FOMCメンバーの金融政策スタンス
市川レポート(No.253)FOMCメンバーの金融政策スタンス
- 前回は3名の地区連銀総裁が就任前後でスタンス不明だったが、今回全メンバーの情報を更新。
- 2016年に投票権を持つメンバーは10名、最近はハト派メンバーからの利上げ前向き発言も。
- 6月FOMC前に多くのメンバーの講演が予定されているが、注目はやはりイエレンFRB議長。
前回は3名の地区連銀総裁が就任前後でスタンス不明だったが、今回全メンバーの情報を更新
米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの金融政策スタンスについては、2015年11月26日付けレポート「2016年に投票権を持つFOMCメンバー」で解説しています。当時はフィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁とダラス地区連銀のカプラン総裁がともに就任から日が浅く、またミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は就任前であったため、3名の金融政策スタンスは明確ではありませんでした。
しかしながら当時からほぼ半年が経過し、市場での3名の評価もほぼ固まりました。またこのところ複数のFOMCメンバーに、従来のスタンスとは幾分異なるトーンでの発言もみられるようになりました。そこで今回は全FOMCメンバーの金融政策スタンスについて、改めて情報を更新します。また6月14日、15日のFOMC開催までに予定されているメンバーの講演も併せて確認します。
2016年に投票権を持つメンバーは10名、最近はハト派メンバーからの利上げ前向き発言も
現在FOMCで投票権を持つのは常任メンバー6名とメンバー4名の計10名です。常任メンバーは本来、米連邦準備制度理事会(FRB)議長と副議長を含む理事7名とニューヨーク地区連銀総裁の計8名で構成されますが、現時点で2名の理事が空席となっています。またメンバー4名は、ニューヨーク地区連銀総裁を除く11名の地区連銀総裁が輪番制で1年間担当します。
FOMCメンバーの金融政策スタンスをまとめると図表1の通りになりますが、投票権を持つ10名のスタンスや発言は特に重要です。例えばニューヨーク地区連銀のダドリー総裁の場合、景気重視で利上げに消極的な「ハト派」に分類されることが一般的には多いのですが、5月19日に「6月から7月の期間に引き締めるというのは妥当な予想であろう」と発言しています。
6月FOMC前に多くのメンバーの講演が予定されているが、注目はやはりイエレンFRB議長
また同じくハト派に分類されることが多いボストン地区連銀のローゼングレン総裁の場合も、4月開催分のFOMC議事要旨で示された6月利上げの条件について、5月23日には「大部分が現時点で全般的に満たされつつあるようだ」と述べています。投票権を持つ10名のうち、ハト派2名から利上げに前向きな発言がみられ、3名は物価重視で利上げに積極的な「タカ派」であることを考えると、6月利上げの可能性は高まっていると考えられます。
図表2の通り、6月14日、15日のFOMC開催までに投票権を持つメンバーの講演が多く予定されています。イエレンFRB議長は5月27日にハーバード大学のRadcliffe Medal授与式において、また6月6日にフィラデルフィアのWorld Affairs Councilにおいて、それぞれ講演を行います。金融政策を見通す上でイエレンFRB議長の見解を確認することは最も重要ですので、その発言内容に注目が集まります。
(2016年5月27日)
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