ECBは慎重に出口へ
欧州中央銀行(ECB)は6月14日の理事会で、2015年に導入した量的緩和策を年内で終了することを決めました。今回の決定事項は以下のとおりです。
◆資産買入れを10月から縮小、年内で終了
9月まで、資産買入れを月300億ユーロのペースで継続する。10月からは買入規模を月150億ユーロに縮小し、12月で資産買入れを終了する(理事会の中期インフレ見通しが確認されることが条件)。
◆保有債券の償還資金の再投資は継続
買入終了後も長期間、良好な流動性と十分に緩和的な金融環境を維持するために、必要な限り保有債券の償還資金の再投資を継続する(保有残高を維持)。
◆政策金利は少なくとも2019年夏まで維持
政策金利は、インフレの持続的な持ち直しが確実になるまで必要な限り、少なくとも2019年夏まで現状の水準を維持する。
また、あわせて公表された経済見通しでは、2018年の成長率は悪天候などにより前回3月予測の2.4%から2.1%に下方修正されましたが、2019年、2020年は変わらず。インフレ率については、2018年、2019年の見通しをそれぞれ1.4%から1.7%に引き上げました。
米国には大きく遅れましたが、欧州も金融政策の正常化(出口)に向かうことになります。2013年5月に当時のバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が量的緩和の縮小を示唆した際には、米金利が急上昇したほか、新興国の株や通貨は一斉に下落するなど、金融市場の混乱を招きました(テーパータントラム)。
今回は、理事会を前に欧州の金融当局者から緩和縮小に前向きな発言が多く聞かれ、市場はある程度織り込み済みであったこと、また早ければ来年前半にも利上げとの見方があったものの、2019年夏までは現行の政策金利を維持すると、利上げを急がない姿勢が示されたことなどから、金融市場に大きな混乱は起きませんでした。逆に、やや利上げに慎重なハト派寄りとみられ、強含むはずのユーロが下落する動きになりました。金融政策の方向性からはユーロ高ですが、ECBが慎重姿勢を維持している間は、ユーロの上値は限定的となりそうです。
やや先の話ですが、来年10月末にドラギECB総裁は任期切れを迎えます。後継にはタカ派色の強いドイツ連銀のバイトマン総裁が有力視されています。バイトマン氏のECB総裁就任の蓋然性が高まると、積極的な利上げなどが意識されることになりそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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