米国の財務省「為替報告書」(米国)
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財務省「為替報告書」は、米国の財務省が年に2回、連邦議会に提出する「米国の主要貿易相手国の外国為替政策に関する報告書」のことを指しています。為替介入などによって為替レートを意図的に操作して自国通貨安への誘導を行い、輸出競争力を高めようとする国をけん制することが狙いです。2016年4月以降の報告書では、為替操作の疑いのある国・地域を明確化し、監視するために監視リストが公表されています。 |
【ポイント1】為替操作国と認定された国・地域は皆無
ただし、中国、日本など6カ国は監視対象国に指定
■トランプ政権の下では初となる今回の報告書によれば、米国の主要貿易相手国・地域のうち、為替操作国と認定するための3つの基準すべてに抵触したところはありませんでした。ただし、2つの基準に抵触した日本、ドイツ、韓国、スイスと、巨額の黒字を計上している中国、台湾の合計6カ国・地域が、昨年10月に続いて監視対象国に指定されました。
【ポイント2】貿易収支、経常収支、為替介入が為替操作国認定の3条件
日本は貿易収支、経常収支基準に抵触
■為替操作国に認定するための3つの基準は、①貿易収支の規模(年間の対米貿易黒字額が200億ドル超)、②経常収支の規模(経常収支の黒字が対GDP比で3%超)、③為替介入の有無(継続的な為替介入による一方的な外貨の買い入れがGDPの2%以上など)というものです。
■日本は、対米貿易黒字と経常収支の2項目が基準に抵触しました。中国と台湾は、基準に抵触した項目が1項目のみでしたが、その規模が他の国に比べ大きいため(特に中国の対米貿易黒字額)、監視対象リストに加えられました。
【今後の展開】バランスのとれた内容であり、円高材料にはならない見込み
■報告書は日本について、内需の低迷が対米貿易黒字の原因のひとつと指摘したうえで、不均衡是正のため、緩和的な金融政策、柔軟な財政政策、労働市場などの構造改革、労働生産性の向上など、あらゆる内需刺激策を講じるべきと述べています。
■今回の「為替報告書」は、16年10月に公表された前回の報告書と概ね同様の内容であり、バランスのとれたものとなっています。従って、円安材料ではないにせよ、円高材料にもなりにくく、為替市場で強く材料視されることはないと考えられます。
(2017年 4月 18日)
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