社説明資料より)

 

多面的サポートも推進

(同社説明資料より)

 

 

環境に配慮した取り組み:石狩データセンター
同社事業に不可欠なデータセンターは、サーバーの稼働及び冷却に大量の電力を消費し、さらに近年の大規模言語モデルの急発展等によって運用される高性能サーバーの消費電力も増大。同社はデータセンターにおける消費エネルギーの削減と脱炭素実現に取り組むことで、サステナブルな社会づくりに貢献
クラウドコンピューティングに最適化した日本最大級の郊外型大規模データセンター・石狩データセンターは、開所当初より、サステナビリティを高める取り組みを積極的に行っている

 

石狩データセンター外観(正面:3号棟、左:1・2号棟)

(同社説明資料より)

 

再生可能エネルギー100%を保持
脱炭素に向けた取り組みとして、23年6月から水力発電を中心とした再生可能エネルギー電源へと変更したことにより、石狩データセンターにおいて二酸化炭素(CO2)の年間排出量はゼロへ
空調にかかる消費電力の大幅削減
北海道の寒冷な空気を利用して、冷涼な外気をサーバールーム内に取り込む「直接外気冷房方式」と、室外機と空調機の間を循環する冷媒を外気で冷やす「間接外気冷房方式」を導入している。一般的な都市型データセンターと比べて、約4割の消費電力を削減

 

石狩データセンター外気空調システム概念図

(同社説明資料より)

 

セキュリティ関連の取り組み

(同社説明資料より)

 

同社のESG経営の取り組みはコーポレートサイトでも紹介。https://www.sakura.ad.jp/corporate/work/

 

4.今後の注目点

GPUクラウドサービスの提供が本格的に始まり、上期は期初の会社予想も大きく上回って大幅な増収増益となった。もっとも、生成AI向けGPUクラウドサービスの提供は始まったばかり、今上期では2Qから本格的に売上計上されている。また、上期は前年同期比29億28百万円の増収に対して営業利益は同10億46百万円上乗せされており、2Qの売上総利益率は36.1%で1Qの28.6%から大幅に向上している。GPUクラウドサービスは採算性も良いと推測され、利益率の向上にも貢献しそうだ。加えて国内企業初のガバメントクラウドに認定される見通し。上期には防衛装備庁と役務請負契約を締結しており、正式認定に向けて順調に進んでいるようだ。GPUクラウドの今後の市場の成長余地も加味すると、収益拡大のポテンシャルはかなり大きい。
株式市場でも同社株は1年前とは打って変わって、出来高も伴った人気株となっている。これまではどちらかといえば材料株に近い部分はあったが、上期の好決算を経てしっかりと実績も伴ったものになりそう。高いバリュエーションもきっちり実績で吸収できる形も見えてきた。
引き続き注目しているのはESG経営への取り組みである。石狩データセンターでは再生可能エネルギー100%を保持、また人的資本経営を実践することなどにより、より困難を極める人材獲得もスムーズに遂行することができるだろう。こうしたことも同社にとっての潜在成長力の大きさを示していると考える。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 9名、うち社外5名(うち独立役員3名)
監査役 4名、うち社外4名(うち独立役員2名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2024年7月3日)
基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、当社が企業規模を拡大していくのに並行して、経営管理組織の整備を推進し、各部門の効率的・組織的な運営及び内部統制の充実を図ることであり、その基本姿勢を基に現在まで努力してまいりました。
特に、インターネット業界は、目に見えない多数の利用者に対して通信施設を開放しており、世界中のインターネット利用者を市場として成立している事業でありますので、他業界以上の大きな社会的責任を背負っております。当社におけるコーポレート・ガバナンスの確立は、このような社会的責任を果たしていくことを可能にする経営基盤であると考えております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
補充原則2-4-1 【中核人材の登用等における多様性の確保】
<多様性の確保についての考え方・自主的かつ測定可能な目標とその状況>
当社は、すべての社員が多様な価値観を持つダイバーシティの担い手であることを前提に、属性の多様性とキャリアやスキルの多様性の双方を生かすことで、当社グループ全体の成長とお客様への価値提供と貢献を目指していることから、中核人材採用・登用については、年齢、性別、国籍等の属性にとらわれず、多様性を尊重した採用・登用の推進に取り組んでおります。
また、多様な属性の社員が多様な価値観を持ち、互いの価値観を認め合った上で共創することがイノベーションにつながると考えていることから、全管理職に占める女性の割合を、2026年3月までに全社員に対する女性の割合と同等にすることを目標としております。この達成を目指し、女性社員を対象にキャリアへの意識調査を実施の上で女性管理職の割合が少ない原因を特定し、原因解消に向けた取組みを行うとともに、ロールモデルを策定するなど、よりポジティブに管理職を目指すことができるよう、引き続き取り組んでまいります。
なお、当社ではそのほとんどが中途採用者であることから、中途採用者の登用について、目標設定を行っておりません。外国人の採用・登用については、現時点では属性による目標設定は行っておりませんが、今後必要と判断した場合には、目標の設定を検討してまいります。

 

<多様性の確保に向けた人材育成方針、社内環境整備方針、その状況>
当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する方針として、「ES(エンプロイーサクセス。以下、「ES」)」を掲げています。これは、社員の能力発揮を後押しする学びと実践のサイクル、多様な人材が集い挑戦する機会の提供、安心して長く活躍できる基盤作りを通して、社員一人ひとりの成長と成功(ES)を実現し、社会やお客様への価値提供の源泉である人材の価値をより高めていくことを目指すものです。
当社は、会社が「働きやすい」環境を提供し、その中で社員個人が「働きがい」を追求できることを理想として、働き方の多様性を尊重するさまざまな取組みをおこなっています。社内環境についても、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの理解につながる機会づくり、多様な社員の活躍につながる環境づくり、成長実感を持てるキャリアや学びへの仕組みづくりなどを通して、社員一人ひとりの個性や成長する意欲と、個々の能力を最大限に発揮できる風土づくりに取組んでまいります。 

 

補充原則3-1-3、4-2-2 【サステナビリティについての取組み、取組みについての基本方針の策定等】
<サステナビリティについての取組み>
当社グループでは、運営する国内のデータセンターを活かしクラウド・インターネットインフラサービスを提供する事業を行っており、インターネット及びデータセンターはいずれも必要不可欠なものとなっております。データセンター運営では大量の電力を消費することから、当社ではエネルギー問題と密接な関係がある気候変動・脱炭素への取組みを進めております。インターネットの利活用が社会インフラの維持・ライフラインの確保に繋がるという考えから、サイバーセキュリティへの取組みについてもとくに重要視しております。

① 気候変動・脱炭素への取組み
社会・産業のデジタル化により、あらゆる分野でデータを活用したビジネスや社会課題の解決が期待される中、デジタルインフラの一部であるデータセンターの重要性は年々増しています。一方で、データセンターはもともとサーバーの稼働及び冷却に大量の電力を消費し、さらに近年の生成AI活用の急発展やVR技術の商業化の進展等によって、運用される高性能サーバーの消費電力も増大しています。地球温暖化防止等の地球環境保全、SDGsの観点から、消費エネルギーを管理・削減するなど、脱炭素実現への取組みによって、サステナブルな社会への貢献を求められていることを当社は十分に認識しております。
2011年11月には、環境に配慮した郊外型大規模データセンター(石狩データセンター)を北海道石狩市に開所し、運営してきました。
立地条件による冷涼な外気を活用したデータセンター運用はもちろん、再生可能エネルギーの自社利用を目的とした石狩太陽光発電所の開設(2015年)や、非化石証書の利用による電力の実質CO2排出量ゼロを達成(2022年)後、再生可能エネルギー電源100%に切り替える(2023年)など、当社ではデータセンター運営において、地球環境の保全活動に積極的に取組み続けています。
2021年には、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言」への賛同を行うとともに、同提言に賛同する企業・機関等による「TCFDコンソーシアム」にも参加しております。現在は気候変動を主軸とした情報整理となっておりませんが、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、適切な開示を行えるよう、引き続き準備を進めてまいります。なお、ガバナンス及びリスク管理につきましては、有価証券報告書において開示しております。

 

② サイバーセキュリティへの取組み
近年、企業活動のデジタル化の進展に伴い、インターネット上での個人情報や企業の機密情報のやり取りが一般化しています。同時に、現実世界と同様に、迷惑行為や様々な権利侵害、違法で有害なコンテンツの流通など、さまざまな問題が発生しています。そのため、インターネットの安全性や品質の向上がますます重要視されています。当社は、クラウド事業者として各サービスを日々見直し、多面的な取組みを行うことで安全性や品質を確保し向上させています。
一方、「個人情報」「表現の自由」「通信の秘密」の重要性も認識し、捜査機関等からの要請に対応する際には、個人情報保護法、電気通信事業法、プロバイダ責任制限法等をはじめとする関係法令やガイドラインを遵守することでこれらの保護に努めており、インターネットの安全性や品質の向上への取組みの一環として、2023年8月より、当社が要請を記録した数と対応の概要を「透明性レポート」として公開し、情報の取扱いに関する透明性を確保しております。
また当社では、生成AIなどのインターネット上の技術の進歩やサイバーセキュリティなどに係わる法律上及び行政上の諸問題について、加盟・協賛団体を通じて広く情報を収集して的確に対応できる体制を整備し、必要に応じて意見を述べることも、クラウド・インターネットインフラサービス事業者としての責務であると認識しております。具体的な例として、一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)の部会である行政法律部会に、迷惑行為などの対応・対策を行う専門チームの担当者や法務担当者が参加し、健全なインターネットの活用について関係省庁との意見交換等を行っております。

 

<人的資本、知的財産への投資等>
人的資本への投資については、社員の能力を高めその能力を最大限に引き出す環境づくりに取り組んできた当社にとって、人材の確保や育成は強みであり、お客さまと社員の成功を支援することで共に成長していく関係を構築する「CS(カスタマーサクセス)・ESの実現」という、重点テーマにも沿ったものと言えます。当社では、社員一人ひとりが当社の資本であり、その成長や成功こそが事業やお客さまへの価値提供の源泉であるという考えから、お客様の「やりたいこと」を「できる」に変え、サステナブルな企業経営及びESを実現するために以下の取組みを行っており、詳細は有価証券報告書において開示しております。
・人材育成と学び合う文化づくり
・こころと身体の健康
・多様な人材の活躍促進
・多様な特性・能力を持つ人材が集まり、リーダーシップが新しい価値を育む文化づくり
・フレキシブルな働き方
また、当社は、知的財産への投資を事業の発展のために重要なものと位置付け、社内の創造的活動を積極的に支援し、当社の知的財産の適切な保護、管理及び活用を推進しております。第三者の知的財産権を尊重することの重要性を社内に周知し、知的財産権侵害の防止を徹底するよう努めるとともに、インターネット上の知的財産の適切な保護が重要であるという考えから、コンテンツの制作・提供会社ではないものの、一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)に所属し、同会の主催する各種研究会への参加などを通じ当社の知見を高めるとともに、情報交換や著作権の権利保護等の活動を行っております。
いずれも当社の持続的な成長に資するよう引き続き監督を行うとともに、積極的な情報開示に努めてまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
原則1-4 【政策保有株式】
(1)政策保有株式に関する考え方
当社は、保有の意義・合理性が認められる場合を除き、原則として上場株式を政策保有株式として保有しません。
保有の意義・合理性については、発行会社との企業連携や事業シナジーが見込めるか、また保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているかを毎年個別銘柄ごとに検証したうえで判断します。その結果、保有の意義・合理性が乏しいと判断される株式については、適宜株価や市場動向その他の事情を考慮しつつ売却いたします。
(2)議決権行使について
当社は、上場株式の保有意義を踏まえ、当社と投資先企業双方の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に適うか否かを基準に、議決権を行使することとしております。

 

原則5-1 【株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、IR担当部署を設置し、株主や投資家に対しては、年2回以上の決算説明会を開催するとともに、ご要望により、代表取締役社長・取締役最高財務責任者等による個別面談等を行うことで、適切に対話の機会を設けております。また、対話にていただいたご意見については、適宜経営陣に共有する仕組みを構築しております。
なお、対話にあたっては、対話のテーマに留意し、インサイダー情報を厳重に管理しております。

 

 

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

このページのトップへ