日本株の見通しを更新
市川レポート(No.447)日本株の見通しを更新
- 好決算、政局安定、世界景気回復、為替安定などのほか、株高でも日銀ETF購入という材料も。
- 日本株の特性を踏まえれば、これらは強い株価押し上げ要因であり、海外勢の投資意欲を刺激。
- 日経平均の上振れ余地は年内で23,500円、来年3月末で24,000円、ポジティブな見方維持。
好決算、政局安定、世界景気回復、為替安定などのほか、株高でも日銀ETF購入という材料も
日経平均株価は、10月27日に終値ベースで節目の22,000円台を回復した後も、堅調な動きが続いています。日本株を取り巻く足元の材料として、①日本企業の好調な2017年4月~9月期決算、②与党の衆院選圧勝で長期安定政権が実現、③世界的な景気回復の裾野の広がり、④米金融政策の緩やかな正常化によりドル円相場など金融市場が安定、などが挙げられます。
また、⑤米税制改革の進展期待、⑥北朝鮮リスクの後退、これらも重要な材料です。なお、直近では⑦日銀の上場投資信託(ETF)購入も注目されています。日銀は10月に入り、しばらくETF購入を見送りましたが、日経平均株価が取引時間中に22,000円を割り込んだ10月30日と31日に、709億円ずつETFを購入しました。これにより、下値は限定的との見方が改めて市場に広がったと思われます。
日本株の特性を踏まえれば、これらは強い株価押し上げ要因であり、海外勢の投資意欲を刺激
一般に、日本株は、海外投資家の動向に左右されやすく、世界景気やリスク要因に敏感で、不透明要素を嫌います。この観点から、前述の①~⑦を検証すると、①の好決算や、②の政局安定は、海外投資家に評価されやすい材料であり、③の世界的な景気回復や、⑥の地政学リスクの後退は、日本株を見直すきっかけとなります。また、④の米金融政策の安定した舵取りや、⑤の米税制改革に対する期待の高まりは、先行き不透明感の払拭につながります。
このように、日本株の特性を踏まえれば、足元の材料はいずれも株価を強く押し上げるものとなります。これに⑦の日銀のETF購入が加わり、日経平均株価は10月の1カ月で1,655円33銭上昇しました。なお、この大幅な株高を主導したのは海外投資家と推測されます。実際に、海外投資家は10月第4週まで日本株の現物を5週連続で買い越し、先物も4週連続で買い越しています(図表1)。
日経平均の上振れ余地は年内で23,500円、来年3月末で24,000円、ポジティブな見方維持
今後、①~⑦の材料に変化がなければ、日本株の堅調地合いは続くと思われます。今のところ①の業績見通しは良好で(図表2)、②の長期安定政権は基本的に変わりありません。リスクとしては、米中景気の失速や北朝鮮を巡る軍事的緊張の高まりなどの外部要因です。この場合、③~⑥に不透明感が強まり、日本株は大きな調整が予想されますが、現時点でリスク顕在化の可能性は低いと考えています。仮に調整となっても、⑦のETF購入で下げ幅は抑制されるとみています。
弊社は今回、日経平均株価の見通しを更新し、2017年10-12月期のレンジを21,000~23,500円、12月末の着地を22,700円としました。また、2018年1-3月期のレンジは21,000~24,000円で、3月末の着地は23,000円です。年内は4月~9月期決算の一巡後、一時的な調整も予想されますが、日本株にはポジティブな見方を維持します。この先、世界的な景気回復と日本企業の業績持ち直しの継続が確認されれば、レンジ上限近くまで株価水準が切り上がることも想定しています。
(2017年11月7日)
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