高まる米金融政策の不確実性

2019/01/11 <>

▣ 金融政策運営が難しい局面に

1月9日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC、昨年12月開催)の議事要旨では、参加者が「政策金利は中立水準の下限に近づいた」「さらなる利上げを忍耐強く判断する余裕があるかもしれない」と、利上げに慎重な見解を示していたことが明らかになるとともに、「金融市場の変動や世界経済への懸念の高まりなどにより、将来の利上げの適切な幅とタイミングは従来に比べ不透明になった」と、金融政策運営が難しい局面にきているとの見方が示されました。

4日にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、年4回の利上げ見通しが実際には1回の利上げに終わった2016年を引き合いに出し、金融政策の正常化に柔軟に対応する姿勢を示しました(図表1)。17年は3回の利上げ見通しに対し3回の利上げ、18年は3回に対し4回と、前年末の利上げ見通しに対して大きなブレはありませんでしたが、徐々に利上げ終了に向かう米金融政策の不確実性(見通しどおりにならない可能性)が高まっている模様です。

▣ 今後は、市場に配慮しつつもデータ次第

19年の利上げ回数についてはFOMCの見通し2回に対し、市場が織り込む利上げ回数は0回で利上げなし。期待インフレ率(5年先5年)が昨年12月中旬以降、2%を下回って推移しているなどインフレ加速の兆候はなく、今後、利上げが決定されるとサプライズになる可能性があります(図表2)。

今年からFOMCごとに議長の記者会見が開かれることから、米金融政策をめぐる思わくに振らされる場面が多くなりそうです。利上げなどについては今後のデータ(経済指標)次第ですが、金融市場が乱高下する催促相場には注意が必要です。

次のFOMCは1月29、30日。声明文の変更の有無や、パウエル議長の発言が注目されます。もっとも、米金融政策への警戒感はひとまず後退していることから、この会合までは米金融政策を材料に市場が大きく動く可能性は低そうです。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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