4月14日妥当レンジ 18,400円~19,900円
北朝鮮動向・仏大統領選で引き続き動き難い展開

2017/04/18

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<引き続きリスクオフ・イベント続く>

■16日に北朝鮮がミサイル発射を試みたものの失敗に終わった。15日は金日成主席生誕105年記念のため何らかのアクションを引き起こすことが懸念されていた。米軍は朝鮮半島周辺に迎撃ミサイルを搭載したイージス艦を集結させており、引き続き緊張状態が見込まれる。
■3月の中国貿易統計(13日発表)は、輸出入ともに市場予想を大きく上回った。中国経済が上向きつつあるようだ。3月の米小売売上高(14日)は前月比▲0.2%となったが、市場予想と一致しており一時的との見方が支配的だった。14日に発表された米為替報告書は直前にトランプ大統領の「ドルが強すぎる」との発言があったものの、事前予想通り中国の為替操作国認定は見送られた。
■今週は23日のフランス大統領選挙(第1回投票)を前に、株式市場は動き辛い展開が続くと考えられる。18~19日の日米経済対話、20~21日のG20財務相・中央銀行総裁会議も注目される。

 

<コンセンサス予想(来期ベース)は、全期間プラス>

■4月14日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、全期間プラスとなった。しかしながら、「225コンセンサスDI」(前週比プラスとなった銘柄数の比率)は、来期ベースで50%を下回った。東芝(6502)、高島屋(8233)、DOWA HD(5714)、日東電工(6988)のマイナス寄与が大きかった。
■3月期決算企業の本決算発表が本格化するのは来週からであるが、20日発表の安川電機(6506)には注目が集まりそうである。14日時点では、12ヵ月フォワードベースの予想EPSからの日経平均株価の妥当レンジは、19,370~21,000円と前週から約80円低下したが、現株価水準を上回っており、日本株の割安感は強い。本日はNY株高を受けて日本株も戻り歩調にあるが、北朝鮮を取り巻く緊迫状況が解消したわけではないことには留意が必要。地政学リスクの後退には、まだ時間を要すると考えるが、深刻な状況が生じない限りは株価の下方リスクは限定的とみる。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

18,400円~19,900円 (前回18,500円~20,000円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(4月14日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(4月14日)

今期予想EPS 1059.54 (前週 1058.71円)
来期予想EPS 1164.78 (前週 1164.33円)
再来期予想EPS 1271.15 (前週 1270.25円)
今期予想PER 17.31 (前週 17.63倍)
来期予想PER 15.74 (前週 16.03倍)
再来期予想PER 14.42 (前週 14.69倍)
来期予想PBR 1.15 (前週 1.17倍)
来期予想ROE 7.33% 前週 7.32%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.03% (前週 6.94%)

*4月14 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出



図1
妥当レンジ下限を僅かながらも下回る状態。さらなる地政学リスクの拡大が無い限りは、下限に到達したと考える。フランス大統領選の第1回投票(23日)では決着しないと見込まれることから、市場の注目点は企業業績(新年度会社予想)に移行するだろう。

 


図2
来期予想ベースのプラス企業比率は、 59.5%→60.2%→63.8%→48.5%→45.5%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、57.8%→58.4%→54.5%→44.8%→52.4%。

3月期決算が本格化する来週の数値で50%超に戻るかどうかが大きなポイント。

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 

 

 

 出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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