海外投資家の売り越しは、中国不安が影響か
▣ 2018年は海外投資家が大幅売り越し
2018年の株式市場は、企業の自社株買いや日銀の買入れなどに支えられながらも、海外投資家の売りに押され、日経平均株価は12.08%下落、TOPIXは17.80%の下落となりました。
東京証券取引所の投資部門別株式売買動向(東京・名古屋2市場)によると、2018年の海外投資家の売越額は5兆7,449億円。ヘッジファンドなど投機筋の動向に左右されやすい先物(TOPIX、日経平均先物、少額取引のミニ先物を含む)についても7兆4,270億円の売り越しと、現物と先物を合わせて13兆円を超える売り越しでした(図表1、2)。
▣ 海外投資家の売買動向は、ドル円、中国株に連動か
海外投資家はアベノミクス以降、2015年半ばまでは国内株を買い越し、相場を押し上げていましたが、2015年後半からは、ドル円の下落とともに買いの手が止まった格好です(図表3、4)。ただ、海外投資家の売買動向とドル円との連動性は2018年には薄れ、海外投資家の売り越し傾向が続きました。
2015年後半に、ドル安・円高が進行したのは、チャイナショック(中国を震源とした世界同時株安)が背景でした。海外投資家の売り越し傾向が続いたのは、“ドル円下落→企業業績の下振れ懸念→海外投資家の日本株売り”だけでなく、“中国株安→流動性の高い日本株をリスク回避でヘッジ売り、あるいは日本株での益出し”の可能性もありそうです。2018年は中国株の下落に連動するように、海外投資家の売りが継続しました(図表5)。
▣ 中国不安が払しょくされるまでは
1月のQUICKの月次調査(株式)では、2019年の日本株式のリスク要因として、「米国の政治・経済の混乱」、「米中貿易摩擦」、「中国経済・金融の混乱」が重要度の上位に並びました。一方、企業業績などファンダメンタルズからみた日経平均株価に対する市場参加者の評価では、高すぎるが6%、ほぼ妥当が30%、低すぎるが63%、わからないが1%と、割安との見方が過半数を占めています。
米国の中国に対する制裁関税の猶予期限3月1日までは予断を許しませんが、中国が景気対策として2019年も大型減税を継続する中、米中の協議が合意に至った場合には、リスク回避の円買いや海外投資家の日本株売りが弱まることも想定されます。
楽観シナリオですが、海外投資家の日本株売りが収まると、割安感に着目した買いに加え、日銀の買入れ、自社株買いなどから、株価が押し上げられることも想定されます。
とはいえ、中国経済や米中貿易問題への懸念が後退するまでは、上値が重い相場が続きそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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