日本株、ここから暴落の可能性は?~2021年12月3日版~

2021/12/03

 

「なぜ、自分が売ろうとした瞬間、株価が下がってしまうのか?」…今週の株式市場も、売買のタイミングが難しく、そう思っている個人投資家も多いかもしれません。

今週の日本株市場は、前週よりも、さらに不穏な空気が流れてきました。日経平均株価の急落から、落ち着いたように見えますが、実際のトレンドと日経平均株価の動向に、やや差異が出てきています。

そのようなこともあり、日経平均株価を基準にトレンドを捉えている個人投資家にとって、まだ大きな変化はないものの「ちょっと、おかしい…」と思う局面かもしれません。

そこで今回は、私が日本株市場のトレンドを捉えることを目的に、独自に開発した「株トレンド指数」をもとに、今週の株式市場の動向と、今後の展開について考えていきます。

 

日経平均株価の下落は止まった?


まず、こちらをご覧ください。こちらは11/18~12/2の日経平均株価と、株トレンド指数の状況です。

※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です

株トレンド指数は、以下のような4つの指数で構成されています。

  • 天井指数…「170」付近で、相場全体の上昇トレンドが終焉する傾向
  • 底値指数…「220~420」付近で、相場全体が底値に近づき適正株価まで回復傾向
  • 押し目買い指数…30に近い水準になると押し目買い戦略が機能しやすい傾向
  • 空売り指数…「50」付近で、相場全体の上昇にブレーキが掛かる傾向

この4つの指数をふまえると、前週は日経平均株価の動向で日本株市場のトレンドを捉えている方にとっては、今週は「おかしい」とまでは思わないものの「何か違う」と違和感を覚える週だっかもしれません。

なぜなら、12/1、12/2の日経平均株価は、小幅に変動しましたが、株式市場全体のトレンドは「下落方向」に向かっていったからです。

日経平均株価は、週明け11/29に大きく下落しました。しかし、その下落の勢いは、そこで止まり翌日からは小幅の変動に留まりました。

そのようなこともあり、日経平均株価を株式市場全体のトレンドとして捉えている個人投資家にとっては、安心した瞬間だったかもしれません。

しかしながら、実際の株式市場全体のトレンドは、そのとき「下落方向」に向かっていました。これは、直近2ヶ月間の状況を見ると、よく分かります。下のグラフをご覧ください。

 

※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です

こちらを見ると、今週は底値指数が直近2ヶ月で、最も上昇してきていることが分かります。10月前半にも大きく日経平均株価が下がる局面がありましたが、そのときでも、底値指数が20を超える水準には到達しませんでした。

それが、今週は11/29「20」、11/30「24」、12/1「19」、12/2「30」と、連日10月よりも高い水準を推移しています。

また、10月の下落時には、その下落の勢いを抑える「天井指数」が多少見られましたが、今週は11/29「1」、11/30「3」、12/1「0」、12/2「0」と、ほぼ上昇の勢いがなくなってきました。

つまり、日経平均株価は小幅に上下しましたが、株式市場全体のトレンドは、上昇の勢いがなくなり「下落の勢いのみ」が発生している状況でした。

しかも、週末に向かうほど、「上がり過ぎ銘柄」を示す「空売り指数」も「0」に近づいています。この空売り指数があるうちは「上昇」の勢いがあると考えられますが、「0」に近いということは天井指数と同じように上昇の勢いがなくなったと考えられます。

このように、9月以降ボックス圏を推移してきた日本株市場ですが、ここにきて「下抜け」の準備をしているような動きが見えます。

特に、このボックス圏は、比較的長い期間続いていますので、その長さの分、上にも下にも、抜けたときの勢いが大きくなる傾向があります。

それをふまえると、このボックス圏を暴落をきっかけに下抜けする可能性も十分に考えられるでしょう。

そのような暴落の警戒が必要な状況ですが、週明けの株式市場は、どのような展開が予測されるのでしょうか。

 

週明けの株式市場の動向は?


週明けの株式市場の展開を予測するにあたり、まず「OVER指数」を見てみましょう。

※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です

「OVER指数」とは、上昇トレンドの展開を大まかに読み取れる指標です。

先月からの動向をふまえると、何度かOVER指数が上昇する場面が見られましたが、11/22以降ほぼマイナス圏に突入しています。

一時は、上昇トレンドが発生しそうな動きが見られましたが、それがダマシだと分かってからは、上昇の勢いが一気になくなっていると読み取れます。

特に、このOVER指数を構成する、天井指数と空売り指数も0に近い水準に突入していることから、ここから株式市場全体が下落方向に向かう可能性が高いと考えられるでしょう。

では、下落する場合、どのような動きになることが予測されるのでしょうか?次は、こちらの「RISK指数」をご覧ください。

 

週明け暴落の可能性は?


「RISK指数」とは、暴落や大幅下落の展開を大まかに読み取れる指標です。

※上記グラフは「シナジスタ」の独自システムによるデータ分析による結果です

このRISK指数は、平常時はマイナス圏を推移しています。ただし、暴落や大幅下落があるときは、その直前にプラス圏に現れます。

前週まではプラス圏に近づいたものの、暴落への警戒が緩められている状況でした。その一方で、前週、わずかにプラス圏にはいったときがあるのは気がかりな状況でした。

そして、今週は、その気がかりな部分が顕在化し、RISK指数の上昇が見られました。週明け11/29から「16」、11/30「20」、12/1「16」、12/2「29」と、OVER指数が「30」近い水準まで上昇しています。

この動きは過去のRISK指数推移を見る限り、コロナ・ショックの前段階の動向と類似しています。

もし、週明けに分かる12/3のRISK指数が「50」程度まで上昇すると、週明けのどこかのタイミングで「50」程度まで上昇すると、暴落が起きる可能性が高いでしょう。

また、それと合わせて、暴落や下落傾向の終焉の目安となる「空売り指数」も、このまま「0」に近い水準が続くと、仮にRISK指数が上昇しても警戒は緩められないでしょう。

RISK指数が、マイナス圏に入り、空売り指数も10前後まで上昇しない限り、いつ暴落が起きてもおかしくないと考えておくとよいでしょう。

なお、直近の「VIX指数」もふまえると、現在「警戒水域」の30に近づいています。そこに加え、ボックス圏を抜けるときは、上にも下にも大きく変動する傾向があります。

それらをふまえると、これまで、このボックス圏を上抜けすることを期待していましたが、下抜けに向け株式市場が動き出してきているようにも読み取れます。

いずれにしても、暴落の前段階には、このRISK指数が「50」程度まで上昇する傾向があります。週明けの株式市場は、このRISK指数が、いつ「50」程度まで上昇するかを基準に、リスクへの警戒を考えると良いでしょう。

 

どうする…週明けの投資戦略?


これまで、長期のボックス圏を上抜けするような動きが見られましたが、前週から、それがダマシだったと分かり、「下抜け」への準備をはじめているような動きが見られます。

前週11/26までの投資主体別売買動向によると、「外国人投資家」「機関投資家」が売り、「個人投資家」が買いの状況です。

需給バランスでみると、売りと買いがほぼ均衡している状況ですが、個人投資家だけが逆方向に動いていることで、大きな下落を抑えてる可能性が高いのが現状だと読み取れます。

また、今週は、日経平均株価の小幅な変動に対し、株式市場全体は「下落傾向」に向かうという差異が起きています。

これをふまえると、「外国人投資家」「機関投資家」は正しいトレンドの捉え方をしていますが、賢明な投資家であるあなたは違っても、日経平均株価でトレンドを捉えてしまう他の多くの「個人投資家」が違ったトレンドの捉え方をしている可能性が高いでしょう。

そうなると、もし日経平均株価の動きと、株式市場全体の動きが一致したとき、多くの個人投資家が「売り」を選択することになるかもしれません。

そして、そのとき 「外国人投資家」「機関投資家」「個人投資家」の三者が売りが優勢になると、暴落への勢いが増すと考えられるでしょう。

これらをふまえると、週明けの株式市場は、「もし暴落が起きたら、どのように対応するか?」を中心に戦略を考えるのが良いでしょう。

リスク管理を徹底し、耐え忍ぶのか、それとも、この暴落をチャンスと捉えて逆張り戦略などで利益を狙うのか、暴落を前提として、あなたにとって最適な戦略を考えるのが良いでしょう。

もちろん、暴落が起きない可能性もあります。しかしながら、直近のRISK指数の動向が、コロナ・ショックの推移に類似していることや、VIX指数の状況もふまえると、警戒を緩めることはできないでしょう。

これまではボックス圏を抜け、方向感がでるまでは様子見という選択肢がありまたが、ここからは「暴落への警戒」が必要だと考えられます。

株トレンド指数の動向を見る限り、そろそろボックス圏を抜ける準備が、株式市場に出てきました。ぜひ、このような情報を参考にしていただきながら、あなたの週明けの投資戦略を考えてみてはいかがでしょうか。

 

今週のポイント~5つ~


【ポイント.1】
11/26までの投資主体別売買動向によると、「外国人投資家」「機関投資家」が売り、「個人投資家」が買い。需給バランスでみると、売りと買いがほぼ均衡している状況。ただし、個人投資家だけが逆方向に動いていることで、大きな下落を抑えてる可能性が高い。

【ポイント.2】
今週は、日経平均株価と株式市場全体の動向に、やや差異がある状況。大きな差異はないが、日経平均株価の下落幅と、実際の下落の圧力を示す底値指数の動きに差異がある。これにより、体感よりも、実際のトレンドは大きく下落している可能性が高い。

【ポイント.3】
OVER指数の直近の動向を見る限り、ボックス圏を下抜けする準備期間に入っていると考えられる。上方向のトレンドが、ないに等しい状況にきているので、下抜けへの警戒が必要。

【ポイント.4】
RISK指数がプラス圏で上昇していることをふまえると、週明けにボックス圏を下抜けする可能性がある。VIX指数も「警戒水域」の30に近づいていることや、長期のボックス圏が継続していることを考慮すると、突発的な暴落の可能性もある。

【ポイント.5】
過去のRISK指数推移を見る限り、コロナ・ショックの前段階の動向と類似している。12/2のRISK指数をふまえると、週明けに「50」程度まで上昇した場合、暴落が起きる可能性が高い。空売り指数が、直近は「1」程度と非常に低い水準なので、10前後まで上昇するまでは、暴落への警戒が必須と考えられる。

 

※1.こちらの分析結果はあくまでも日本株市場全体の傾向をもとにした内容です。個別株の動向と必ずしも一致するわけではありません。あくまでも市場全体の動向として、ご参考くださいませ。

※2.本記事は2021/12/2時点の株式市場の状況をもとに執筆しました。データや分析内容については、誤差が生じる場合がございます。予めご了承くださいませ。

 

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この記事を書いている人

高橋 佑輔(たかはし ゆうすけ) 高橋 佑輔(たかはし ゆうすけ)
トレード歴12年以上の現役ベテラントレーダー。2008年より開始し、過去12年間で11年利益を上げる。相場の値動きの「法則」を発見し、その法則を戦略化したシステムトレードで自己資金を運用中。12年間でたった一度負けがあっただけで、11年間安定的な成績を上げ、堅実に利益を積み上げる。高橋佑輔執筆【eBook(電子書籍)『日本株再入門』】の無料配布はこちらをクリック

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