日銀短観、景況感悪化も売上・収益計画は上方修正

2018/10/04 <>

▣ 景況感悪化も、設備投資計画は強気

日銀は10月1日に、9月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表しました。企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業で、前回6月調査から2ポイント悪化のプラス19となり、3期連続で悪化しました(図表1、2)。大企業非製造業も8四半期ぶりに悪化しました。貿易戦争への懸念、原油などの原材料高、天候不順や自然災害(豪雨、大型台風、北海道地震)などが影響した模様です。
大企業製造業、非製造業の業況判断DIが悪化したことで、景気の騰勢一服との見方も出ています。もっとも、自然災害の影響は一時的とみることができることに加え、業況判断DIはまだ高い水準を維持しています。足元はやや足踏み状態ですが、先行き(予測)も横ばいとなっており、緩やかな景気拡大が続いているとはいえそうです。

他方、設備投資については、国内外の堅調な需要や人手不足を背景に、大企業は2018年度の設備投資額を13.4%増の計画としており、2017年度の4.1%増に比べかなり強気の計画です(図表3)。また、大企業の計画は若干下方修正された一方、全規模については上方修正されました。

▣ 想定為替レートは107円台で、業績の上振れ期待も

売上・収益計画では、2018年度の売上高は大企業製造業で前年度比2.8%増、非製造業で同2.0%増となり、6月調査から上方修正されました(図表4)。他方、経常利益は大企業製造業で前年度比6.9%減、非製造業で同2.4%減と減益ですが、6月調査から上方修正されており、改善傾向にあります(図表5)。

2018年度の事業計画の前提となる想定為替レート(ドル円、大企業・製造業)は107円40銭。上期の想定為替レートは107円52銭、下期は107円29銭で、6月調査より若干上方修正されたものの、足元の為替レートと比べ大幅に円高水準に設定されています(図表6)。

株価と想定為替レートの関係をみると、実際の為替レートが想定為替レートより円安なら株高、円高なら株安に動く傾向がみられます(図表7)。米中の貿易摩擦の影響が拡大することには注意が必要ですが、このままドル円が想定為替レートを上回って(ドル高・円安水準で)推移すると、業績の上振れも期待できそうです。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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