国内金利は今年度もレンジでの動き
▣ 日銀の保有国債の増加ペースは鈍化
日銀は、国債の買入れについて、保有残高の増加額を年間80兆円めどとしていますが、2017年度の保有残高の増加額は50兆円を下回りました(図表1)。要因としては、
- イールドカーブ(利回り曲線)が比較的落ち着いて推移していることから、日銀が考える適切なイールドカーブの形成に必要な国債買入れの金額が減少していること
- 利回り指定で金額無制限に買い入れる指し値オペを実施(実際には指し値オペでの買入額がゼロのケースが多い)することで、大幅な金利上昇については対応できること
- 金融政策の操作目標をマネタリーベースから金利に変更しため、無理に国債を買い入れる必要がないこと
- 国債保有額が増えているため、償還を迎える保有国債も増えていること
などが挙げられます。
とはいえ、昨年8月から月間の買入額は減少傾向が続いていましたが、今年2月は1月より増加し、3月以降はほぼ同金額での買入れが続いています(図表2)。国債買入れオペのオファー金額を減額すると、金融緩和姿勢を弱めたとの観測が広がり、円高が進行することなどを日銀が警戒しているとみられます。
▣ 日銀の出口はまだ先
2月初め日銀は、金融政策の正常化観測がくすぶる中、欧米の金利上昇を受け、長期金利が一時0.095%と0.1%に迫った場面で指し値オペを実施し、大幅な金利上昇を容認しない姿勢を示しました。さらに黒田日銀総裁が再任し、強力な金融緩和が継続するとの見方も強まったことから、日銀の金融緩和の縮小観測は大きく後退しています。
黒田日銀総裁は再任の会見で、「足許、エネルギーと生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、0%台半ばと、2%の物価安定の目標の実現までにはなお距離があり、出口のタイミングやその際の対応の手順等を検討する局面には至っていない」(図表3)、「2%が達成されることがはっきりする時点まで、現在の『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』を続けていく」とし、出口はまだ先のようです。
▣ ブル・フラット化もレンジ内の動きか
イールドカーブは超長期ゾーンを中心に、じりじりとブル・フラット化(利回り低下・平たん化)が進行しています(図表4)。4月18日には、20年物国債利回りは一時0.495%、30年物国債利回りは0.695%と約1年4か月ぶりの水準まで低下しました。20年物国債利回りから10年物国債利回り(長期金利)を差し引いた20年-10年スプレッドは18日には46bp(1bp=0.01%)まで縮小、30年-20年スプレッドは20bp程度まで縮小しました。
日銀の追加緩和観測が後退し、長期金利がプラス圏に浮上した2016年11月半ば以降を参考にすると、20年-10年スプレッドの最大値は62.5bp、最小値は42.5bp、平均値は52.6bp(図表5、6)。30年-20年スプレッドの最大値は30bp、最小値は9bp、平均値は22.5bp。足元のスプレッドの水準は平均値を下回ってきており、一段のスプレッドの縮小は、追加緩和観測が強まるなどしない限り、限定的とみられます。
国内金利は当面、低位のレンジでの動きが見込まれます。10年債利回りはマイナス0.05%~0.10%程度で動くとみられ、利回り面では魅力薄。利回りがもう少し高い、20年債、30年債などの超長期債が投資の中心になりそうです。ただ、スティープ化(急こう配化)したら超長期債へ投資するなどのレンジ取引が無難そうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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