来週の金融市場見通し(2019年3月25日~2019年3月29日)

■来週の見通し

米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利見通しを引き下げるとともに、バランスシート(保有資産)の縮小を9月で停止する方針を決定し、金融引締めに慎重な姿勢を示しました。来週は、米中の閣僚級の貿易協議が開かれる予定です。米中は4月末を新たな期限として交渉を急いでいると伝えられています。最終合意までは予断を許さない状況が続きそうです。

◆株価 : 慎重に上値を試す展開か

日本株は慎重ながらも上値を試す展開が予想されます。米国で今年の利上げを見送る方針が示されたため、米国の金融引締めが世界の経済や株価を圧迫するとの懸念は大きく後退しています。特に日本株については、企業業績や他国の株価に比べた割安感を踏まえると、上値余地がありそうです。ただ、円高へ振れていること、米中貿易摩擦への懸念が残っていることなどから、日経平均株価は2万2千円に近づくと失速しそうです。

◆長期金利 : 低下余地を探る

長期金利は、マイナス0.05%を下限としたレンジが続いていましたが、FRBが政策金利見通しを大きく引き下げるなど、ハト派的な姿勢を強めたことを受け、マイナス0.075%と、約2年4か月ぶりの水準まで低下しました。欧米の中央銀行が金融引締め(利上げ、保有資産縮小)に慎重な姿勢を示す中、日銀についても緩和圧力がかかり、国内金利は上昇しにくい状況が続くとみられます。日銀が国債買入れの減額に動くか注目されます。

◆為替 :  ドル円は徐々に下値トライか

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、今年の利上げを見送り、保有資産の縮小を9月に停止する方針を明らかにしました。また、「政策変更を必要とするほど雇用とインフレの見通しが変わるには時間がかかる」と述べました。米長期金利は低下傾向にあり、ドル円の上値は限定的です。また、米中通商協議の最終合意は予断を許さず、ドル円は徐々に下値トライと思われます。

◆Jリート : 高値もみ合い

東証REIT指数は、長期金利がマイナス圏で推移する中、相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから、2年9か月ぶりの水準まで上昇しました。週末はFRBの政策金利見通しの引下げを受け、国内の長期金利が低下したことを好感し、一時1,900ポイントを上回りましたが、利益確定売りに押されて反落しました。予想分配金利回りは3.9%強と依然として高い水準。利益確定売りに押されながら、上値を探る動きが続くとみられます。

来週の注目点

鉱工業生産指数(2月、速報値) 3月29日(金)午前8時50分発表 

鉱工業生産指数は1月に前月比3.4%低下し、101.1(2015年=100)となりました。アジア向けの輸出低迷などを受け、3か月連続で低下しました。これを受け経済産業省は、生産の基調判断を「緩やかな持ち直し」から「足踏み」へ下方修正しました。

今回発表される2月分は上昇へ転じる見込みですが、海外景気の減速や半導体関連の需要減などを踏まえると、3月は低調な生産に戻る見通しです。そのため1-3月期の生産は前期比減少となる可能性が高く、当期の国内総生産(GDP)成長率も、顕著な減速が予想されます。

米個人消費支出(1月) 3月29日(金)午後9時30分発表

昨年12月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.5%減となり、消費の勢いが弱まりました。また、PCE価格指数は前年比1.7%上昇となり、米連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標(2%)をやや下回りました。

足元の米国景気は堅調ですが、前月比1.6%減と大きく減速した昨年12月の米小売売上高は1月には若干のプラスに転じたものの、個人消費の勢いにやや陰りが見えることから1月の個人消費支出は注目材料です。同指数は前月比+0.3%程度、また、FRBが注目するPCE価格指数は前年比1.9%程度の上昇を想定しています。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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