最近の米長期金利について

2018/10/19

▣ 米長期金利は8月下旬から一時40bp以上も上昇

米長期金利(ここでは10年債利回り)は一時3.26%まで上昇した後は、やや落ち着いてきていますが、3.2%前後とまだ高止まりしています(図表1)。8月下旬の2.81%程度から、1か月半で一時40bp(1bp=0.01%)以上も上昇したことになります。

北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で米国とメキシコが大筋合意したことを受け、貿易摩擦への警戒感が和らぎ、米長期金利は上昇に転じました。米サプライマネジメント協会(ISM)の8月の製造業景況感指数が61.3と市場予想を大幅に上回って上昇し、2004年5月以来14年3か月ぶりの高さとなるなど米景況感の改善に加え、イタリアの閣僚らが財政赤字を抑える姿勢を示し、同国の財政問題への警戒が後退したことなどから、9月中旬には3.0%に乗せました。その後も、米国とカナダでNAFTA見直し交渉が妥結したことを好感し、NYダウが過去最高値を更新するなど投資家のリスク選好が高まる中、9月の米雇用統計で失業率が48年9か月ぶりの水準まで低下するなど良好な内容となったことを受け、10月9日には一時3.26%と7年5か月ぶりの水準まで上昇しました。

▣ リスク回避の金利低下は限定的か

10日以降も、米中貿易摩擦への懸念や中国経済の減速への警戒に加え、欧州連合(EU)がイタリアの予算案を受け入れないなどイタリアの財政問題への懸念、また米国とサウジアラビア間のサウジ記者殺害をめぐる関係悪化への懸念などを背景に内外の株式市場が不安定になる中、米長期金利の下押しは小幅にとどまっています(10月18日は3.18%)。

堅調な米景気を背景に、米連邦準備制度理事会(FRB)は緩やかな利上げを継続する姿勢を示していることに加え、減税の第2弾やインフラ投資による財政悪化への警戒などが、米長期金利の低下を抑制しているとみられます。米財政については不透明ながら、トランプ大統領が17日の閣議で、全閣僚に対し、各省庁の年間予算を5%カットする案を作成するよう指示したことは安心材料と言えそうです。

8月下旬からの米長期金利の上昇には、米通商政策などへの過度な警戒が後退したことが寄与しましたが、最近はそれらリスクへの反応がやや鈍ってきています。どちらかというと、利上げ観測の影響を受ける傾向がやや強くなってきています(図表2)。

やや乱暴ですが、市場が織り込む政策金利の水準の変化と同じ幅だけ米長期金利が動くと仮定した場合、8月下旬からの上昇幅から、市場が織り込む政策金利の変化分を除いた上昇幅は、15bp程度(図表3)。再び投資家のリスク回避姿勢が過度に高まった場合でも、米経済の堅調さが続くのであれば、米長期金利の低下は限定的となる可能性が高そうです。

▣ 来年3回の利上げも覚悟

米金融市場が織り込む利上げ回数は、今年はあと1回、来年はまだ2回で、中立金利の目安である2.75~3.0%程度(米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の中長期見通しの水準)までの上昇。9月のFOMCの議事要旨では、強い経済を背景に、参加者が総じて「緩やかな利上げ継続が整合的」と予想するとともに、数人は「物価の過熱を避けるため、政策金利を当局が予想する中長期的なレベルより一時的に引き上げる必要がある」と、政策金利が中立金利の水準を上回ることを予想しています。

おそらく来年、政策金利が中立金利の水準に到達する前後には、その後の1~2回程度の利上げの後の利下げも視野に入り、米長期金利の上昇は限定的になることも考えられます。ただ、今後のデータ次第ですが、あと1回の利上げ分の長期金利の上振れも覚悟しておいたほうがよいかもしれません。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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