日本株、今年12月は傾向通り上昇する?~2021年12月10日版~

2021/12/10

 

「なぜ、自分が売ろうとした瞬間、株価が下がってしまうのか?」…今週の株式市場も、売買のタイミングが難しく、そう思っている個人投資家も多いかもしれません。

今週の日本株市場は、前週よりも、さらに不穏な空気が流れてきました。日経平均株価の急落が落ち着き、今週は上昇していますが、実際のトレンドと日経平均株価の動向に、前週よりも差異が出てきています。

そのようなこともあり、日経平均株価を基準にトレンドを捉えている個人投資家にとっては「日経平均株価の上昇ほど、個別銘柄が上昇しない…」と疑問に思うタイミングかもしれません。

そこで今回は、私が日本株市場のトレンドを捉えることを目的に、独自に開発した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきます。

 

日経平均株価の上昇=相場全体の上昇?


まず、こちらをご覧ください。こちらは11/25~12/9の日経平均株価と、株トレンド指数の状況です。

※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

  • 天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
  • 底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
  • 押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
  • 空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

この4つの指数をふまえると、前週は日経平均株価の動向で日本株市場のトレンドを捉えている方にとっては、今週は「おかしい」とまでは思わないものの「日経平均株価の上昇ほど、個別銘柄が上昇しない…」と疑問が起きやすい週だったでしょう。

なぜなら、日経平均株価は、12/7から12/9にかけて約900円上昇しましたが、株式市場全体のトレンドは、「下落勢い」が最も大きかったからです。

ただし、その一方で、その下落勢いよりも、やや劣る勢いで上昇勢いも発生していました。だから、個別株で考えると、上昇している銘柄と下落している銘柄が半々に近いが、やや下落している銘柄のほうが多い状況だったでしょう。

しかも、日経平均株価が約900円上昇したこともあり、体感では「上昇勢いがある」と考えてしまいがちな局面であったこともあり、体感と実際の銘柄の動きに差異がある状態だったでしょう。

それに加え、日経平均株価は大きく動いたように見えるものの、株式市場の方向感は、まだどちらに向く分からず、再び無風状態に近づいてきています。

そのようなこともあり、日経平均株価を株式市場全体のトレンドとして捉えている個人投資家にとっては、前週から引き続き「なぜ、思った方向に株価が動かないのか?」と疑問に思った週だったかもしれません。

さらに現状を詳しく理解するために、、直近2ヶ月間の状況も見てみましょう。下のグラフをご覧ください。

 

※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です

こちらを見ると、今週は日経平均株価が12/7から12/9にかけて約900円上昇しましたが、株式市場の下落を示す「底値指数」が目立っていることが分かります。

10月前半から中旬にかけても、日経平均株価が同じような値動きをしていましたが、やはりこのときも「底値指数」が目立っていました。

このような局面では、日経平均株価を基準にトレンドを捉えている投資家にとっては、個別株との連動性が低く、疑問に感じときだったでしょう。

特に、直近1週間は、下落の勢いが少々落ち着き、それと同時に上昇の勢いが発生したものの、再び株式市場全体のトレンドが落ち着いてしまい、再び無風状態に近づいています。

前週は、ボックス圏を下抜けする可能性が出てきたものの、可能性で終わり、再びボックス圏に戻ってしまったと読み取れます。

しかも、このボックス圏は、比較的長い期間続いていますので、その長さの分、上にも下にも、抜けたときの勢いが大きくなる傾向があります。

現時点では、やや下抜けの可能性が高いものの、上抜けする可能性と、ほぼ半々に近いので、改めて仕切り直しといったところでしょう。

例年、12月は上昇傾向がありますが、毎年必ず上昇するわけではなく、過去20年の上昇の回数と、下落の回数を比較すると、上昇のほうが多いという意味合いです。

それをふまえると、明確なトレンドが株式市場全体に発生していないボックス圏を推移する状態ですので、方向感が出るまで慎重に見極める必要があるでしょう。

では、これからどちらに動くか分からないボックス圏を推移している株式市場ですが、週明けは、どのような展開が予測されるのでしょうか。

 

週明けの株式市場の動向は?


週明けの株式市場の展開を予測するにあたり、まず「OVER指数」を見てみましょう。

※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です

「OVER指数」とは、上昇トレンドの展開を大まかに読み取れる指標です。

前週は、マイナス圏を推移してしましたが、今週に入り、ようやくプラス圏に現れてきました。ただし、その水準は低く10を下回っています。

12/7(火)から9(木)にかけて、日経平均株価が約900円上昇したので、株式市場に上昇の勢いが出たと体感してしまうかもしれませんが、このOVER指数をふまえると、実際には体感ほど大きな上昇の勢い出ていないと読み取れます。

また、前週はOVER指数がマイナス圏に入り、反対にRISK指数が上昇していることから、株式市場がボックス圏を下抜けする準備をしているように見えました。

しかし、今週に入り、大きな上昇はないものの、OVER指数がプラス圏に入ったことを考慮すると、再び株式市場がボックス圏に入り、上と下のどちらに抜けるか分からない状況に戻ったと考えられるでしょう。

では、下落の可能性を示すRISK指数は、どのように推移しているのでしょうか?次は、こちらをご覧ください。

 

週明け暴落の可能性は?


「RISK指数」とは、暴落や大幅下落の展開を大まかに読み取れる指標です。

※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です

このRISK指数は、平常時はマイナス圏を推移しています。ただし、暴落や大幅下落があるときは、その直前にプラス圏に現れます。

前週からプラス圏を推移し、今週も引き続きプラス圏を推移中です。先週のピークである「30」からは下がりつつあるものの、一進一退ともいうべき状況です。

前週よりもRISK指数が下落していることから、ここからの暴落や大幅下落の警戒をなくしたいところですが、完全に警戒を緩めてしまうのは、まだ時期尚早だと考えられます。

前週のように突発的な暴落の危険性は薄れたものの、まだRISK指数がプラス圏を推移しつつ、空売り指数が「2~3」程度の低い水準です。

それを考慮すると、暴落や大幅下落への警戒を、ほぼ緩められる水準の「空売り指数が10前後まで上昇」「RISK指数がマイナス圏に入る」までは、警戒を緩めないほうが良いでしょう。

なお、このRISK指数が「50」まで上昇するようなことがあると、暴落が起きる可能性が出てきます。今週よりは警戒しないものの、引き続き、このRISK指数が、どのように動くかに注目すると良いでしょう。

このように、RISK指数を見ても、警戒はしなければならないものの、突発的な暴落に警戒しなければならないような水準ではありません。

それをふまえると、やや下落への警戒は必要なものの、ボックス圏を下抜けする勢いは収まりつつあります。よって、ここからも、株式市場全体が、再びボックス圏に戻ってしまったと読み取れるでしょう。

 

どうする…週明けの投資戦略?


前週は、これから上昇しようとしていることがダマシだったと分かり、「下抜け」への準備をはじめているような動きが見られました。

しかし、今週の株式市場の動きを見る限り、下抜けは準備だけで終わり、再び方向感のないボックス圏に突入したと考えられます。

前週12/3までの投資主体別売買動向によると、「外国人投資家」が売り、「機関投資家」「個人投資家」が買いの状況です。

ただし、機関投資家は、あくまでも全体で見ると「買い」なだけで、部分的に見ると、「売り」「買い」が混在しています。

それをふまえて全体の需給バランスを見ると、やや売りが優勢の状態です。もし、ここから個人投資家が「売り」先行になると、株式市場全体が、下落方向に動くかもしれません。

このような株式市場全体の需給バランスと、株トレンド指数の状況を見ると、週明けは再び難しい展開になると考えられます。

再びボックス圏に株式市場全体が戻ってしまい、方向感がない状況です。むしろ、まだ暴落や大幅下落のリスクを完全に緩めることができず、引き続き警戒が必要な状況です。

そういった意味では、再び方向感が出るまで、様子見をするのも戦略の選択肢の一つでしょう。ボックス圏では、方向感がないことが災いし、株価が思った方向とは逆方向に動きやすいので、売買のタイミングに注意が必要です。

特に、手仕舞いのタイミングは、後々後悔するような場面もあるかもしれませんので、ボックス圏でタイミングを見極めるのは難しいでしょう。

だからこそ、これまで積み上げた利益を不用意に失わないためにも、週明けは「様子見」をして、上抜けと下抜けのどちらになるか?もしくは、そのままボックス圏が続くか?など、何もせずに株式市場の動向を見るのも、戦略の一つでしょう。

ぜひ、このような情報を参考にしていただきながら、あなたの週明けの投資戦略を考えてみてはいかがでしょうか。

 

今週のポイント~4つ~


【ポイント.1】
12/3までの投資主体別売買動向によると、「外国人投資家」が売り、「個人投資家」「機関投資家」が買い。需給バランスでみると、売りのほうが、やや優勢の状態。前々週に続き、個人投資家の買いが外国人投資家の売りの勢いを抑え、暴落まではいかない状況だと読み取れる

【ポイント.2】
前週と今週は、日経平均株価と株式市場全体の動向に、差異がある状況。前週は、日経平均株価が体感では大きく下落しても、株式市場全体は、それほど大きく下落していなかった。また、日経平均株価が小幅の下落にも関わらず、株式市場全体は下落傾向が、より強まった。

そして、今週は、市場全体の中では「下落傾向が強い」にも関わらず、日経平均株価が上昇したので、日経平均株価を基準にトレンドを捉えている投資家にとっては難しい状況であった。特に、今週は株価が底値圏にきたというよりも、再び「無風状態」に近づいたと考えられる。再度、ボックス圏に入ったと考えられるので、月末に向けて、どう動くかを慎重に見極めないといけないところ。

【ポイント.3】
OVER指数の直近の動向を見る限り、前週はボックス圏を下抜けする動きが見られたが、再びボックス圏に入ったと考えられる。12/7(火)から9(木)にかけて、日経平均株価が約900円上昇したので、株式市場に上昇の勢いが出たと体感してしまうかもしれないが、実際は、体感ほど大きな上昇の勢いはない。RISK指数との兼ね合いで考えると、ここから、すぐに上昇の勢いが増すとは考えにくいだろう。

【ポイント.4】
RISK指数が、11/25以降プラス圏を推移し、前週から上下を繰り返していることを考慮すると、まだ下落方向に株価が動く警戒を緩めるのは危険だと考えられる。

VIX指数を見ても、、前週は30を目前にしているところから「21」まで下がっているが、上げ下げを繰り返していることから、まだ完全に警戒を緩めるのは難しいと考えられる。

前週のように突発的な暴落の危険性は薄れたものの、まだRISK指数がプラス圏を推移しつつ、空売り指数が「2~3」程度の低い水準なので、10前後まで上昇するまでは、暴落への警戒を緩めないほうが良いと考えられる。

なお、このRISK指数が「50」まで上昇するようなことがあると、暴落が起きる可能性が出てくる。そういった意味でも、引き続きRISK指数関連の動きを見ながら、警戒を調整するのが良いだろう。

 

※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。

※2.本記事は2021/12/9時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。

 

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この記事を書いている人

高橋 佑輔(たかはし ゆうすけ) 高橋 佑輔(たかはし ゆうすけ)
トレード歴12年以上の現役ベテラントレーダー。2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。12年間でたった一度負けがあっただけで、11年間安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。高橋佑輔執筆【eBook(電子書籍)『日本株再入門』】の無料配布はこちらをクリック

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