足元の市場動向 ~市場は過度に行き過ぎ、政策期待もあり徐々に安定化へ~
足元の市場動向 ~市場は過度に行き過ぎ、政策期待もあり徐々に安定化へ~
【ポイント1】中国、原油、信用リスク
米利上げ観測後退で円高
■12日の日経平均株価は、前日比▲760.78円の14,952.61円と、2014年10月の日銀の金融緩和拡大以前の水準に下落しました。前週末比では1,800円超(▲11%)、昨年末比では4,000円超(▲21%)の下落です。為替市場でもリスク回避の動きが強まり、米ドル円レートは、11日の海外市場で一時111円を割り込みました。12日15時では112円台半ばでの推移です。
■世界経済や原油安への不透明感、欧州の銀行やエネルギー企業の信用不安などがリスク回避の背景です。日銀のマイナス金利策の効果への疑問や、米国の利上げ観測後退で米国の金利が低下、これらが円高要因となり、日本株式の売り材料となっています。
【ポイント2】行き過ぎたリスク回避の動き
経済の底堅さから大きくかい離
■株式市場では売られ過ぎの指標が目立っており、また、東証株価指数のPBR(株価純資産倍率)が1倍となるなど、市場全体として割安さも強まっています。米国を中心に世界経済は底堅い成長が続く見通しであり、これを前提にすれば、株価の調整や、米ドル安円高の進行には行き過ぎ感があります。
【今後の展開】今月のG20で協調的な政策が打ち出されるかに注目
■今月の26日~27日に上海で行われる20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20)で、足元の金融市場の混乱に対し何らかの協調的な政策が打ち出されるかが注目材料です。議長国である中国から景気減速や人民元安への懸念を払しょくする政策が出されるかにも注目が集まります。
■米国景気の減速懸念については、雇用や所得環境から大きな下振れは無いと見られます。欧米の金融機関は、リーマン・ショック後に資本を積み増しており、金融システムが綻ぶリスクは限定的です。主要国での強力な金融緩和と追加策の可能性もあり、市場は次第に安定化に向かうと考えられます。
(2016年2月12日)
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