「“アクティブ投資”は株価指数に勝てない」というのは本当か?
まずはデータからご紹介します。
米国では株価指数に勝てた投信の割合は、過去1年間は41.80%、3年間は32.36%、5年間が27.33%、10年間は17.49%(21年6月末時点・S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズ)であったとのことです。ちなみに日本は1年間46.00%、3年間32.16%、5年間30.47%でした。
また、378本の日本株投信の過去5年間成績(21年9月末現在)と浮動株ベースで時価総額250億円未満を除外した東証1部898銘柄から無作為に抽出した50銘柄のパフォーマンスを378回シミレーションした結果とはほぼ同等であったとのことです(出所:前田昌考氏:元日本経済新聞社編集委員)。
この話は、プロと言われる人たちですら勝てないのだから、一般個人が株式投資で勝つことは難しい、という文脈で語られることが多いように思います。
ここで、次のような疑問を感じた方は素晴らしいです。
株価指数は市場の平均値であるわけだから、アクティブ運用が平均値を下回っている(=負け)とするならば、他の勝っている主体が誰か居ないとおかしいのではないだろうか?、と。
それは一体誰でしょうか?
答えはアクティブ運用なのです。おいおい、さっきと言っていることが違うぞ、と思われた方も多いと思いますが、先ほどのデータは投信の本数ベースなのです。
本数ベースでは少数ではありますが、一部のファンドが勝っているのです。パフォーマンスの悪いファンドから資金が流出し、パフォーマンスの良いファンドにお金が流れてゆきますので、少数の勝ち組にお金が集まりやすい構造になります。残念ながら金額ベースのデータがないのですが、金額ベースでは理論上はほぼイーブンになると想像します(手数料や信託報酬の分がマイナスですが)。
いわゆるプロと呼ばれている人たちでも本当に勝てる人は僅かなのは間違いないようです。これが一般論です。
それでは個人投資家はどうでしょうか?
「個人投資家の9割は損をしている」という説もあるようです。これは信用取引の評価損益が恒常的にマイナスになっていることが論拠になっているようです。多くの個人投資家の方が投資行動としてプラスになった銘柄を利食って、マイナスにある銘柄を保有し続ける傾向があることから、見かけ上の評価損益がマイナスになるのだと考えられます。
それでは実際はどうでしょうか?残念ながらこちらもデータがありません。
ただ、一部のトレーダー層を除けば、個人投資家は比較的長期保有の方が多いので、全体としては市場平均並みになるのではないでしょうか?
ただ、「億り人」と呼ばれるように、大きく勝っている人も存在することは間違いありません。
さて、あなたは勝てるでしょうか?
その答えはまだこの時点では必要はありません。
何故なら、この5th Stage Labで学んでいただくことで、勝利の確率を上げてゆけると思います。
機関投資家の多くはどうして勝てないのか!アナリストは何故当たらないのか!というような話もこのLabの中でじっくりしてゆきたいと思います。
実際に過去何十人というアナリストを(同僚や部下として)見てきました。最前線で高い報酬を得ている一部の方を除けば、殆どの人は、投資のプロフェショナルではありません。もちろん、職業という点ではプロであることは間違いないのですが、むしろプロのビジネスマンと呼んだ方が適切かもしれません。
企業の社員として求められている能力は、業務生産性と説明能力・調整能力です。株価パフォーマンスの優先順位はそれほど高くはありません。職業アナリストを目指す学生さんから一番重要なスキルを聞かれたことが過去にありましたが、第一に体力、次に気力と答えていたと思います。
さて、「ところで、あんた(藤根)はどうなんだ?」という質問が飛んできそうです。正直に申し上げてそれほど誇れるほどのものは無いかもしれません。
2012年初めから2021年の終わりまでの10年間、「TIWモデルポートフォリオ」という実験を試みてきました。15銘柄前後を均等に組み入れ、銘柄変更時と月末に均等になるようにリバランスするという前提で、パフォーマンスを計測してきました。
これは仮想のポートフォリオではありましたが、毎月末ならびに銘柄入替え時にレポートを発行し、完全オープン“ガチンコ”でやってみました。
結果はというと、10年間で6倍でした。年率平均にしますとあまり自慢できるほどではありませんが+18%でした(個人的には忸怩たる思いです)、対株価指数(TOPIX)では、年率平均で約9%上回りました。TOPIXに対して、10年間の内、勝った年が7年、負けた年が3年でした。
「TIWモデルポートフォリオ」は、構造的に100%インベストメント(投資)の形態をとっていましたので、マーケットの下落局面はその影響を受けました。また、「TIWのカバレッジ銘柄に限定する」という縛りもあり、また成長株に特化したものではありませんでした。ですから、(言い訳っぽくなりますが)パフォーマンスもソコソコでしたが、負けた年も大きな負けではありませんでした。
5th Stage Labではかなり成長株に特化しますので、より高いパフォーマンスを狙います。ただし、マーケットの下落局面にはやや弱いかもしれません。そうした局面では、現金化をお勧めするかもしれません。
さて、5th Stage Labでも同様に“レコメンドリスト”のパフォーマンス経過をリアルタイムに“毎週”公開してゆきます。値上がりしたものだけを抜粋して誇大宣伝するような姑息なことはやりません。
ただし、“レコメンドリスト”の具体的な会社名や採用・除外のタイミングはセミナー内でお伝えしてゆきます。
本サービスがスタートすると会員の方のみにお伝えすることとなりますが、当面は無料セミナー内で開示ならびに説明を行ってまいります。
ご高覧いただけましたら誠に幸甚です。
今回も最後までお読みいただきまして有難うございました。
この記事を書いている人
藤根 靖昊(ふじね やすあき)
- 東京理科大学 大学院総合科学 技術経営研究科修了。
- 国内証券(調査部)、米国企業調査会社Dan&Bradstreet(Japan)を経て、スミスバーニー証券入社。化学業界を皮切りに総合商社、情報サービス、アパレル、小売など幅広いセクターを経験。スミスバーニー証券入社後は、コンピュータ・ソフトウエアのアナリストとして機関投資家から高い評価を得る(米Institutional Investorsランキングにおいて2000年に第1位)。
- 2000年3月独立系証券リサーチ会社TIWを起業。代表を務める傍ら、レポート監修、バリュエーション手法の開発、ストラテジストとして日本株市場のレポートを執筆。