東京ボード工業<7815> CSV(Creating Shared Value)の取り組みと含み資産の活用に注目

2015/09/29

首都圏を地盤とする廃木材のリサイクル企業
CSV(Creating Shared Value)の取り組みと含み資産の活用に注目

業種:その他製品
アナリスト:大間知淳

1.会社概要
・東京ボード工業(以下、同社)は、建設・解体現場で発生する木質廃棄物をグループ会社で収集運搬を行い、自社工場でチップ化した後、成形加工してパーティクルボードに再生している。
・パーティクルボードは再びグループ会社によってマンションの建設現場に配送されており、同社グループ内だけで木材のリサイクルが完結している。

2.財務面の分析
・15/3 期までの 5 期間の単体業績は年平均では 5.2%増収 3.9%経常増益であったが、10/3 期と 11/3 期は当期純損失を計上している。
・他社との比較では、規模や安全性においては相対的な魅力に乏しいが、パーティクルボードを主体とする建材事業においては、収益性や業績の安定性に優れている。

3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、環境問題の解決と企業の経済的価値の追求の両立を目指す「共通価値の創出(Creating Shared Value=CSV)」の実践にある。

4.経営戦略の分析
・新設住宅着工が減少したときでも、十分な利益を計上できる体制の構築を目指し、新設マンション以外の市場への進出、製品ラインナップの拡充を今後の成長戦略の柱としている。

5.アナリストの評価
・同社の事業は木材のリサイクルであるが、単にパーティクルボードを生産しているだけではなく、自社グループ内で木質廃棄物の収集運搬から製品の運送に至るまで効率的なサプライチェーンを構築している点に特徴がある。コスト競争力を向上させつつ、二酸化炭素排出量の削減にもつながる仕組みを作り上げた点は環境経営の模範と言えよう。
・巨額な含み益が存在すると見込まれる新木場の主力工場の一部閉鎖・移転、跡地の不動産賃貸業での活用など、生産体制の再構築に乗り出すことになれば、現在、PBR(株価純資産倍率)1 倍割れで評価されている株価は再評価される可能性がある。

 

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。