今週の注目レポート (5月28日)

【F’sセレクション】
チーフ・アナリスト藤根靖晃が、直近1週間に発行された全レポートから独自の視点(ROE・財務レバレッジ・PBR水準等)で、注目銘柄をピックアップします。

●サトーホールディングス(6287)【 2+→2+】
「今22/3期の会社計画は保守的な面もある印象」
21/3期業績は計画を上回って着地。4Q(1-3月)のみを見ると、前年同期比4%増収、14%営業増益と増収増益に転じた。4Qは国内事業はサプライの伸びを背景にほぼ前年並みまで売上が回復し、海外も2桁の増収を記録。21/3通期では国内事業の営業利益はほぼ半減したが、海外事業は通期でも2桁増益を確保し営業利益率も前期より向上している。足元の需要回復基調は今22/3期も継続しよう。
予想ROE:7.0% PBR:1.6倍、来期予想PER:15.7倍、来期予想EPS成長率:38%
株価(5/28終値):2,639円 Fモデルによる理論株価:2773円(5月24日by服部隆生)

●マツダ(7261)【 1→1】
「損益分岐点台数の引き下げが着実に進む、22/3期は大幅営業増益を計画」
21/3期決算では(1)連結全体の販売台数は前年を大きく下回ったが、販売ネットワーク改革、販売金融強化を進める主要米国市場で新規投入の「CX-30」、クロスオーバーSUV販売好調などにより総需要が9%減となる中で販売台数は前期を上回ったことや豪州でも同様にクロスオーバーSUVの販売好調等により前年を上回る販売台数を確保したこと、(2)通期では大幅減収、営業利益は前期比79.8%減の大幅減益となったが、4Q(1-3月)単独では小売り大幅回復の一方で半導体不足の影響等から出荷が伸び悩んだが、それでも営業利益は前年同期の3.6倍となり、営業利益率は4.4%まで上昇したことで収益体質の改善が大幅に進んでいることを印象づけたこと、などがポジティブ。
予想ROE:2.9% PBR:0.5倍、来期予想PER:8.4倍、来期予想EPS成長率:91%
株価(5/28終値):970円 Fモデルによる理論株価:1641円(5月25日by高田悟)

●いすゞ自動車(7202)【 2+→1】
「21/3期後半、CV、LCVとも回復感が強まる、22/3期は急回復を計画」
21/3期決算では、(1)21/3期は前半コロナ影響を強く受け販売が減少し前期比32%減の大幅営業減益となったが、下期は業績回復が鮮明となり、4Q単独では(1-3月)は同21%営業増益となり回復基調が強まったこと、(2)22/3期の同社計画では原材料費高騰や物流費増加影響、成長費用の増加影響等を見込む中でも、21/3期から営業利益の大幅増加を見込み増配を予想したこと、などがポジティブ。これまでのタイからに加え、インド及び南アフリカからの輸出開始等により今後LCV事業の一段の成長が見込めること、UDトラックスの子会社化により安定収益が見込めるアフターサービスでシナジー創出が見込めることなどからTIWでは中期的にも堅調な業績展開が続くとみる。決算発表直後、株価は高騰も22/3期TIW予想PER10.2倍など株価指標面も依然割安から投資評価は「1」へ引き上げる。
予想ROE:8.8% PBR:1.1倍、来期予想PER:9.0倍、来期予想EPS成長率:13%
株価(5/28終値):1,492円 Fモデルによる理論株価:2189円(5月26日by高田悟)

●ブリヂストン(5108)【 2+→2+】
「1Qは販売の質向上と構造改革進展により調整後営業利益率は10%超へ上昇」
21/12期1Q(1-3月)決算では調整後営業利益(減損損失などを除いた営業利益)率が10%超まで上昇し経費・コスト構造改革の進展が確認できたこと、販売物量の回復にプレミアム販売比率の向上など販売の質の向上に伴う売値・MIXの改善などが相俟って調整後営業利益段階で大幅な増益を確保したことなどが評価できる。良好な1Qの計画遂行(通期調整後営業利益計画の31.2%遂行)などから1Q決算公表時点では据え置かれた21/12期通期計画には上振れ余地があるとTIWではみること、株価指標面にも特段割高感がないことから堅調な株価にはなお上昇余地があるとみる。投資評価は「2+」を維持する。
予想ROE:12.4% PBR:1.4倍、来期予想PER:13.9倍、来期予想EPS成長率:-14%
株価(5/28終値):4,891円 Fモデルによる理論株価:6177円(5月28日by高田悟)

 

TIWではコンセンサス・データ等を利用して、独自に日経平均の今期 予想ベース、来期予想ベースのROE、PBR、リスクプレミアム等を算出 しております。
(詳しくは、以下のサイトをご覧下さい)〔http://column.ifis.co.jp/category/market/tiw
こうして算出したマーケット参考値と個別企業の株価指標を比較し、 さらにアナリストの予想を加味して選択をしています。
※文中のROE、PBR、PER等の数値は、特に断りが無い限りは、 レポート発行時に算出した値です。

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。