日経平均4万円目前まで上昇も勢い弱く横ばいに推移中…そろそろ天井か?~2024年3月1日版~

2024/03/01

 

日経平均株価が4万円目前まで上昇しました。連日「高値更新」の文字が飛び交っています。

しかし、冷静に見ると、その上昇は勢いのあるものではありません。あくまでも、現在の水準に到達したまま、その水準維持していることで、小さな上昇でも発生すれば高値更新になる状況が続いています。

言い換えると、先週の段階で示唆してきた「そろそろ円単位で見ると状況を錯覚しやすい水準」を迎えつつあるようにも見受けられます。

それを示すかのように、投資家の中には高値更新を喜んでいる人もいれば、冷静に見ている人もいれば、ここからの暴落を示唆している人もいます。

このように誰もが見たことのない水準に到達したことで、各々見解が分かれ次の展開の読み方が難しくなっているのかもしれません。

特に、ここまで日経平均株価が上昇してくると、他の節目の水準でもその都度出てくる「ここが天井では?」という心配です。日本株市場は、ここからどのような展開を迎えるのでしょうか。

そこで、私たちが日本株市場のトレンドを捉えることを目的に独自開発した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきましょう。

 

今週の株式市場動向


こちらをご覧ください。こちらは2024/2/15~2024/2/29の日経平均株価と株トレンド指数の状況です。

※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です

株トレンド指数は、以下のような6つの指数で構成されています。

  • 天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
  • 底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
  • 押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
  • 空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向
  • OVER指数…上昇の前兆や天井の前兆が読み取れる指数
  • RISK指数…大幅下落や暴落の前兆を読み取れる指数

※OVER指数・RISK指数は上記グラフには表記されていませんのでご注意ください

これらの指数をふまえると今週の株式市場は、先週と同様に日経平均株価と株式市場全体が、”あまり連動していない週”でした。

ただし、日経平均株価だけを基準に相場分析している人も、株トレンド指数を基準に相場分析している人も、トレンドの捉え方が難しいことは同じだったでしょう。

早くも結論をお伝えすることになってしまいますが、直近の株式市場の状況を一言で表すと「ほぼトレンドがないに等しい」状況です。

日経平均株価を基準に見ると、高値更新の話題があったものの、今週は「ほぼ横ばい」です。3/1の日経平均株価が1.9%の変動を見せただけで、他の期間は1%未満の変動でした。

ここから、高値更新は、あくまでも数字上での話であって、上昇の勢いが発生したうえでの高値更新ではないことが分かります。

また、株トレンド指数を見ても、今週だけでなく先週を含め、ほぼ横ばい状態が続いています。上昇傾向を示す天井指数の変動はあるものの、トレンドが変わるような変動はなく、横ばい状態でした。

もし、ここで上昇のブレーキを掛ける空売り指数に変動があれば、新たな展開がある可能性がありましたが、それもなく、これでもかというほどの横ばい状態でした。

ただし、唯一両者で違っていたのは「この横ばいが、どのような状態で横ばいなのか」という点だったでしょう。

改めて日経平均株価を見ると、3/1を除いては1%未満の変動なので、ほぼ状況が見ないのが正直なところだったでしょう。

円単位で見て高値更新をしているものの、上昇の勢いがないので、良くわからない中での高値更新だったのではないでしょうか。

日経平均株価は「横ばい」、体感できる「トレンドはない」、でも「高値更新」という状態でしたので、何とも分からない状況だったと考えられます。

また、このような状況でしたので、悲観的に捉えやすい人は「さすがに上がりすぎだ」と考え、「ここが天井ではないか…」と考えたかもしれません。

反対に楽観的に捉えやすい人は「ここが次の上昇への調整局面だ」と考え、日経平均株価の4万円突破と、そこからのさらなる上昇に期待していたかもしれません。

しかし、どちらも現状を見る限り、短期的に見て日経平均株価にトレンドが発生していないので、確証がなく難しい判断だったでしょう。

一方、株トレンド指数で相場分析すると、横ばい状態なうえ、トレンドもない状態ではありますが「上昇のパワーを蓄積した状態での横ばい」だと読み取ることができます。

なぜなら、前述の通り上昇傾向を示す「天井指数」が、ほぼ横ばいではあるものの、発生し続けているからです。

この天井指数が失速し、発生が減少すると同時に、下落傾向を示す底値指数の水準が上昇すれば、日本株市場は、ここが天井だと判断できるでしょう。

しかし、そのような状況は全く見られません。仮に、ここから大きな調整となる大幅下落や暴落があるとしても、これまでの株トレンド指数のデータ分析では、この状況から起きることは考えにくい状況です。

例えば、過去にあった予測不能な天災や地政学リスクによる暴落でも、予測不能な急転をすることはなく、天井指数が失速し、底値指数が優位になる「転換期」が1~2日という短期間でも存在します。

それを考慮すると、現時点ではそのような転換期が見られません。よって、ここから誰も予測できないタイミングで大きな調整となる大幅下落や暴落が発生することは考えにくいでしょう。

そういった側面からも、やはり株トレンド指数を見る限り「トレンドは発生していないが、株式市場全体は上昇のパワーを維持している」と読み取れます。

ただし、その上昇のパワーは強いものではないので、トレンドの発生には至らず、現状のように高値圏を維持するためのパワーにとどまっていると考えられます。

このように日経平均株価だけを見ると、単なる横ばいの推移としか分析できず、次の展開を憶測のような予測をするだけにとどまりますが、株トレンド指数を使うと、このような状況だと読み取れます。

しかしながら、いずれにしても「ほぼトレンドがないに等しい」状況であることもには変わりません。そのような状況ですので、仮に株トレンド指数で状況を把握しても、積極的に利益を狙えるタイミングではない週だったでしょう。

また、あくまでも現状は日経平均株価が横ばい状態の中で高値更新しているだけなので、長期保有していた人が含み損から含み益に転換したり、含み益が少し増える程度だったと予測できます。

この状況ですので、上手くトレンドに乗った銘柄を選定するのは難しい週だったと考えられます。

では、直近2ヶ月間の状況もふまえて、より現状を詳しく見てみましょう。日経平均株価を基準に見ると、日経平均株価は理想的な上昇を見せています。なだらかに右肩上がりに上昇しています。

しかし、詳細を見ると、トレンドらしいトレンドが発生しないまま上昇していることも分かります。理想的な上昇ではありますが、小幅に上昇しているだけなので、長期保有をメインにする投資家以外にはやさしくない期間だと読み取れます。

また、今週に限っては、ほぼ水平に見えるほどの横ばいです。これを見る限り、日経平均株価だけでは「ここば天井ではないか」と悲観的に見てしまう人がいてもおかしくはないでしょう。

株トレンド指数を基準に見ると、今週の株式市場は、1月下旬ごろから横ばいであることが分かります。上昇傾向を示す天井指数は、1月下旬からあまり変動していないことが分かります。

また期間を広げて見ても、1月上旬に短期的な上昇トレンドに見えるような上昇が発生しただけで、それ以外の期間にはトレンドが発生しないことが分かります。

それをふまえると、日経平均株価が小幅に上昇を続けて高値更新を支えるように、天井指数はほぼ横ばいで発生を続けているようにも見受けられます。

ここからも、あくまでも長期保有をメインにした投資家が含み益を増やしやすいだけで、中期や短期売買で利益を狙う投資家にとってはフィットしない株式市場であることが分かります。

だからと言って、今すぐに長期保有に切り替えようと銘柄選定しても、次の展開が読みにくいので、とても難易度の高い環境になっていると考えられます。

こうなると、もし中期や短期売買で利益を狙うなら、株トレンド指数の天井指数の流れに合致している銘柄を上手く選定する必要があるでしょう。

株式市場全体ではトレンドはないものの、個別銘柄ベースでは上昇トレンドに入っている銘柄がありますので、そういった銘柄をピンポイントで狙っていくしかないでしょう。

「高値圏を維持しているが、トレンドがないに等しい」「次の展開が読みにくい」という状態です。日経平均株価が4万円目前や高値更新を続けていますが、そのニュースとは違って私たち投資家泣かせなのが、現状だと読み取れます。

補足として株式市場全体の需給バランスも見ておきましょう。タイムラグはありますが最新の 「投資主体別売買動向」を見ると、需給バランスは、以下の通りでした。

  • 外国人投資家:買い → 中立
  • 個人投資家:売り → 中立
  • 日本の機関投資家:大きな売り → 小さく売り

タイムラグのあるデータなので、このデータが今週に当てはまるわけではありませんが、これを見る限り、内訳は違いますが、株式市場の需給バランスは「均衡に近い」もしくは「やや売り」であると考えられます。

ここからも、日経平均株価も株トレンド指数も「トレンドがないに等しい」状況であることが分かります。ここから需給バランスに偏りが生じない限り、次の展開が起きることは難しいでしょう。

なお、直近のインターネット情報などで「中国市場から撤退し、外国人投資家が日本株を買いにきている」というものが複数見られます。そして、これを日経平均株価上昇の理由としています。

しかし、この 「投資主体別売買動向」を見る限り、外国人投資家が大きく買いに来たのは1月上旬から中旬で、それ以降はそれほど大きく買いに来ていません。

もし、あなたが「中国市場から撤退し、外国人投資家が日本株を買いにきている」という情報を見越して、ここから日本株が更に上昇することを期待しているなら、それは厳し目に見たほうがよいかもしれません。

「投資主体別売買動向」を見る限りそのような状況ではありません。現状は、需給バランスを見ても、日経平均株価を見ても、株トレンド指数を見ても「トレンドなしに等しい」状況です。

また、ここが天井という決めつけもできない状況です。これらをふまえて、まだ次の方向感は未定だと捉え、中立的に次の展開を待つのが良いでしょう。

次の展開を予測するのではなく、展開が起きるのを「待つ」スタンスで引き続き中立的な視点で動向を見ていきましょう。

 

※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。

※2.本記事は2024/2/29(木)時点の株式市場の状況をもとに執筆しました(日経平均株価のみ3/1時点のデータを含みます)。予めご了承くださいませ。

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この記事を書いている人

高橋 佑輔(たかはし ゆうすけ) ー高橋 佑輔(たかはし ゆうすけ)ー

トレード歴12年以上の現役トレーダー。2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。単年で負ける年もあったものの12年間以上、安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。

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