今週の注目レポート (1月7日)

【F’sセレクション】
チーフ・アナリスト藤根靖晃が、直近1週間に発行された全レポートから独自の視点(ROE・財務レバレッジ・PBR水準等)で、注目銘柄をピックアップします。


●JCU(4975)【 2+→2+】

「半導体や電力不足等のリスクは想定内」
半導体不足、(中国)電力不足、オミクロン株の感染拡大による影響を確認するために12月24日取材を行った。まず、自動車向けへ影響を与える半導体不足についてである。上期は自動車生産が減少する中、影響を受けず順調に推移をしてきた。下期に入ってからは徐々にではあるが影響を受けてきているとのこと。しかし、想定の範囲内であり計画を下押しするレベルではない。もう一つのリスクである中国での電力不足は電子部品、自動車共に影響を受けてはいないとのこと。また感染拡大も現時点では影響は出ていないとのことである。TIWは会社側計画は上振れるが上方修正までのレベルにはならないと考えている。投資評価を「2+」を維持する。半導体や電力不足、コロナ再拡大のリスクを気にかけていたが、取材により業績の見方を変えるようなインパクトはないと確認できたからである。
予想ROE:19.8% PBR:4.6倍、来期予想PER:24.2倍、来期予想EPS成長率:-1%
株価(1/7終値):5,230円 Fモデルによる理論株価:4,017円(12月27日by山方秀之)

●トヨタ自動車(7203)【 2+→2+】
「11月に生産が上向く、バッテリーEV販売目標を年間350万台へ引き上げる」
12月に入り好ニュースが続く。先ずは12月14日のバッテリーEV戦略に関する戦略説明会。バッテリーEVの販売目標を大幅に引き上げバッテリーEVで中堅完成車メーカー1社分に相当する販売台数を見込んだことがポジティブ。バッテリーEVに後ろ向きとの懸念は払拭されたとみる。また、「全方位戦略」を維持した点も同社の競争力を示したという点で評価できよう。更には11月の生産が10月から大幅に上向き、期末に向け高水準の生産が見込めることもポジティブである。堅調な業績展開が見込める中、株価指標面にも割高感はなく投資評価は「2+」を維持する。
予想ROE:9.9% PBR:1.4倍、来期予想PER:12.2倍、来期予想EPS成長率:13%
株価(1/7終値):2,307.5円 Fモデルによる理論株価:2,299円(12月28日by高田悟)

●小糸製作所(7276)【 2→2+】
「22/3期計画超過達成を見込み投資評価を引き上げる」
前回レポート時に投資評価を「2+」から「2」へ引き下げた。中間時点で22/3期通期計画を営業段階で減益見通しに下方修正したことがネガティブで当面株価の重しになると見たためだ。しかし、下方修正の大きな要因となった取引先の生産調整が足元で収束しつつあること、先日主要取引先のトヨタ自動車が中期的なバッテリーEVの販売目標を引き上げたことが同社にとり追い風になるとTIWではみること、悪材料を織り込みつつ株価は下落し、株価指標面の割高感も従来に比べ乏しくなってきていることなどから今般、投資評価は「2+」へ引き上げる。
予想ROE:7.5% PBR:1.8倍、来期予想PER:13.3倍、来期予想EPS成長率:67%
株価(1/7終値):6,390円 Fモデルによる理論株価:7,843円(12月28日by高田悟)

 

TIWではコンセンサス・データ等を利用して、独自に日経平均の今期 予想ベース、来期予想ベースのROE、PBR、リスクプレミアム等を算出 しております。
(詳しくは、以下のサイトをご覧下さい)〔http://column.ifis.co.jp/category/market/tiw
こうして算出したマーケット参考値と個別企業の株価指標を比較し、 さらにアナリストの予想を加味して選択をしています。
※文中のROE、PBR、PER等の数値は、特に断りが無い限りは、 レポート発行時に算出した値です。

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。