ボラティリティが高まる中では、分散投資を検討も

2018/06/29 <>

▣ 低ボラ相場は終了、米通商政策が波乱要因

昨年の株式市場は変動性の小さい低ボラティリティ相場が続いていましたが、今年に入り2月には米国の利上げペースが加速することへの警戒から、米金利は急上昇、株価は大きく値を下げるなど荒い相場になりました(図表1)。最近ではイタリアなど欧州政治への警戒が高まり、金融市場が不安定になりました。

米利上げについては、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で公表された政策金利見通しが引き上げられたことから、さらに利上げペースが加速する可能性は低い状況です。そのため、米金融政策をめぐる思わくで、金融市場が大きく振らされる場面は減りそうです。欧州政治についても、イタリアで連立政権が樹立したことから、一旦落着きを取り戻しています。

とはいえ、トランプ米政権が、中国の知的財産権侵害への制裁措置として、500億ドル分の中国製品に25%の追加関税を課すと発表して以降、米中の報復の応酬が続いており、貿易摩擦の深刻化が懸念される状況です。

低ボラ(リスク)相場は昨年で終了し、今年はリスクが高まる局面では安全資産にシフトすることや分散投資を検討するなど、価格変動リスクに対応していく必要がありそうです。

▣ 債券は低ボラ継続、Jリートも分散先に

株式市場とは対照的に、国内債市場は昨年からの低いボラティリティが続いています(図表2)。日銀が大規模な金融緩和政策を継続しており、こう着感が増していますが、株式市場に不安が広がりボラティリティが高まる局面では、リスク回避から国内債は上昇する傾向がみられます(図表3)。他方、米国債についても、6月のFOMC後は、米中貿易摩擦への警戒もあり落ち着いてきています。債券、特に国債については資金の逃避先や、またリスク資産との分散投資先として引き続き機能しそうです。

また、Jリートについても2016年以降、国内株との連動性は低い状態が続いています(図表4)。今年に入ってやや連動性が高まっていますが、国内株の今年の騰落率はマイナスになっているのに対し、Jリートはプラスと、国内株のマイナスを補う格好です。Jリートと国内株の組み合わせも考えられます。

国内債は低リスクですが、日銀の金融緩和の下、期待されるリターンも大きく下がってきています。株と債券への分散投資に、分配利回りが相対的に高いJリートなどを組み入れるなど、分散の幅を広げることも検討できそうです(図表5、6)。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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