9月13日妥当レンジ 13,700円~15,850円
オリンピック物色一巡で、割安銘柄が注目される

2013/09/18

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<米FOMCで動揺が生じても限定的>
■米国によるシリア軍事介入の可能性が大きく後退し、市場はリスクオンの状態が広がりつつある。月曜日(16日)には、次期FRB議長の最有力候補であったローレンス・サマーズ氏が就任を辞退したことが公表された。サマーズ氏は、緩和縮小派と市場で目されていたことから、ドル安・NY株高となった。17日から18日には米FOMCが予定されており、市場では緩和縮小の織り込みが進んでいると考えられることや、サマーズ氏の辞退によって緩和積極派のイエレン副議長の議長就任の可能性が高まったことなどから、大きな動揺は生じないと思われる。
■日本株式については、NY株高を受けて上昇することが期待されるが、ドル安(円高)の動きによっては上昇が抑止される点に注意が必要と思われる。オリンピック銘柄に対する材料物色が後退する中で、好業績割安銘柄の出直りの動きが顕在化しつつある。

<コンセンスEPSは、全期間で上昇>
■9月13日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、3週間ぶりに全期間(今期・来期・再来期)が上昇した。ただし、プラスを牽引したソフトバンク(9984)、KDDI(9433)を除いて、目立った動きは少ない。今回は、日経平均の妥当レンジを表記の通り引き上げる。
■9月13日の期待リターン(来期ベース)は、7.37%となった。これは5月31日以来の低水準であり、市場がリスクオンの状態にあることを示している。まだ、マーケットには割高感が生じているという状況ではないが、予想EPSの上昇が殆ど見られない(=企業業績見通しは変わらない)中で、株価が上昇している点にはやや注意が必要である。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

13,700円~15,850円 (前回 13,250円~15,350円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(9月13日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(9月13日)

今期予想EPS 792.01 (前週790.78円)
来期予想EPS 878.30 (前週877.16円)
再来期予想EPS 976.25 (前週975.08円)
今期予想PER 18.19 (前週 17.53倍)
来期予想PER 16.40 (前週 15.80倍)
再来期予想PER 14.76 (前週 14.22倍)
来期予想PBR 1.30 (前週1.26倍)
来期予想ROE 7.92% 前週7.97%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.64% (前週6.69%)

*9月13日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 現状は妥当レンジで中位の水準。                

 


期待リターンの低下は市場センチメントの回復を示している。ファンダメンタル(企業業績)が良化しているわけではない。      

 

  

インプライド・リスク・プレミアムの差を見る限りは、中小型株は大型株に対して優位(割安)と言うほどの水準ではない。しかし、5月以降の日経平均の上昇率は、JASDAQ平均よりも高く、不均衡が生じつつある。

 

                

 

  

日経予想(市況欄からの逆算値)とアナリスト予想の乖離はさらに広がりつつある。過去2年は日経予想が下方修正されることで差が縮まったのであるが・・・・。

 

                

         出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
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株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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