来週の金融市場見通し(2020年8月3日~2020年8月7日)

■来週の見通し

東京都では新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最多を更新する中、酒類を提供する飲食店などに営業時間の短縮を要請しました。他方、米国でも西部や南部で感染が再拡大し、フロリダ州では死亡者数が過去最多を更新しています。米国ではコロナ危機に対応して追加の経済対策を検討していますが、共和党案と民主党案は差が大きく、早期成立は厳しい状況です。来週は米雇用統計に加え、国内では1-3⽉期国内総⽣産(GDP)2次速報の改定値、佳境を迎える国内企業の決算発表なども確認したいところです。

◆株価 :軟調な展開に

日本株は軟調な展開が予想されます。現在、新型コロナの感染が全国的に拡大しており、今後、経済活動の部分的な制限を余儀なくされそうです。円高の進行、米国の景気減速懸念、日米決算発表への警戒感も踏まえれば、日本株が明確な上昇基調に転じるとは考えにくい状況です。とはいえ、新型コロナのワクチン開発や、米国などの金融緩和策への期待も根強いため、日本株が一方的に下落する可能性は低いとみられます。

◆長期金利 :低位での推移が継続

40年国債入札は順調な結果となり、国債増発を受けた債券市場の需給悪化への警戒は後退しています。他方、米連邦準備制度理事会(FRB)はゼロ金利政策と国債など資産購入の維持を決めました。新型コロナの感染再拡大で金融緩和の長期化が意識され、米長期金利が0.5%台前半まで低下していることも、国内金利の上昇を抑制しそうです。全国で新型コロナの感染再拡大への警戒が強まっており、長期金利は低位での推移が見込まれます。

◆為替 : 徐々に下値模索

欧州連合(EU)の復興基金創設合意を背景に、ユーロドルが上昇基調にあること、また、4−6月期の米国のGDPが歴史的な落込みになったことなど、米景気指標の下振れを受け、ドル円は引き続きジリ安基調で推移しそうです。米国では新型コロナの新規感染者数が高止まりしており、今後の米景気回復の腰折れ懸念は高まっています。米長期金利はやや低下傾向で推移しており、ドル円は徐々に下値を探る展開を想定しています。

◆Jリート :引き続き方向感を探る

東証REIT指数は7月、1,600ポイント後半を中心にしたもみ合いが続きました。来週も東京都で新型コロナの新規感染者数が過去最多を連日で更新するなど、感染再拡大は重しになりそうです。しかし、長期金利がゼロ%付近の低位で推移する中、相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから底堅い動きが見込まれます。内外の新型コロナの感染動向や感染抑制に向けた措置などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

来週の注目点

家計調査(6月) 8月7日(金)午前8時30分発表 

家計調査によると、実質消費支出(二人以上の世帯)は5月に前年比16.2%減と、比較可能な2001年1月以降最大のマイナスとなりました。外出自粛や休業により、特に外食、旅行、被服などの支出が大幅減となりました。

5月下旬に緊急事態宣言が解除されたため、6月の消費支出は、マイナス幅の縮小が見込まれます。とはいえ、新型コロナウイルスの感染は収束していないため、引き続き外食や旅行に慎重な家計の状況が示されそうです。

米雇用統計(7月) 8月7日(金)午後9時30分発表

6月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は前月比480万人増と市場予想を上回る増加となり、失業率は11.1%と市場予想を上回る低下となりました。平均時給は低賃金労働者の再雇用が進んだことで前月比1.2%下落しました。

6月は経済活動を再開する地域が広がり、飲食、小売りなどで再雇用の動きが顕著となりました。しかし足元、新型コロナウイルス感染の再拡大が見通しを複雑にしており、今後数か月、再び失速の懸念があります。7月の非農業部門就業者数は前月比163万人増程度、失業率は10%程度への低下を想定しています。

 

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