10月7日妥当レンジ 16,500円~17,800円
17,000円を挟んだボックス水準へと上方に移行
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<米国経済指標順調、当面は日本株の上昇基調を見込む>
■5日発表のISM非製造業景況指数は(9月)は、57.1と8月(51.4)・市場予想(53.0)ともに大きく上回った。7日発表の米雇用統計(9月)は、非農業部門雇用者数が市場予想(17.2万人増)に対して前月比15.6万人増に留まったものの、労働参加率が大きく上昇する中で失業率が完全雇用を水準を確保したことや、時間当たり賃金が前年比+2.6%と8月(+2.4%)から加速しているなど、概ね良好な内容であった。
■14日発表予定の米小売売上高(9月)において強い回復が見られるならば、雇用環境の好調が消費喚起に繋がる好循環を生み出している可能性が指摘できる。同日のイエレンFRB議長の講演にも注目が集まりそうだ。
■7日に共和党大統領候補のトランプ氏の過去の女性蔑視発言が露見したが、その後のNBCニュースとウォールストリート・ジャーナルの調査ではクリントン氏との差は14ポイントにまで拡大している。共和党議員・知事からの不支持表明も相次いでおり、ブラックスワン(=トランプ大統領)が発生する可能性は大きく後退した。
<コンセンサス予想EPSは全期間でマイナスであるが>
■10月7日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、全期間でマイナスであった。しかしながら、10月3日に採用銘柄の変更(日本曹達→楽天)が行われており、この入替えの影響が今期▲2.44円、来期▲2.18円、再来期▲1.85円生じている。これを考慮すれば今期は実質プラスであり、来期・再来期も小幅なマイナスとなる。前週比プラスとなった銘柄数の比率は、来期56.7%、再来期48.2%であり、上昇トレンドに転じたとはいえないまでも、下降トレンドは生じていないと言えるだろう。
■12月の米利上げ期待が高まる中でドル円は堅調な推移が予想される。OPECの減産合意の実効性には疑問が残るとしても真っ向から否定するだけの材料はまだない。IMFが2016年の世界経済見通し(10月)を7月の段階から据え置いたこともポジティブと考える。目先的にはボックス相場が一段上(16,000~17,000円⇒16,500~17,500円)に移行した状態と考える。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
16,500円~17,800円 | (前回16,250円~17,550円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(10月7日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(10月7日)
今期予想EPS | 980.50円 | (前週 980.52円) |
来期予想EPS | 1060.25円 | (前週 1062.92円) |
再来期予想EPS | 1165.44円 | (前週 1167.75円) |
今期予想PER | 17.20倍 | (前週 16.78倍) |
来期予想PER | 15.90倍 | (前週 15.48倍) |
再来期予想PER | 14.47倍 | (前週 14.09倍) |
来期予想PBR | 1.13倍 | (前週 1.10倍) |
来期予想ROE | 7.09% | (前週 7.10%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.91% | (前週 6.99%) |
*10月7 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
株価は妥当レンジ下限で推移。第1回大統領候補討論会でクリントン氏の優勢から底割れは回避。OPECのサプライズ減産合意から反転機運が高まる。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 46.1%→50.6%→47.2%→53.5%→56.7%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、47.4%→52.1%→39.3%→50.0%→48.2%。
来期ベースは56.7%と本決算後では最高の水準。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |