12月30日妥当レンジ 14,650円~16,950円
日経平均は割安感が薄らいだが、出遅れ銘柄多し
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<謹賀新年。今年も良い年に致しましょう>
■新年、明けましておめでとうございます。発会は波乱のスタートとなりました。大幅なバリュエーションの水準訂正が生じた2013年と比較して、本年はパフォーマンスの獲得にはやや難しい展開が予想されます。しかしながら、米国景気回復が明確となる中で着実に企業業績の回復が見込まれることにより、大型輸出株だけでなく周辺銘柄への波及が期待されます。今年も良い年に出来るように頑張って参りましょう。
■年初(2日)のNY株式市場の下落を受けて2014年の発会は日経平均の大幅下落で始まった。これは為替がやや円高に戻したことも大きいが、前回(12/25)の当レポートで言及したように日経平均株価には割安感がかなり薄らいでいることが一因として挙げられるだろう。日経平均の今期予想PERは実質的には既に20倍を超えており、来年度(4月からの決算発表による年度替わり)を織り込んだとしても著しく割安な水準には既にない。しかしながら、TOPIXの予想PERは未だ16倍台にあり、主力銘柄以外のミッドキャップや中小型の中に未だ妙味が残っていることを示している。
■今週は米雇用統計の発表(10日)を控えて動き辛い展開が予想されるものの、テーパーリング(量的緩和縮小)は既に決定されていることから、米国金利動向とそれに伴う為替への影響に留まると思われるが、米長期金利はテーパリング開始によって3%前後の動きに既になっており、雇用統計発表による波及は限定的と思われる。国内株式市場については、ドル円が円安からの適度な調整を経た後は、NISAへの資金流入を視野に比較的底堅い展開を予想する。
<コンセンサスEPSは年末要因で大きな変化無し>
■12月30日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、2週前(12/20時点)との比較では、今期・来期は若干マイナス、再来期は若干プラスであった。年末で全体的に変化に乏しい状況にあり、特筆すべき点は無い。第3四半期決算を控えて膠着した推移が予想されるだけに、企業業績よりも株式需給に市場の関心が暫くは向うように思われる。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
14,650円~16,950円 | (前回 14,650円~16,950円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(12月30日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(12月30日)
今期予想EPS | 771.58円 | (前週 771.73円) |
来期予想EPS | 876.72円 | (前週 876.83円) |
再来期予想EPS | 981.38円 | (前週 981.60円) |
今期予想PER | 21.11倍 | (前週 20.96倍) |
来期予想PER | 18.58倍 | (前週 18.45倍) |
再来期予想PER | 16.60倍 | (前週 16.48倍) |
来期予想PBR | 1.43倍 | (前週 1.42倍) |
来期予想ROE | 7.68% | (前週 7.68%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.26% | (前週 6.30%) |
*12月30日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
日経平均は妥当レンジ上限に近づいており、上昇余地よりも下落リスクが強まりつつあるように見受けられる。
期待リターンは7%を割り込んだ状態にある。インプライド・リスク・プレミアムも6.26%となり2013年の最低水準(6.28%)を割り込んだ。
長期トレンドで見てもインプラド・リスク・プレミアムの水準はリーマンショック後では最も低い水準(2010年12月・6.19%)に近づきつつある。ただし、リーマンショック前の水準(詳細なデータは持ち合わせていないが)からみれば、決して危険水域とは言えない。
米国金利同様に日本の長期金利も重要なファクター。
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |