株式会社キャンバス(4575 Growth)
ベストシナリオの可能性がやや上昇

2024/07/01

フォローアップ・レポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

2024年6月期の業績予想を開示
2024年6月25日、キャンバスは、これまで非開示であった2024年6月期の業績予想を開示した。2024年6月期の事業収益は、CBP501の導出・提携契約による収入獲得は実現に至らず、またライセンス済みのCBS9106の開発進捗に伴い発生する可能性のあるマイルストーン収入も実現しなかったため、ゼロの見通しである。事業費用の方は、欧州でのPhase3試験の準備が進捗し、一方で、念のため米国でのPhase2b試験の準備を実施したことから臨床開発費用が膨らんで、前期実績の965百万円に対し398百万円ほど増加し、1,368百万円に拡大する見込みである。

ベストシナリオの可能性が上昇
今回の業績予想開示で注目されるのが、貸借対照表及びキャッシュ・フロー計算書の変動に関する情報である。CBP501の米国でのPhase2bに備えてCRO(臨床試験実施機関))へ前渡ししていた前渡金の一部返還と、2024年6月期に欧州でのPhase3準備のために7.1億円ほど費用が発生する見込みであることが判明した。キャンバスは当面、欧州Phase3開始申請と試験準備に臨床開発関連の経営資源を集中することを表明している。また、これまでのところ、欧州でのPhase3申請・準備に関し、膨大な事務手続きの最中であるが順調に進捗しており、Discussionも継続中であるが特段の問題は発生していない、とのことである。以上から、CBP501の開発に関して、従来から掲げられてきたベストシナリオ(欧州でのPhase3実施)の実現可能性が高まっていると推察される。ただし、依然として欧州Phase3が認可されず、米国Phase2b実施のリスクが残存していることには留意したい。今般、米国CROへの前渡金が完全返還に至っていないのは、まだ米国Phase2bの可能性が残存しているおり、リスクヘッジのためと考えられる。欧州での開発の可否が浮上する時期について、現時点で、明確な見通しを持つことは困難である。欧州Phase3試験開始申請業務も順調に進捗しているが、何合目まで到達しているかは不明である。ちなみにキャンバスによるベストシナリオでは、2024年末まで申請・準備期間を見込んでいる。

中間解析までの開発資金には目処がついている
2024年6月末の現預金残高と未収金(7月返還前渡金)の合計金額は約2,136百万円となる。また、未行使の新株予約権がすべて行使下限価格で行使されると仮定すると、16億円のキャッシュ・インが見込まれるため、合計37億円ほどの資金が確保できると想定される。一方、欧州での開発費用は、申請・準備費用+Phase3実施費用で合計47~52億円が見込まれているが、既に、7億円程度が支出されているため、あと40~45億円ほどの支出が発生すると考えられる。中間解析が2年後(2026年央頃)に行われると仮定すると、37億円の資金は、運転資金や基礎研究費を加味しても、Phase3中間解析までの遂行をカバーできるものと考えられる。

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