米30年債利回りが米長期金利の上昇を抑制
今年に入り、米国債利回りの上昇が目立っています。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを継続する中、5月17日には米10年債利回り(長期金利)は一時3.12%と、約6年10か月ぶりの水準まで上昇しました(図表1)。昨年はレンジでの動きが継続し、長期金利は年間では若干低下しましたが、対照的に今年は0.72%程度上昇し、政策金利の上昇幅0.25%を大きく上回ります(図表2)。
前回の利上げ局面(2004/6~2006/6)では、長期金利は利上げ終了の数か月前までレンジでの動きが継続しました。一方、今回の利上げ局面でも一旦レンジでの動きがみられましたが、今年に入り一段と水準を引き上げる動きが強まっています。
今回の利上げ局面は、リーマンショック以降、量的緩和など非伝統的な金融政策を含む強力な金融緩和が長く続く中で長期金利も大幅に低下し、その後の利上げを十分に織り込めていなかった可能性に加え、トランプ政権の大規模な減税により経済成長が押し上げられること、また物価目標達成が見えてきており、さらなる利上げが意識されていることなどが、長期金利を押し上げている模様です。
今後は、減税や原油高の影響などをある程度織り込んだ段階で、長期金利はレンジでの動きに移行することが見込まれます。一応の上限の目安は、3月の利上げを含め今年4回の利上げを織り込む水準の3.2%前後(2018年5月11日付「米国は物価目標の達成目前」参照)が挙げられます。
他方、30年債利回りについては3.2%半ばを上限としたレンジでの動きが継続しています。このレンジでの動きが継続する限り、この30年債利回りをやや下回る水準が長期金利の目安になります。ただ、30年債利回りは足元では3.2%半ばまで上昇しています。一段の上昇はこれまでのレンジを上抜けたことになります。その場合、長期金利が落ち着く水準も引き上がることになり、米金融市場がやや不安定になることには注意が必要です。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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