10月20日妥当レンジ 21,400円~23,100円
割安感は残るが、引き続き調整局面を伺う展開
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<FRB議長人事に注目集まる>
■22日投開票の衆議院選挙は与党圧勝で終えた。翌日(23日)の東京市場では選挙結果と円安を受けて株価は大幅上昇し、過去最高の15日連騰となった。
■円安に振れたのは、19日に米上院において「2018会計年度予算決議案」が可決され、トランプ減税実現へ前進したことによる。また、新聞報道によれば、NY連銀が9月から公表を始めた「基調的な物価指標(UIG)」に注目が集まっていることも影響しているとのこと。UIGは消費者物価指数の構成品目に加えて、企業景況感や労働指標、金融関連指標を加えたものであり、直近ではCPIを上回り、16年2月以降は上昇基調にあるとのこと。
■目先のリスクイベントは、来年以降のテーパリング実施が議論されるECB理事会(26日)、スペイン カタリューニャ洲の自治権剥奪に繋がる憲法155条の発動可決(27日)、1~2週の内には発表される見通しである次期FRB議長の人事である。中国共産党大会を終えた後の北朝鮮の動きにも注意を払いたい。
■FRB議長の次期人事では、パウエル理事、スタンフォード大学テイラー教授、イエレン議長の再任、の3つが有望視されており、タカ派のテイラー教授に決定した場合は、NY株式市場の下落が懸念されている。
<IFIS/TIWコンセンサス225 は全期間で前週比プラス>
■10月20日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、全期間で前週比プラスとなった。コンセンサスDI(前週比プラスとなった企業の比率)もサンプル数が極めて少ないながらも50超を引き続き維持している。
■連騰が続く中で、調整局面がいずれ生じることを意識せざるを得ないが、日経平均株価の妥当レンジではまだ中位よりも下の水準にあり、2Q決算発表後は上方シフトする可能性も視野にあるだけに下落局面でも著しく弱気になる必要はないと考える。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
21,400円~23,100円 | (前回21,150円~22,850円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(10月20日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(10月20日)
今期予想EPS | 1163.46円 | (前週 1162.77円) |
来期予想EPS | 1295.21円 | (前週 1294.12円) |
再来期予想EPS | 1445.03円 | (前週 1444.47円) |
今期予想PER | 18.44倍 | (前週 18.19倍) |
来期予想PER | 16.57倍 | (前週 16.35倍) |
再来期予想PER | 14.85倍 | (前週 14.65倍) |
来期予想PBR | 1.24倍 | (前週 1.22倍) |
来期予想ROE | 7.48% | (前週 7.47%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.97% | (前週 7.00%) |
10月20日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
妥当レンジの中位(平均)は22,250円。調整局面が怖いが、まだ割安感が残る水準。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 64.0%→61.7%→61.0%→62.8%→57.1%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、57.1%→52.8%→65.3%→65.9%→60.7%。
サンプル数はかなり少ないが、50%超を継続!
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |