米朝威嚇合戦と為替相場の反応

2017/08/14

市川レポート(No.426)米朝威嚇合戦と為替相場の反応

  • 先週は北朝鮮リスクを嫌気した為替の動きが目立ったが、11日以降は日米の経済指標が材料に。
  • 先週来の威嚇合戦はひとまず消化へ、ただし北朝鮮の重要行事を控え、一定の警戒感は残ろう。
  • 引き続き108円水準をドル安・円高方向の目途とし、年内110円を中心とするレンジ相場を予想。

 

先週は北朝鮮リスクを嫌気した為替の動きが目立ったが、11日以降は日米の経済指標が材料に

足元では、北朝鮮の核・ミサイル開発を巡り、米国と北朝鮮の間で威嚇の応酬が続いています。先週の為替市場をみると、8月7日から10日まで、日本円やスイス・フランが選好され、相対的に新興国通貨が売られるという、リスクオフ(回避)の動きが顕著でした。しかしながら、11日以降は、必ずしも北朝鮮リスクを嫌気した「円高」一辺倒の相場にはなっていません。

ドル円は8月11日、一時1ドル=108円74銭水準をつけました。これは同日に発表された7月の米消費者物価指数の伸びが市場予想を下回り、米利上げ観測が一段と後退したことによる「ドル安」が主因と思われます。また、日本時間8月14日の朝方、内閣府が発表した4-6月期実質GDP成長率は市場予想を上回る伸びとなり、リスクオフの巻き戻しから対主要通貨で「円安」が進行しました。

 

先週来の威嚇合戦はひとまず消化へ、ただし北朝鮮の重要行事を控え、一定の警戒感は残ろう

このように為替市場の反応をみると、先週来の米朝威嚇合戦は、ひとまず消化されたように思われます。ポンペオ中央情報局(CIA)長官と、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)は8月13日、戦争勃発の兆候は認められないと述べており、市場参加者の間でも、米国か北朝鮮のどちらかが、直ちに相手国に先制攻撃を仕掛けるとみる向きは極めて少ないように思われます。

なお、北朝鮮ではこの先、8月15日に祖国解放記念日、25日に先軍節、9月9日に建国記念日という重要行事を迎えます。こうしたなか、米韓合同軍事演習は8月21日から行われる予定となっています(図表1)。市場参加者は当面、これらのイベントを意識せざるを得ず、米国および北朝鮮の動向には神経質になりやすいと思われます。そのため為替市場には、一定の警戒感がしばらく残るとみられます。

 

引き続き108円水準をドル安・円高方向の目途とし、年内110円を中心とするレンジ相場を予想

弊社ではドル円相場について、引き続き108円水準をドル安・円高方向の目途とし、年内は110円を中心とするレンジ内での推移が続くと予想しています。仮に108円水準よりもドル安・円高が進行した場合、直近につけた107円台や106円台は、2016年11月の米大統領選挙でトランプ氏が勝利し、減税などの政策期待からドル高・円安が進行した局面まで遡ることになります。

テクニカル分析の1つであるフィボナッチ・リトレースメントを用いると、米大統領選挙後につけたドルの安値と高値を基準に、その上昇幅から61.8%押したレベルが107円87銭水準、同じく76.4%押したレベルは105円32銭水準となります(図表2)。これらをドル安・円高が大幅に進行した場合の客観的な目途とみなすことができますが、現時点ではまだサブシナリオと考えています。

 

170814図表1170814図表2

 

(2017年8月14日)

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