広がる米利上げペースの減速観測
▣ 来年利上げ休止との見方も浮上
来年の米国の利上げペースが減速するとの見方が広がってきています。
金融市場の不安定な動きが続いており、米国経済は堅調も来年以降はやや減速することが見込まれる中、トランプ米大統領は20日には「米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を低くすべきだ。金利が高すぎる」と発言し、利上げをけん制したことに続き、米金融メディアが21日、FRB高官の話として、「早ければ来春にも利上げを休止する可能性がある」と報じたことで、利上げ観測が一段と後退した格好です(図表1)。
パウエルFRB議長は、株安は深刻視せず、また米経済については楽観視している模様ですが、2019年の課題として、海外経済の成長鈍化、米財政刺激策の効果減退、これまでの利上げの影響が米経済に生じる可能性などを挙げました。
▣ 市場が織り込む来年の利上げ回数は1回強まで低下
12月の利上げはほぼ確実視されていますが、来年の利上げについては、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策金利見通しでは3回(中央値)。一方、市場が織り込む来年の利上げ回数は、11月上旬には2回まで増えましたが、足元では1回強まで減ってきており、政策金利見通しをめぐり、金融当局と市場とのかい離が広がってきています。
また、将来の短期金利の水準であるFF金利先物レートは、2019年12月以降は横ばいと、利上げ打ち止めを予想しています(図表2)。
▣ 来年のFOMCでの投票権を持つメンバーは
来年にはFOMCで投票権を持つメンバーが4名入れ替わります。タカ派、ハト派のバランスは大きく崩れないとみられますが、この来年投票権を持つ4名の最近の発言を簡単に列挙すると、
- ブラード・セントルイス連銀総裁:「政策金利は中立に達している」、「現在の政策金利水準が当面適切である」
- ローゼングレン・ボストン連銀総裁:「景気を冷やしも刺激もしない“中立金利”をやや上回る水準まで利上げすべき」
- ジョージ・カンザスシティ連銀総裁:「金融緩和と力強い経済がインフレ率を幾分押し上げる可能性が高く、継続的な利上げが必要」
- エバンス・シカゴ連銀総裁:「インフレが引き続き、2%、2%で推移した場合、中立水準を若干上回る緩やかな引き締めが必要になる」
となり、ブラード総裁を除くと、今のところ利上げにやや前向きな姿勢のようです。
不透明感が広がっている状況下では決め打ちはできず、しばらくは、パウエル議長の11月28日の講演、12月5日の議会証言、そして12月18、19日のFOMCなどを確認しながら、来年の利上げを占っていくことになります。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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