「さくらレポート」は2地域で判断引き上げ(日本)

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「さくらレポート」は、日銀が3カ月に1度発表する地域ごとの景気情勢をまとめた「地域経済報告」のことです。「さくら」は、報告書の表紙が薄いピンクであることにちなんでいます。全国9地域ごとの総合的な景気判断に加え、設備投資や生産、消費、雇用・所得などの概況が報告されます。なお、米国の連邦準備制度理事会(FRB)がまとめる地区連銀報告は表紙がベージュ色のため「ベージュブック」と呼ばれています。

【ポイント1】地域経済は引き続き総じて底堅い推移

中国、九州・沖縄で判断引き上げ、東海で判断引き下げ

■10月17日、日銀は最新の「さくらレポート」を発表しました。全国9地域のうち、3地域において前回(7月)から景気判断が変更されました。中国地域では、生産面の下押し要因が緩和しているとして、九州・沖縄地域では、熊本地震の影響が和らいでいるとして、それぞれ判断が引き上げられました。一方、東海地域では、個人消費の一部に弱めの動きが見られるとして、判断が引き下げられました。

■全体としては、東海地域が「幾分ペースを鈍化させつつも緩やかに拡大している」とし、残りの8地域では「緩やかな回復を続けている」等と判断されました。地域経済は引き続き総じて底堅く推移していると見られます。

 

【ポイント2】生産には一部新興国減速の影響

設備投資は概ね増加

■需要項目別に見ると、生産は、新興国経済の減速の影響などから、関東甲信越で「足元弱めの動きが見られる」、四国で「持ち直しが一服している」とされましたが、4地域では「増加」と報告されました。

■国内需要では、設備投資が九州・沖縄で「高めの水準ながら減少している」とされたほかは、概ね「増加している」と報告されました。

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【今後の展開】天候要因が落ち着けば、雇用所得の良好さを背景に消費は回復へ

■個人消費では、5地域で「一部に弱めの動きが見られる」等とされつつも、概ね底堅く推移しているようです。今回は天候不順などを主な要因として弱めの動きが指摘されました。台風や気温変動などが消費者心理に影響したと見られますが、今後はこうした要因が取り除かれ、基調として回復していくと考えられます。

■雇用・所得動向では、全ての地域から「改善している」等と報告されました。最新8月の有効求人倍率は1.37倍と1991年以来の高水準にあり、雇用環境は良好です。今後はこうした雇用・所得環境の良好さを背景に消費が持ち直し、日本経済を下支えしていくと考えられます。
(2016年10月19日)

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