7月22日妥当レンジ 16,200円~17,500円
日銀政策決定会合を控えて一旦は調整か!

2016/07/26

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<「ヘリマネ」期待の収束から一旦は調整局面入りか>
■今週は、26-27日の米FOMC、28-29日の日銀政策決定会合に注目が集まる。特に日銀政策決定会合においては、追加緩和期待が高まっているだけに、緩和策が行われない(あるいは期待を下回る内容である)とその反動が懸念される。また、「ヘリマネ」の(将来的な)可能性について、会合後の黒田総裁の記者会見に質問が集中すると思われるが、完全否定の姿勢が取られれば「ヘリマネ」期待が一気に終息する可能性もあり注意が必要である。
■26日より為替は急速に円高に傾いているのは、こうした期待の終息を先取りした動きと思われ、目先的には株式市場の調整色が強まると考える。そのため、1Q決算発表も悪材料に反応しやすい展開が予想される。今週の主な決算発表は、27日:日産自動車(7201)、28日:村田製作所(6981)、三菱電機(6503)、29日:ソニー(6758)、パナソニック(6752)、日立製作所(6501)、など。
■しかし、米国経済は堅調であり、来週の米経済指標の発表を受けて、再び円安トレンドへの回帰も考えられる。ISM製造業景況指数(1日)、ADP雇用統計・ISM非製造業景況指数(3日)、雇用統計(5日)に注目したい。

<コンセンサス予想EPSのプラスは一時的!>
■7月22日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、前週比で全期間プラスとなった。ただし、プラスとなったのはソフトバンク(7974)と半導体製造装置3銘柄の影響によるものであり、全体としては下方トレンドは変わっていない。前週比プラスとなった銘柄の比率は、決算発表前のためサンプル数が少ないものの来期・再来期ともに30%台前半に留まっている(50%が中心値)。電機、化学、資源関連(商社・非鉄)の弱含みが目立っている。
■急速に円高への巻き返しが進んでいることから、輸出関連は目先弱含みで、中小型内需銘柄に優位な展開。しかし、来週の米国経済指標によっては、再び円安に振れる可能性もあり、大きく売り込まれた局面では輸出関連を拾っておくのも妙味があると考える。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

16,200円~17,500円 (前回16,100円~17,400円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(7月22日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(7月22日)

今期予想EPS 987.09 (前週 980.34円)
来期予想EPS 1073.93 (前週 1068.66円)
再来期予想EPS 1172.09 (前週 1168.63円)
今期予想PER 16.84 (前週 16.83倍)
来期予想PER 15.48 (前週 15.44倍)
再来期予想PER 14.19 (前週 14.12倍)
来期予想PBR 1.08 (前週 1.08倍)
来期予想ROE 6.97% 前週 7.00%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.04% (前週 7.07%)

*7月22 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

図1妥当レンジでは中位の水準であるが、円高・コンセンサス下方トレンドを考慮すれば買い難い。

 

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 48.5%→35.8%→23.0%→38.0%→33.3%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、56.7%→35.6%→32.6%→32.7%→31.4%。

低位な水準が続く。

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

図3今回の浮揚は一時的?

 

図4外部環境の好転なしでは、PER17倍が最大上限と考える。

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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