米利上げペースはやや加速
米連邦準備制度理事会(FRB)は6月12、13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%引き上げ、1.75~2.00%とすることを決定しました。利上げは3月の会合に続き今年2回目です。
今回の会合での主なポイントは以下のとおりです。
◆政策金利見通し(利上げペース)引上げ:
政策金利見通しでは、2018年、2019年の政策金利見通し(FOMC参加者の中央値)がそれぞれ0.25%引き上げられました(図表1)。おそらくFOMC参加者の一人が、3回から4回に見通しを引き上げたことが影響したとみられます。2018年の利上げ回数が3回から4回に増え、2019年の利上げ回数は3回で前回と変わらず。2020年は1回で前回の2回から減少しました。2020年の水準は3.375%、長期見通しも2.875%と前回と変わりませんでした。
◆経済見通し引上げ:
2018年の経済成長率見通しを引き上げ、失業率見通しを引き下げ、インフレ見通しを引き上げました(図表2)。2018年の利上げ回数が引き上げられたことと整合的といえます。
◆フォワードガイダンス削除:
声明文から「FF金利は当面、長期的に予想される水準を下回るレベルで推移する可能性が高い」の文言が削除されました。ただ、これまでの利上げで、政策金利が中立金利(長期的に適切な政策金利の水準、政策金利の長期見通しが目安)に近づいてきていることから、この文言の削除は適切とみられます。
◆貿易摩擦の影響:
パウエルFRB議長は記者会見で、「貿易政策の変更が混乱をもたらすとの懸念が聞かれるが、その混乱を示す数字はまだ見られない」、「通商問題はあくまで現時点ではリスクというところにとどめたい」と発言。見通しにはまだ織り込めていないとみられ、今後の影響を注視していく必要があります。
◆議長の記者会見の回数増加:
パウエル議長は、記者会見について年4回(3、6、9、12月のFOMC)ではなく、2019年1月からすべてのFOMC後に実施すると発表しました。将来の政策変更の時期やペースについて何かを示唆するわけではないとしています。ただ、金融政策の変更は記者会見が開かれる会合で行われることが多かっただけに、もう少し柔軟な決定が可能になりそうです。なお、経済・金利見通しはこれまで通り四半期ごとに公表する予定です。
FOMC参加者の政策金利見通しが引き上げられたことから、当面は利上げ加速を巡る思わくに大きく振らされる場面は減りそうです。
FRB利上げ、政策金利見通し引上げでも、13日の金融市場は、金利上昇は小幅にとどまり、ドルはやや売りが優勢になりました。米政権が中国からの輸入品への追加関税を早ければ15日に発動するとの報道が、株価やドルを押し下げ、金利の上昇を抑制した模様です。他方、市場が織り込む2018年の利上げ回数は、3.5回程度に増えましたが、まだ4回を完全には織り込んでいません(図表3)。貿易戦争への警戒が背景にありそうです。
今後の米金融市場は、米利上げ観測に代わり、米政権の通商政策に振らされる場面が増えそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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