米中貿易摩擦とドル円相場

市川レポート(No.490)米中貿易摩擦とドル円相場

  • 米中ともに制裁発動を猶予しており、この先は水面下で協議を進めて、打開策を探る動きを予想。
  • 貿易問題への過度な懸念は後退、目先はドル円の一目均衡表雲下限の上抜け成否が注目点。
  • 4-6月期のドル円は100円~110円の推移を予想、ただ105円~110円の時間帯が多くなろう。

 

米中ともに制裁発動を猶予しており、この先は水面下で協議を進めて、打開策を探る動きを予想

米通商代表部(USTR)は4月3日、対中制裁関税の原案を公表しました。対象となる品目は、産業用ロボットや航空宇宙分野など約1,300品目で、中国の重点育成産業を狙い撃ちした格好になっています。中国は、産業の高度化を目指す「中国製造2025」という長期戦略を2015年に発表しており、トランプ米政権が今回打ち出した措置の背景には、ハイテク分野における将来的な中国の躍進に対する強い危機感があります。

中国は報復措置として4月4日、米国産の大豆や牛肉などの農産品に加え、自動車や航空機を含む106品目に追加関税を準備する方針を公表しました。ともに強硬な姿勢を示していますが、米国には「中間選挙に向けた支持固め」、中国には「政権の権威保持」という側面もあるとみられます。実際、米中両国は制裁措置の発動を猶予しており、この先は水面下で協議を進めて打開策を探る動きが予想されます。

貿易問題への過度な懸念は後退、目先はドル円の一目均衡表雲下限の上抜け成否が注目点

以上を踏まえると、米中貿易摩擦は貿易戦争に発展するのではないかとの見方は、行き過ぎのように思われます。ドル円相場に目を向けると、3月26日に一時1ドル=104円56銭付近までドル安・円高が進行しましたが、その後はゆっくりとドル高・円安方向に反転しています。そのため、為替市場では、米中貿易摩擦問題に対する過度な懸念は、いったん後退したと考えます。

ドル円の日足一目均衡表をみると、4月中旬にかけて雲の下限が107円台前半に下がってきています。この雲下限にドルの上値が抑えられる可能性はありますが、上抜ければ、ドル高・円安の動きが一段と明確になる可能性があります。図表1をみると、ドル円は現在、下値支持線を下回って推移していますが、4月末に108円80銭水準よりドル高・円安水準を回復すれば、下値支持線を再び上回ることになります。

4-6月期のドル円は100円~110円の推移を予想、ただ105円~110円の時間帯が多くなろう

もちろん、米中貿易摩擦問題は、今後の展開を見極める必要があり、まだ楽観はできません。仮に米中協議が決裂し、制裁発動となれば、ドル円はドル安・円高方向に反応すると思われます。米中関係が悪化し、世界経済に深刻な影響が及ぶような状況となれば、100円割れのドル安・円高を想定する必要がありますが、現時点でその可能性は低いと考えます。

3月26日につけた104円56銭水準を下抜けてドル安・円高が進んだ場合、図表2のフィボナッチ・リトレースメントが示す103円66銭水準や、2016年11月9日につけた101円20銭水準が、次の目安として意識されやすいと思われます。弊社は4-6月期のドル円の予想レンジを100円~110円に設定しています。ただ、米通商政策に起因する極端なドル安・円高リスクはいったん後退しており、ドル円は105円~110円で推移する時間帯が多くなるのではないかとみています。

 

 

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(2018年4月6日)

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